【篠塚和典のセ・リーグ順位予想】3連覇を狙うヤクルトは4位 「巨人と阪神がリーグを引っ張らないと面白くない」

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【篠塚和典のセ・リーグ順位予想】3連覇を狙うヤクルトは4位 「巨人と阪神がリーグを引っ張らないと面白くない」

3月30日(木) 11:00

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プロ野球がいよいよ開幕する。昨年、セ・リーグは2年連続でヤクルトがリーグ優勝を果たしたが、他球団の巻き返しはあるのか。



卓越されたバットコントロールと華麗なセカンドの守備で、長らく巨人の主力として活躍し、引退後は巨人の打撃コーチや内野守備・走塁コーチなどを歴任した篠塚和典氏に、今シーズンのセ・リーグ順位予想と展望を聞いた。





巨人の4番として活躍が期待される岡本(左)と阪神の主砲・佐藤





【1位予想:巨人】

――古巣の巨人を1位に予想。篠塚さんが春季キャンプなどを視察されて感じた課題や期待などはありますか?



篠塚課題になりますが、ピッチャーです。すぐに名前が浮かぶ先発は菅野智之と戸郷翔征くらいですし、ちょっと寂しいですね。山﨑伊織や赤星優志、井上温大らはこれからのピッチャーですし、新外国人の(フォスター・)グリフィンと(タイラー・)ビーディがやってくれないと苦しくなるでしょう。



リリーフ陣も、抑えにはビシッと大勢がいますが、その前に投げさせるピッチャーをどう整備していくのかが課題です。



――セットアッパー候補のヨアン・ロペス投手やルイス・ブリンソン外野手など、新外国人選手の出来がカギになりそうですね。



篠塚そうですね。外国人選手の登録は野手をひとりにして、手薄になりそうなピッチャーを3人にするのか......。日本人野手の出来によって変わりそうです。外野手の(アダム・)ウォーカーは昨シーズン、ある程度の成績を残しているので必要な存在だと思います。



――バッター陣でキーマンを挙げるとすれば?



篠塚岡本和真です。4番候補は何人かいるかもしれませんが、やっぱり岡本を4番にしないと。2番や3番、5番や6番はある程度動かしてもいいと思いますが、1番や4番はチームを引っ張っていく重要な役割があるので、しっかり定着させていったほうがいいと思います。



問題は1番。出塁率のいいバッターを据えるのが基本だと思いますが、いいバッターもなかなか出てきませんね......。現状では「誰かいるかな?」となってしまいます。



――その中で候補となる選手は?



篠塚今のところは吉川尚輝。1番打者は出塁率もそうだし、"足"も重要。「走られちゃ困る」というプレッシャーを相手バッテリーに与えられる選手が適しているので。



1番打者の足が遅いと、「盗塁はない。2番はバントで送ってくるだろう」といったように攻め方が絞られますが、逆に足が速ければ作戦の幅が広がります。オコエ瑠偉も、オープン戦のような活躍がレギュラーシーズンでもできれば、1番で起用される可能性があると思いますよ。

【2位予想:阪神】

――阪神を2位と予想した理由を聞かせてください。



篠塚岡田彰布監督は選手をどう起用していくか、調子に乗せていくかという部分に長けている監督なので、そこに期待です。ただ、思っていることをけっこうズバズバ言うので、選手がどう受け止めるかにも注目しています。



あとはピッチャー陣がいいですよね。昨シーズンはチーム防御率がよかった(リーグトップの2.67)ですし、大崩れはしないと思います。打つほうもいいので、阪神は投打の総合力が高いです。



――野手陣に関しては、主軸の大山悠輔選手は一塁、佐藤輝明選手は三塁で固定することを明言しています。



篠塚ポジションを固定して打撃を重視するということでしょうが、シーズン中に守備重視に転換する可能性もあるでしょう。打順は、1番が近本光司、あとはクリーンナップの大山、佐藤あたりが昨年以上の成績を残せれば面白いと思います。



巨人と阪神を1、2位に予想しましたが、個人的にセ・リーグはこの2チームが引っ張っていかないと面白くないと思っています。そういう意味で巨人の巻き返しと、岡田タイガースの奮闘に期待ですね。



【3位予想:DeNA】



――3位予想のDeNAはいかがですか?



