BABYMETALライブ再始動、「熱狂空間」で見た「新たな日常」

Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

BABYMETALライブ再始動、「熱狂空間」で見た「新たな日常」

2月6日(月) 19:45

BABYMETALがライブ活動を封印させてから早1年と数カ月が経過したが、その解除のタイミングはあまりにもドラマチックなものだった。奇しくもライブ前日の1月27日、政府が新型コロナウイルスに対する基本的対処方針を改定し、感染防止に向けたイベントの人数上限を撤廃。マスク着用の状態であれば大声を出しての観覧も可能となったのだ。

【写真を見る】BABYMETALがステージに帰還

この決定を受け、各自治体との協議により1月28日、29日に幕張メッセ国際展示場ホールで実施の『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』はオーディエンスの”声出し”可能ライブへと急遽変更。BABYMETALのライブ再始動の場は、これも偶然とはいえ彼女たちが最後に行った国内での”声出し”ライブでもある2020年1月の「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY」と同じ会場となった。

国内での”声出し”可能ライブは実に3年ぶり、コロナ禍に実施された『10 BABYMETAL BUDOKAN』から数えても2年近くが経過しようとしていた2023年1月、BABYMETALはコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』(3月24日発売)の完成とともに我々のもとへと帰還した。会場へ入ると、まず目につくのが客席を挟む形で用意された2つのステージセットと、そのステージをつなぐ1本の花道。そのスケール感の大きさに「あのBABYMETALが帰ってきた!」と興奮を隠せないオーディエンスも多かったことだろう。かくいう筆者も、この予想外のステージ構成に「どんなステージが展開されるんだ?」とワクワクしたものだ。

開演を告げるアナウンス後、フロアからは大歓声と盛大なクラップが湧き起こる。この感覚も本当に久しぶりで、最初こそ動揺したものの、会場が暗転してフロアの熱気がさらに急加速した頃には3年前のモードに戻っていたのだから、不思議なものだ。

封印解除を告げる映像を経て、花道にはコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』のテーマである”10のパラレルワールド”から導かれた10人の使徒が姿を現す。ゆっくりと行進する使徒が目指す先には、巨大な玉座が登場し、『THE OTHER ONE』の冒頭を飾るエピカルな新曲「METAL KINGDOM」からライブはスタート。玉座と反対側のステージでは神バンドがヘヴィなサウンドを轟音で鳴らし、玉座側からはSU-METAL(Vocal, Dance)が、神バンド側からはMOAMETAL(Scream, Dance)がゆっくりと歩みを進める。そして、花道中央の円形ステージで2人が交わると、曲のクライマックスにあわせてステージが上昇し、2人は手にした槍を掲げる。その姿はまるでBABYMETALのライブ再始動を高らかに宣言するようでもあった。


Photo by Taku Fujii



続く「Divine Attack - 神撃 -」では、その攻撃的なサウンド、曲調と相まって、フロアの盛り上がりが急加速。円形ステージ上では”アベンジャーズ”を加えた3人で一糸乱れぬパフォーマンスが展開され、SU-METALは伸びやかな歌声を響かせていく。一方、客席に目を向けると早くもサークルモッシュが発生しており、改めて新たな”日常”がここから始まったのだと実感させられた。





ウォール・オブ・デスの熱狂

「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」「ギミチョコ!!」「メギツネ」とライブに欠かせない新旧のキラーチューンが連発されるたびに、会場の熱気は上昇し続けていく。また、BABYMETALを乗せた円形ステージは花道上を常に移動を繰り返し、会場中のオーディエンスへと近づいていくものだから、その盛り上がりは常に右肩上がりの状態だ。その客席からどよめきの声が上がったのが、BABYMETAL始まりの曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」でのこと。なんと曲の途中で、もうひとつの円形ステージにBABYMETALと瓜二つの3人が姿を現したのだ。曲が始まる前に上映された映像にて、バーチャルワールド「METALVERSE」を通じて”もうひとつのBABYMETAL”を復元させる計画が明かされたが、今目の前でパフォーマンスしているBABYMETALと瓜二つの3人こそが”もうひとつのBABYMETAL”なのだろうか……その情報量の多さに脳が追いつかないなか、2つの円形ステージでは2組のBABYMETALが交互に照明を浴びながらキレキレのダンスを見せていく。我々の想像を絶するこの奇想天外な演出に、改めてBABYMETALの唯一無二な独自性を感じずにはいられなかった。


Photo by Takeshi Yao

「Light and Darkness」「Monochrome」とライブ初披露の新曲でライブ後半に突入すると、そのダークな音像で新たな世界観を築き上げていく。特に「Monochrome」ではSU-METALの「この暗い世界をみんなで照らしてほしい」という呼びかけに対し、観客はスマホのライトを点けることで会場一面が光の海へと一変する。そんな感動的な空気に包まれた会場も、「ヘドバンギャー!!」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」が連発されると再びモッシュの海へと激変。「Road of Resistance」では久しぶりに”ウォール・オブ・デス”も敢行され、最高潮の中ライブを締め括った。


Photo by Taku Fujii




SU-METAL(Photo by Takeshi Yao)


MOAMETAL(Photo by Taku Fujii)

フロアから自然発生した”BABYMETALコール”に応える形で、SU-METALとMOAMETALは新曲「THE LEGEND」とともにステージへ再登場。花道には白装束の10人の使徒が再登場し、SU-METALとMOAMETALを乗せた2つの円形ステージを見送る。2人がアリーナ中央で交わり合うことで、2つの円形ステージは∞を形作り、まばゆい光を放ちながらエンディングを迎える。そして、「”New Birth”から”New Verse”へ」と新しいメタルの誕生を示唆する映像に続いて、SU-METALとMOAMETALは2つのクリスタルの棺へと一歩、また一歩とゆっくり歩み寄り、棺の前に立ったところで会場が暗転。そのまま28日の初日公演は幕を下ろした。

続く29日の公演では、この2つの棺に加え新たな棺がひとつ加わり、BABYMETALの新たな旅が始まることが告げられた。その新たな旅は3月24日にリリースされるコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』、4月1日&2日にぴあアリーナMMで行われる『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE』へと続いていくことになる。同ライブ初日の4月1日は、BABYMETALにとって”FOX DAY”と呼ばれる重要な日でもあるだけに、どんな”お告げ”があるのか今から気になるところだ。


Photo by Taku Fujii



『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』セットリスト
01. METAL KINGDOM
02. Divine Attack - 神撃 -
03. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)
04. PA PA YA!! (feat. F.HERO)
05. ギミチョコ!!
06. メギツネ
07. ド・キ・ド・キ☆モーニング
08. Light and Darkness
09. Monochrome
10. ヘドバンギャー!!
11. イジメ、ダメ、ゼッタイ
12. Road of Resistance
13. THE LEGEND


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