2020年春の「第92回選抜高等学校野球大会」、夏の「第102回全国高等学校野球選手権大会」が、新型コロナウイルスの影響で戦後初の「中止」に追い込まれてから3年の時を経て、元球児の有志と20代の学生起業家を中心としたプロジェクトが実を結び、2023年11月29日に聖地・甲子園で、当時の全国元高校野球チーム計46校、総勢約1,000人を集めた大会の開催が決まった。
【写真】発起人・武蔵野大学2年生の大武優斗さん
■“幻の甲子園”開催を目指したのは1人の現役大学生
プロジェクト名は「あの夏を取り戻せ全国元高校球児 野球大会 2020-2023」。発起人は武蔵野大学2年生の大武優斗さん。大武さんは高校3年生だった2年前、甲子園という晴れの場を失ったまま「引退」を迎えた元高校球児の一人。
一時は「死にたい」とまで思ったほど、野球に捧げた時間は短くなかったと言う大武さん。それでも「中止は誰のせいでもないことなので、嘆いたところで何も変わらない」と一念発起した進学先では、学友と共に起業を経験。起業の過程の中で、出会いと挑戦の日々を通して再び湧き上がってきた思いが「甲子園」だったと言う。
■「自分が出たいから企画を始めたわけじゃない」
昨年6月にプロジェクトを発足し、同年10月に参加チーム46チームが募集わずか2ヶ月で決定した。参加チームは2020年の夏の予選会を通過した高校で、発起人である大武さんの母校は、当時の甲子園東東京予選で敗退している。当時の代表校は「帝京高校」。「自分も出たいですけど、自分が出たいから企画を始めたわけじゃなくて、甲子園に出るはずだったチームが出ないのがモヤモヤしていて、だからこそ自分たちの代表チームである帝京さんに出ていただきたい」と裏方としての覚悟は決まっている。
プロジェクトを支えるのは、10代20代で起業をした若手経営者やインフルエンサー。人選の理由として「若者が挑戦できる社会をつくること」を、大会運営の過程の中でメッセージとして発信をしていきたいと言う思いから。今後は6月にクラウドファンディングを実施し、11月の開催に向けて彼らの甲子園への歩みは続く。
【関連記事】
・
「甲子園の土」を通して、沖縄の高校球児たちの躍進と時代の記憶をたどる
・
「幻の甲子園」復活を目指す元高校球児の思い「みんなで野球をしたいだけ」
・
斎藤佑樹と古田敦也のゲスト出演が決定唯一無二の経験と取材力で地方大会を熱く伝える<甲子園への道>
・
田中将大、甲子園決勝での斎藤佑樹との投げ合いを回顧「非常にやりづらかった」
・
なにわ男子・大西流星、甲子園での“目撃情報”の真相明かす