田中理恵が語る、「ガンダムSEED」最新作で魅せたラクスの真っ直ぐな“愛”「この時のために声を温めてきた」

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田中理恵が語る、「ガンダムSEED」最新作で魅せたラクスの真っ直ぐな“愛”「この時のために声を温めてきた」

2月5日(月) 18:30

21世紀最初のガンダムシリーズとして社会現象を巻き起こした「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」。その最新作となる『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が公開中だ。本稿では本シリーズのヒロインであるラクス・クライン役を演じた田中理恵のインタビューをお届け!ラクスに対して感じたことから、入念に準備をして臨んだアフレコの模様、脚本家の両澤千晶への想いまでを語ってもらった。
【写真を見る】コーディネイターはたくさん食べる…?ものすごい量のキラの好物を作るラクス

■「ラクスの愛が真っ直ぐキラに対して向いている」

「ガンダムSEEDシリーズ」は、遺伝子を調整されて生まれた人類(=コーディネイター)と、自然のままに生まれた人類(=ナチュラル)の戦いを描いた作品。劇中に登場する様々な国家や組織の思惑が複雑に絡み合うなかで、主人公のキラ・ヤマトやアスラン・ザラら若者たちが、運命に翻弄されていく。巧妙に練られたストーリー展開と衝撃的なシーンの数々で話題を集めた。今作は、2004年から2005年にかけてテレビ放送されたシリーズ第2作『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のストーリーから約2年後の世界が描かれる。

「『ガンダムSEEDシリーズ』の魅力は一言では言えませんが、戦争だったり、戦いたくないのに戦わなければいけなかったり、人間模様がリアルに描かれていて、当時は観ていて自分でもすごく衝撃を受けました。テレビシリーズのアフレコの時は映像がまだ線画だったので、放送でやっとカラーの映像を観た時、爆発のシーンなどが包み隠すことなくリアルに描かれていて衝撃を受けました。“非戦”というそもそもの大きなテーマもすごく考えさせられましたし、明るい作品ではなく少し暗いところもあって、アニメを観た人同士で『どう感じたか?』を、語り合えるくらいの深さと大きなテーマがある作品です」。

ラクスはプラントと呼ばれるスペースコロニー群の最高評議会議長の娘であり、美しい歌声で平和を呼びかける国民的歌姫として活動する。そしてキラに新型ガンダムであるストライクフリーダムを託し、デュランダル議長が提唱した「デスティニープラン」の野望を打ち砕いた。今作では、新たに創設された世界平和監視機構コンパスの初代総裁として登場する。

「『SEED』のラクスはつかみ所の無いふわっとした感じで始まり、歌で人々と対話をすることでカリスマ性を発揮したキャラクターだったので、当時は演じるのがすごく難しかったです。『DESTINY』では、戦いたくないけど戦わなければいけないなら、自分も前に出て行くといった“強いラクス・クライン”で、さらに難しさを感じて、必死でしがみつくように演じていた印象です。今回の『FREEDOM』は“愛”をテーマにしていて、戦いのシーンもありますけど、もっとラクス個人の部分にスポットが当てられた印象です。『SEED』と『DESTINY』では、キラとラクスの関係もライトな描かれ方でしたが、劇場版はそれから2年が経ったお話なので、関係性の描写ももっと踏み込んで、ラクスの愛が真っ直ぐキラに対して向いていることを演じていて感じました。以前は戦うキラをサポートするといった役でしたけれど、『FREEDOM』では、YESかNOか自分の意思をしっかり示すラクス像で、テレビシリーズとは違ったラクスを演じるという、新たなチャレンジになりました」。

■「アグネスはフレイを思い出させるようなキャラクターで、『うわ~』ってなりました(笑)」

2006年5月に東京・国立代々木体育館で開催された「Sony Music Anime Fes.06」のステージで、劇場版の制作が発表されてから約18年、「この時のために声を温めてきた」と話す田中。満を持してという感じで、準備も入念に進めたという。