篠塚ピッチャー陣も野手陣もバランスがいいと思います。先発はWBCでもいいピッチングを見せた今永昇太が軸になっていくでしょうし、サイ・ヤング賞投手の(トレバー・)バウアーも加入しました。



リリーフ陣も、昨シーズンにクローザーに返り咲いた山﨑康晃が今シーズンもいいんじゃないかと。彼が安定してくると、ピッチャー陣はもっとバランスがよくなると思います。



――野手陣は、中日から加入した京田陽太選手が、オープン戦では本来のショート以外にファーストやサードでも起用されていました。



篠塚守備はいいと思いますよ。ファーストやサードの守備に慣れれば、ユーティリティープレーヤーとして貴重な存在になるでしょう。



ただ、バッティングは波が激しく、悪い時の状態が長く続いてしまう。バッティングの改善は大きな課題。ある程度打てたら、中日も出していないはずですから。

【4位予想:ヤクルト】



――リーグ連覇中のヤクルトは4位ということですが、まずピッチャー陣をどう見ていますか?



篠塚先発は小川泰弘、高橋奎二、サイスニードらがいますが、駒不足な感はあります。ドラフト1位ルーキーの吉村貢司郎や、新外国人の(ディロン・)ピーターズの出来がカギを握るでしょうね。あとは、(2軍で右肘のリハビリ中の)奥川恭伸あたりがシーズン途中からでも復帰できると心強いですが。



――先発が駒不足だと長いシーズンは厳しい?



篠塚それでも、なんとなく戦えてしまうのがヤクルトなんですよね。高津臣吾監督の手腕だと思います。あとは、抑えの(スコット・)マクガフが抜けた穴をどう埋めるかでしょう。新外国人(キオーニ・)ケラも、開幕してみないとわからない感じです。



――バッター陣はいかがですか?主砲の村上宗隆選手は、WBCの終盤に調子を上げました。



篠塚どうしても周囲は「昨年と同じような成績を」と見てしまいますから、今シーズンはかなりのプレッシャーがあると思います。相手チームも研究してきますし、かなり警戒されると思いますが、それが村上にとっていいほうに出るか、悪いほうに出るのか。



WBCで厳しい試合を経験して得たものもあるでしょうから、どういうバッティングを見せてくれるのか楽しみです。山田哲人もまだ30歳で脂がのっている時期ですし、復調に期待したいですね。



【5位予想:広島】



――新井貴浩新監督が就任して再起をはかる広島。どんなところに注目していますか?



篠塚新人監督なので、どういう野球をするのか、どういう選手の使い方をするのかに注目しています。ただ、監督が代わっても、結局は選手個々が力を出せないと、監督が思い描いている野球はできません。打線では、秋山翔吾や菊池涼介が盛り返してこないと厳しいでしょうね。



――野手陣は他にも、西川龍馬選手、坂倉将吾選手ら好打者が多いですが、長打力では迫力が不足している印象です。



篠塚広島はそこですね。新外国人の(マット・)デビッドソンや、2年目の(ライアン・)マクブルームがどれぐらい打てるのか。逆に長打が増えてくれば、面白い打線になりそうです。

【6位予想:中日】



――最下位に予想した中日は、昨シーズンから若手を積極的に起用しています。



篠塚オフに思い切ったトレードをしましたよね(京田がDeNA、阿部寿樹が楽天に移籍)。立浪和義監督には、"今までの選手"を整理して、"これからの選手"を育ててチームを固めていく狙いがあると感じました。



――ピッチャーでは髙橋宏斗、バッターでは岡林勇希ら、さらなる飛躍が期待できる選手も出てきていますね。



篠塚そうなんです。だから、これから2、3年で起用される若手は「そこそこやれるな」というものを見せていかないと、首脳陣を悩ませることになってしまう。勝敗はもちろん大事ですが、現状は若手をどう成長させていくか、若手がどんな働きをしてくれるか、という感じで見るチームですね。



ピッチャー陣はいいので、若手野手の底上げや主軸候補の(アリスティデス・)アキーノら外国人選手の活躍がポイントになると思います。



ここまで、現時点での戦力分析で順位を予想してきましたが、どの球団も外国人選手やケガ人、選手の覚醒などで状況は変わっていきます。また、WBCで侍ジャパンをけん引した大谷翔平やダルビッシュ有、吉田正尚のような、各チームを引っ張る主力が活躍することでリーグを盛り上げてほしいです。



【プロフィール】



篠塚和典(しのづか・かずのり)



1957年7月16日、東京都豊島区生まれ、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番打者などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と一軍打撃コーチ、一軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。

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