ダルビッシュ有「2017年の自分より、いい投手になった」。苦手だったプレーオフで、メッツに続き古巣ドジャースも撃破なるか

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ダルビッシュ有「2017年の自分より、いい投手になった」。苦手だったプレーオフで、メッツに続き古巣ドジャースも撃破なるか

10月13日(木) 6:10

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1イニングごとに、シティ・フィールドは静かになっていった。



現地時間10月7日にニューヨークで行なわれたMLBプレーオフ、ワイルドカードシリーズ第1戦でメッツと対戦したサンディエゴ・パドレス先発のダルビッシュ有は、7回を投げて6安打1失点の快投。ポストシーズンで自己最長のイニングを投げ、チームの7−1での勝利に大きく貢献した。



「試合前から盛り上がっていましたけど、イヤホンをずっとしていたので。あまり聞こえなかったのがよかった。初回、2回の向こうのチャンスの時は本当に歓声がすごくて、横で『ワーッ』と言われているような感じだったんですけど、『ただの音だ』と考えたことでちょっと落ち着いたかなという感じです」





MLBワイルドカードシリーズ第1戦で、メッツ相手に勝利を挙げたダルビッシュ



試合後、ダルビッシュがそう述べていた通り、この日のメッツの本拠地はとてつもない雰囲気だった。シリーズの下馬評は、シーズン中にチーム史上2位タイの101勝を挙げたメッツが優位、という声が一般的だった(パドレスは89勝)。ジェイコブ・デグロム、マックス・シャーザー、エドウィン・ディアスといった好投手を擁するメッツの前評判は高く、地元スタジアムにもその期待感が満ち溢れているようだった。ところが――。



そんなニューヨーカーたちの前にダルビッシュが立ちはだかった。



晴れのポストシーズン開幕投手を任されたが、実はこの日は絶好調というわけではなかった。1、2回は3塁に走者を背負い、しかもプレートを蹴る軸足がマウンドの土に擦れ、2回途中あたりから右足親指付近を出血するアクシデントも。そういった厳しい状況下でも崩れず、リズムを掴んだ3回以降、ダルビッシュはメッツ打線を手玉に取っていく。粘り強い投球を続ける36歳の投球術は際立っていた。



「(投球内容自体は)あんまりよくなかったですね。親指(の出血)がちょっとあったっていうのと、風が少し吹いていたので。投球練習の時から試合の数イニングはフォーシーム(直球)がちょっとカットしたり、ツーシームも試合中にカットしたりしていた。そこでスライダー系を多くしました」

2017年WSでは屈辱の負けもそう対応できることが、今季のダルビッシュの充実ぶりを物語っている。レギュラーシーズンでも開幕投手を務めた右腕は、いずれも今季チームトップとなる16勝、197奪三振、194回2/3と好成績をマーク。クオリティスタートはリーグ最多の25度で、9月はナ・リーグの月間最優秀投手に選ばれるなど安定感抜群だった。今秋に関しては、その充実ぶりをそのままポストシーズンでも継続した印象がある。



エースの踏ん張りでもぎ取った第1戦の勝利で勢いをつけたパドレスは、第2戦を落としたものの、第3戦は6-0で快勝。上位シードのメッツを敵地で下す番狂わせを完遂し、ダルビッシュも溜飲を下げたのだった。



「年齢を重ねることは恥ではないんだよ」



1994年、45歳9カ月でボクシングの世界ヘビー級王者に返り咲いたジョージ・フォアマンはそう述べたが、その言葉は今のダルビッシュにも当てはまるかもしれない。いつの間にか36歳となり、メジャーキャリアも10年目を迎えた右腕に全盛期の球威はないのかもしれない。たとえそうだとしても、若い頃と比べて投手としての力量が落ちているとは限らない。



メッツとのプレーオフ戦に勝ったあと、集まったメディアに「2017年、ロサンゼルス・ドジャースの一員だった頃と比べて投手としてどう変わったか」と問われたダルビッシュはこう答えている。



「メンタル面だったり、ゲームの準備だったりはまったく別のレベルだと思う。なので、結果はいい投手になったと思います。メンタルだと、メディテーション(瞑想)をよくするようになったこと。何に集中するべきかわかっているのと、(準備面では)データベースとかを使って相手をすごく勉強するようになったところです」



2017年のワールドシリーズでのダルビッシュは、ヒューストン・アストロズ相手に2敗。特に第7戦は序盤でKOされる屈辱を味わった。その一戦を含め、今秋までポストシーズンでは通算7戦で2勝5敗、防御率5.18。「大舞台は苦手」という印象があるファンも多いかもしれない。

ただ、経験を重ね、準備の仕方も覚えた今のダルビッシュはひと味違う。加齢とともに進化した姿がわかりやすい形で示されたのが、"四面楚歌"の状況でも成功の術を見出したメッツ戦だった。

古巣ドジャース、カーショーとの投げ合いへ「起きた時、最初は呼吸も浅くて、『ちょっと緊張気味なのかな』と思っていました。食欲がなかったし、小さいうどん1杯とバナナしか食べてこなかったので、スタミナ面を心配しました。ただ試合前になって、自分と妻、2人でやってきたことを見せるだけだと思ったことで落ち着きました」



自身で研ぎ澄ました適応能力だけでなく、家族の支えも手にしたダルビッシュは、本人の言葉通り"別のレベル"の投球ができているのだろう。



そんなダルビッシュは、これから最大級の大勝負を迎えようとしている。シーズン101勝のメッツを番狂わせで下した喜びも束の間、11日から始まった地区シリーズで対戦しているのは今季111勝のドジャース。ダルビッシュの古巣でもある名門球団はダントツの優勝候補と目されている。



「ドジャースに投げるのが一番楽しい。どれだけいいチームか、いい球団かを僕は知っているので、相手として一番大きい存在。やっぱり完璧でないといけないので、ドジャース戦を控えるときは登板間、お酒も飲まないですし、それだけ"かけている"ということです」



シーズン中の登板時に話したそんな言葉通り、ダルビッシュはドジャースが特別な対戦相手であることを隠さない。



11日のシリーズ第1戦はドジャースが5−3で制し、3戦先勝制のシリーズで早くも優位に立った。苦しくなった第2戦で、パドレスはダルビッシュをマウンドに送り込む。負ければ一気に王手をかけられてしまう一戦での登板は、間違いなく今季で最も重要となる。そんな舞台で、古巣との対戦に照準を合わせてきたベテラン右腕はどんなピッチングを見せてくれるのか。



ドジャースの第2戦の先発投手は、レジェンド左腕クレイトン・カーショー。チーム力の差を考えればパドレスの苦戦は必至だが、それでも円熟を感じさせる現在のダルビッシュには何かを期待させられる。



格上チームから、流れを奪えるとすればこの1戦。スリリングな予感とともに、ダルビッシュにとって今季の集大成と呼べるゲームの開始が間近に迫っている。

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