「『やっとまたラクスを演じることができる』という喜びでいっぱいでした。ただ、ゲームの収録などを除いて、ラクスを演じるのは約20年ぶりでしたので、声がおかしくならないように前日からすごく喉を気づかいましたね。『絶対ベストの状態で臨むんだ!』と、すごく気を張り詰めた状態で現場に行って、収録の時もあまり皆さんと話さず集中して、休憩中に少しお話ししたくらいです。常に水分補給をしたり、少しでも疲労を感じたらすぐエナジードリンクを飲んで。収録する時間も長かったので、とにかく疲労しないようにと気を張り詰めていました」。

アフレコは2日間に分けて収録が行われたとのこと。台本は分厚いものが2冊あり、その表紙はキラとラクスのイメージカラーであるブルーとピンクで、まずそのことに感銘を受けたと話す田中。

「台本を読んだ時は、下野紘さん演じるオルフェ・ラム・タオなど、新しいキャラクターがたくさん出てきたことにすごく驚きました。また、キラがネガティブになるシーンもあって、そこは心が締め付けられるような想いでした。あと桑島法子さん演じるアグネス・ギーベンラートというキャラクターも出てくるのですが、『SEED』のフレイ・アルスターを思い出させるようなキャラクターで、『うわ~』ってなりました(笑)」。

アフレコは、久しぶりに「ガンダムSEED」の現場に戻ってきた喜びと感動があった反面、緊張感がみなぎる現場だったという。

「全員必死で台本を眺めていたと思います。最初に監督がみんなに説明をしてくださって、テストがあって本番前に、『こういう風に演じてください』と。みんなそれを真剣に聞いていたので、『久しぶりだね』みたいな話をする時間もほとんどありませんでした。キラ役の保志総一朗さんとも現場で作品について話すことはあまりなく、イベントで少し話したくらいです。雑談をするとそこで集中力が途切れてしまうので、みんな役に集中するために、私語をしないという感じでした。ただ、カガリ・ユラ・アスハ役の森なな子さんと一緒にアフレコできたのはうれしかったです。掛け合いもできましたし、私はうれしくて舞い上がっていました(笑)」。

■「ラストのラクスのセリフには、両澤さんの想いが詰まっている」

田中が演じるラクス・クラインは、平和に対する強い意思と覚悟を持ち、どんな相手であっても臆することなく真っ直ぐ言葉をぶつける姿が印象的なキャラクター。凜とした佇まいは、単なるヒロインとは異なる、重要なキーパーソンだ。『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』でも、ファウンデーションのオルフェと対峙する。

「キラと一緒にいるときはフワッとしたラクス像といったイメージですが、オルフェと対峙するときのラクスは、自分の意思をしっかり伝えるラクスに切り替わっていて、彼女の意思の強さを感じました。ラクスにしては感情をむき出しにしていて、オブラートに包まずはっきりNOと言う彼女は、人間味にあふれていて新鮮でした。そういうところは演出でも『強くやってください』と、監督が細かく演出してくださいました」。

また今作には、「SEED」「DESTINY」で脚本を務め、2016年に亡くなった脚本家の両澤千晶もクレジットされている。田中は今作の台本を読み、両澤の意思が感じられたという。

「リハーサルVを観たときは感動して泣いてしまいました。特にラストのラクスのセリフには、両澤さんの想いが詰まっていると感じて、泣きそうになりながらアフレコを頑張りました。『FREEDOM』には、作品に関わる皆さんのこの20年のいろいろな想いが込められているので、細部までじっくり楽しんでほしいです。たぶん見始めたら、おもしろくてあっという間だと思いますし、『あそこはどうなっていたんだろう』と、一回観ただけではわからない部分もあると思うので、何度でも観に行ってほしいです。新キャラクターもたくさん出てくるので、新しい推しを見つけてもらえたらうれしいです」。

取材・文/榑林史章


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