松村北斗(SixTONES)と西畑大吾(なにわ男子)がW主演を務めるオシドラサタデー「ノッキンオン・ロックドドア」(毎週土曜夜11:00-11:30、テレビ朝日系)で犯罪社会学ゼミの教授・天川考四郎役で出演している渡部篤郎と、堤幸彦監督のスペシャル対談が実現した。
【写真】「ノキドア」で大学教授・天川考四郎役を演じる、渡部篤郎
■連ドラでは21年ぶりの黄金タッグ
本作で御殿場倒理(松村)と片無氷雨(西畑)の恩師であり、かつて2人に「観察」と「推論」の大切さを叩き込んだ、犯罪社会学ゼミの教授・天川考四郎役に渡部が出演。映画「巷説百物語 飛縁魔」ぶりにタッグを組んだ堤と17年ぶり、連ドラでは21年ぶりにタッグを組んでいる。
そんな2人の対談が実現。昔をよく知る間柄だからこそ、今回の再タッグで抱いた思いや、しなやかさの中に妥協なき姿勢も垣間見える役作りや演出でのこだわり、そしてW主演の松村&西畑から感じたことなどを語っている。
■今回は「フラットかつプレーンな」境地で再タッグ
――今回は21年ぶりの連ドラ再タッグ。久々にご一緒されて、どんなことを感じられましたか?
堤:渡部さんはカッコいい男の代表。そのカッコよさは最初に組ませていただいた時からずっと目の当たりにしていましたし、だからこそ過去の作品ではあえて変なこともやっていただいたりしたんです。でも今回は、そのカッコいい男性がさらにカッコよくなって、年を取るとどうなるんだろうと、それをすごく見たかったんですよ。そしたら今回、役衣裳のスーツもご自身で仕立てられて、やっぱりちょっと僕らとは異次元のカッコよさがある!これが教え子であるW探偵の精神の基本になっているという説得力も含め、とてもいい立ち位置で撮っていくことができましたね。
渡部:最近は気負わずプレーンな気持ちで現場へ行き、お芝居に挑めているかなという感覚があるのですが、実はこれが私にとっては一番難しいことでもあるんです。しかも堤さんと組むとなると、期待するところもたくさん出てくるわけです。そういったものを全部無しにして、役に徹するという点で、今回はまたひとつ”いい試練”になりました。
堤:役者と演出家という意味では、今回は本当にフラットかつプレーンな感じで臨めましたね。僕もかつては自分の思いがグワッと凝縮している時期がありましたけど、昔は渡部さんも役者としての気負いみたいなものがあって…。そんな渡部さんが当時すごくよかったんです。でも現場では、その思いに見合うような高いレベルの演技やアクションは求められない。当時はそのギャップにだいぶ苦しまれたんじゃないかなって、傍から見ていて思うんです。
渡部:言葉にはしないですが、若い頃はきっとそう思っていました。でも、それはあくまで個人の思い。作品はお客さんに見ていただいて成立するものですから、今はあまり気にしなくなりましたね。
堤:渡部さんはだんだん達観され、この10年くらいは気負わずにいろんな役や言葉を楽しめるようになっていらっしゃるのかな、という印象です。ただ、年齢と共に自然体となった今も、とてつもない存在感を放っていらっしゃる!僕はこれが撮りたかったんです。これはなかなか…やろうとしたってできない、スゴいことですよ。この段階で久々に組めて、本当によかったです。
――渡部さんから堤監督をご覧になって、昔と変わったと感じられた部分はありますか?
堤:どうですか?ご覧の通り、今では“じいさん”ですよ!
渡部:前から“じいさん”みたいでしたから(笑)。というのも、堤さんを見ていると、すごい人生観を持った方なんだろうなと感じるんです。その人生観が今回も映像にも出ているのではないかな、と。
■天川教授の「アディオス」の生みの親は堤幸彦
――天川教授の挨拶「アディオス」は台本には記載されていませんでしたが、あれは堤監督の発案ですか?
