藤原季節、俳優10年目を迎え意識している“受け入れること”「自分の欲望だけだと息切れしてしまう」

藤原季節/※ザテレビジョン撮影

藤原季節、俳優10年目を迎え意識している“受け入れること”「自分の欲望だけだと息切れしてしまう」

1月24日(火) 17:01

1990年代に放送されていた深夜番組「ギルガメッシュないと」(テレビ東京系)から着想を得たドラマ「ギルガメッシュFIGHT」が、動画配信サービス「Paravi」で配信されている。同ドラマの主演を務めるのは、藤原季節。天才ディレクター加藤を演じた藤原は「加藤の個性をどう色づけしていくかは、本当に苦労した」と語る。役作りのために行ったことや、共演を楽しみにしていたという大東駿介とのエピソード、また俳優としてのキャリア10周年を迎え「受け止めること」も大切にするようになったという自身のスタンスについて話を聞いた。
【写真】天才的かつ芸術的なアイデアを生み出す、藤原季節演じる加藤ディレクター

■「破滅的な演技がしたい」という大東駿介との共演を楽しみにしていた

ーー90年代生まれの藤原さんにとって、このドラマは、今の時代からは想像できないような世界観だったと思うのですが、最初に台本を読んだときの感想をお聞かせください。

まず純粋に、脚本も作品としてもおもしろいと思いました。それから大東駿介さんとも共演できる機会があるかもしれないということもあって、ぜひやらせていただきたいと。その後に「ギルガメッシュないと」という伝説の番組といわれる存在を知りました。

非常に熱烈なファンが多い番組だということを後から知って、徐々にプレッシャーに感じていきましたね。当時見ていた人の熱量がものすごくて、これはすごいプロジェクトになりそうだなと、本当にドキドキしました。

ーー大東さんとの共演を楽しみにされていたということでしたが、その理由は。

個人的に、大東さんの舞台をよく拝見しているのですが、大東さんは毎回アナーキーな演技をされるというか、型にはまらない演技が凄まじいんです。以前、映画「明日の食卓」でもご一緒したのですが、その時も勢いのあるお芝居をされていて、大好きな俳優さんなので共演を楽しみにしていました。

今回の「ギルガメッシュFIGHT」でも、大東さんの予想だにしない熱量とエンジンのかかり方に驚きました。彼の“力の根源”を取材しようと思って、待ち時間もずっと大東さんの楽屋に押しかけてましたね(笑)。

大東さんは、破滅的な演技がしたいそうなんです。例えば、舞台だと30公演以上あったりするんですが、大東さんの演技の仕方で30公演もつのかなって毎回、思っていました。その感想を素直に本人に伝えたら「そう思わせたいねん。こいつ最後までもつのかなっていう演技を毎公演したい」とおっしゃっていて。その熱意がすごいなと思いましたし、撮影でも記者会見でも、その破滅的な姿は変わっていなくて、本当に尊敬する人です。

■現代で尖った表現をすることの勇気

ーー「ギルガメッシュないと」を知らない世代の人もご覧になると思いますが、その世代に向けての見どころと、現代にも通じるドラマのメッセージ性は何だと思いますか?

当時は、“エロは人間の本質である”ということを、大きな声で言って番組を制作できた時代だったと思うんです。そしてそれに吸い寄せられた人たちが番組を見ていたと思うんですが、今は多様な価値観を認めようという時代なので、1つの尖った意見を大きな声で主張することって難しくなっているんじゃないかと感じます。“エロは人間の本質である”といっても、恋愛しない方もいるでしょうし、嫌悪感を持つ人もいますよね。

でも、そんな時代に窮屈さを感じてる人も多いはずだ、というのが出発点の思いとしてあって、そこに目を背けずに作られた番組です。それから、ギルガメはエロ番組ではなくて、エロをテーマにしたバラエティー。ただのエロじゃダメで、バラエティーになっていないといけない。そこのこだわりが強いんです。

僕が好きな加藤のセリフで「番組はプロデューサーのものじゃない。ディレクターのものだ」っていう言葉があります。プロデューサーはコンプライアンスや世間の声を反映して、もう少し抑えようと言うんですが、加藤は全部跳ね除けて、妥協せずに企画を考え続けます。それは最近では、少なくなってきた傾向なのかなと思います。多様な価値観全てに順応するために、尖ったものを押さえつけてしまいがちなのかなと。だからこのドラマ通して、尖った表現をすることとか、周りに嫌われることを恐れないとか、そういう精神を見ることもできるのかなと思います。

■「加藤の個性をどう色づけしていくかは、本当に苦労しました」

ーー天才と呼ばれるディレクター・加藤という人物を演じきれたという実感はありましたか。

加藤の個性をどう色づけしていくかは、本当に苦労しました。出演が決まってから「全裸監督」や、マーティン・スコセッシ監督の作品を見直したりしたのですが、どうあがいても山田孝之さんの真似は絶対できないなって気づいたんです。山田さんがやられていることって本当にすごいんですよ。

でも、あれをしよう、これをしようって足し算方式でやりたいことをどんどん足していくと、個性がぐちゃぐちゃになってきて…。もっと人物の核をつかまなきゃと思って、自分が演じるモデルになった人の写真を飾ってそれを毎日見続けたり、監督とディスカッションを重ねたりしました。

足し算的な個性は衣装を着たり、監督の演出や共演者の動きに順応していく瞬発力を大事にしましたね。例えば、衣装がすごく派手なので、この派手な服を着ている人物が違和感なくその場に立っていられるには、どういう佇まいが正解なんだろうと考えたり。現場で集中して、人との関わり方や、目に見えたものへの反応の仕方、その一つ一つに個性を乗せていって、結果的に加藤を生み出していきました。

■俳優としてのキャリア10周年を迎える現在は「『これをやりたい』と『受け止める』の間にいたい」

ーー大東さんは“破滅的な演技がしたい”とおっしゃっていたとのことですが、藤原さんは今後どんな演技をしていきたいですか。

俳優を続けて10年になるのですが、自分はこういう演技がしたい、こういう役がやりたいって望みすぎると、その場所にたどり着けないような気がしてきたんです。自分自身の欲望だけだとどうしても息切れしてしまう。だから、自分に与えられる役や役割を受け入れて全うすることも意識して、「これをやりたい」と「受け止める」の間にいたいと思っています。

2022年は、他者が見てくれる自分を大事にしたり、他者がくれたアドバイスを真剣に聞いたりと、そういうことに初めてチャレンジしてきた1年でした。2023年はその結果が出てくる年だと思います。受け入れ続けた結果、どこにたどり着くのか、自分自身でも見てみたいですね。

自分の今の目標は落ち着くことです(笑)。小さい頃からいつも100%の感度で物事を捉えて、全部に反応してたので、今は落ち着いて自分に与えられた仕事をして、結果的にその先にたどり着ければいいなと思います。



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