堤:そうです(笑)。実を言うと天川教授は、過去に僕が渡部さんとご一緒した作品にはない“初ジャンルのキャラクター”なんですよ。というのも、彼はゼミ生だったW探偵たちに「口に出して言っちゃいけないけど、犯罪とはこんなに理知的で面白いんだよ」ということを教えた“ものすごく捻れていながらも、非常に真面目でまっとうな人間”。ひとつも遊べる部分がないんです!でも、やっぱり渡部さんの顔を見ていると、アイデアが降ってくるんですよね(笑)。今までの僕と渡部さんの付き合いの延長線上で、一言だけどうしても遊びが欲しくなったんです!それで、あえてピンポイントで狙ってみました。
渡部:簡単なものでよかったです。なにせ大ベテランの方々ですら現場でいきなり「こういうふうにやってくれ」と言われ、戸惑われている姿を見てきていますので(笑)。撮影初日は「これまでのお付き合いもあり、言われやすい立場だから、何か来るかな…」と少々ハラハラしていましたが、「アディオス」のみで済んでホッとしました。
■キャラクターのこだわり、そして堤監督の演出の醍醐味とは
――今後も注目すべき天川教授のキャラクターは、どうやって造形されたのでしょうか?
渡部:今回は天川がこういう人間だと明確に分からせるようなシーンがあまりないんです。となると、演じる上で軸となるのは彼の人生観しかない。あまり余計なことはせず、ご覧になった方々にその人生観を感じ取っていただければラッキーかな、と思って演じています。
堤:天川は、視聴者がいろんなことを想像できる立ち位置にいる人物ですよね。あと、何と言っても最大のこだわりポイントは、渡部さんが自らオーダーして作られたスーツですよ!
渡部:もともと僕はもう少し違う感じを想像していたのですが、最初の打ち合わせで堤さんからブリティッシュ風にしてほしいと言われましたので、その線で突き詰めてみよう、と。20年来の付き合いになるビスポーク職人さんと相談し、監督のイメージをもとに天川のキャラクターを意識したデザインに仕立てていただきました。生地は監督に選んでいただいたのですが、やはりこうやって考え抜いた洋服を着ると、天川として動きやすくなります。
堤:僕は天川に完璧なスタイルであってほしいと思っていたのですが、今回は渡部さんがスーツだけでなく、ネクタイや時計、眼鏡も選んでくださったんですよ。まさに渡部さんのダンディズムの結晶!天川のイメージにもぴったりで、素晴らしいです。
――作品全体の演出面で、堤監督が特にこだわられたポイントも教えてください。
堤:やっぱり倒理と氷雨のキャラクターですね。今回は非常に正統派のミステリーで、この2人の筋が通っていないと成立しない話。さらに、謎を解いた先に“若い2人では見えない、もっと深いもの”も見えてくる一種の成長物語でもある。1話30分でいろんな要素を成立させるのは大変ですが、この仕事を始めて40年…今までのすべてを試されているような感じもして、楽しいです。
渡部:今回は放送枠こそ30分ですが、中身は1時間枠に相当する物語になっていますよね。
堤:そうですね。それを正味24~25分で描くため、余裕の時間は一切なく、とにかくストレートに迫っていく必要がある。そういう意味では“ドラマ作りの基本中の基本”なんです。それを70歳の手前で、もう一度やれる機会はなかなかないですから、ありがたいことです。実は「ずっと続けばいいな」と思う撮影ってなかなかないんですけど、今回はご支持があれば、ずっとやりたいという思いがあります。
■2人とも品があって、人間性が美しい
――本作の軸となる倒理&氷雨を演じるW主演、松村北斗さん&西畑大吾さんと一緒に、ここまで撮影されてきての感想もお聞かせください。
渡部:お2人とも非常に品があって、人間性が美しいじゃないですか。それは今回の役柄にとって、すごく大事なことかなと思います。品というものは出したくても出せないものでもありますし、感心しています。
堤:僕は彼らの真面目さに一番信頼を置いています。なおかつ、カッコよくてかわいい稀代の2人ですから、本当に撮り甲斐がありますね。“撮れ高”なんていう業界用語がありますけど、今回はテイク1がそのまま撮れ高になるケースがほとんど。素晴らしいですよ!
■後半戦からの見どころ
――今後の見どころも教えてください。
堤:これまで各話において、物語の縦軸としていろいろ織りなしてきたことがあります。それは少しずつしか出ていないことかもしれないし、あるいはご覧になっている方が大変気になり続けていることかもしれない。そのすべての謎が今後、解決します。なぜW探偵の倒理&氷雨は不可能担当と不可解担当に分かれ、なぜ穿地(石橋静河)は刑事になり、なぜ美影(早乙女太一)は犯罪コンサルタントになったのか。そして、なぜ彼ら4人と恩師・天川教授はそこにいて、なぜそういう発言を繰り返すのか…。最後まで見ていただけると腑に落ちる、きちんとした構図になっていますので、特に最終回は目を皿のようにしてご覧ください。
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