ロッテ佐々木朗希の投球メカニズムをわかりやすく解説。佐藤義則は「ダルビッシュでもできなかったことができている」

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ロッテ佐々木朗希の投球メカニズムをわかりやすく解説。佐藤義則は「ダルビッシュでもできなかったことができている」

4月24日(日) 7:30

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衝撃の完全試合から、メディアは佐々木朗希(ロッテ)の話題を取り上げ、球界の名だたるOBたちはその魅力や可能性について語る......そんな日が続いている。そこで現役時代、44歳まで阪急、オリックスでプレーし通算165勝、48セーブを挙げ、引退後は5球団でコーチを務め、ダルビッシュ有(パドレス)や田中将大(楽天)らの成長にも関わった佐藤義則氏に、令和の怪物・佐々木朗希の可能性についてたっぷり語ってもらった。



17イニング連続パーフェクト投球を続けているロッテ・佐々木朗希





まだ球速は上がるはず ──佐々木投手の勢いが止まりません。

「プロで長いこといろんなピッチャーを見てきたけど、練習を積めばある程度は速くなるけど、驚くほど速くなったというのは藤川球児(元阪神)くらい。結局、速い球を投げるっていうのは、才能の部分が大きい。佐々木は常時160キロを、しかも余裕を持って投げている。そういう意味で、佐々木の才能はずば抜けている。全力で腕を振ったら、間違いなくまだスピードは出る。でも、それをやると疲れが早くくるし、体への負担も大きい。とはいえ、体が慣れてきたら、もっと腕も振れるだろうし、球速も上がってくる」

──これだけのスピードがあって、しかも190センチの長身に手足も長い。コントロールに苦労しそうな感じがあるのですが、佐々木投手はそれがありません。

「コントロールはフォームだからね。佐々木はストライクゾーンに投げられる形をしっかり持っている。まず、足を上げたところできれいに立って、このバランスがいい。そこから投げにいく時に、右足がしっかり粘れるから(踏み出す)左足が簡単に地面につかない。重心もグッーと低くなって、こうなるとボールを持つ時間が長くなるし、打者寄りの位置でボールを離すことができる。低めに強いボールを投げられるのも、この形があるから。今は重心が高いまま、手先でコントロールしているピッチャーが多いけど、佐々木は下半身をしっかり使って投げている。股関節が強く、柔らかさもあるんだろうね」

──サイズは別にして、佐藤さんが現役時代にしのぎを削った名投手たちの下半身の使い方を思い出します。

「下半身の使い方というところで、俺はいつも右投手なら左ヒザを見るんだけど、佐々木はここがまたいいよね。打者へ向かっていくなかで、左足が内に入りながら出ていくでしょ」

──一塁側から見ると、"くの字"を逆にしたような、田中将大投手(楽天)や山岡泰輔(オリックス)らのシルエットでもよく見る形ですね。

「そう。この形で出ていくから、ベタっと左足が着かず、粘りながら下ろしていける。そして左足が着いたところから、左ヒザが内から外に回ってくる。ここで時間がとれるから、ボールが長く持てるし、ヒジもしっかり上がってくる。つまり、ボールを上からしっかり叩ける形ができる。今の選手はみんな体もよく、スピードボールを投げられるけど、唸るようなボールは下半身をしっかり使わないといかない」

──佐々木投手は理にかなった投げ方をしていると。

「簡単に言えば、同じところに足をついて、同じように腕を振ったら、同じところにボールはいく。それができている。ダルビッシュでさえも踏み出す位置が定まらなくて、1球投げるたびに踏み出した場所をならしたりしていたけど、佐々木は同じところに足を出すっていうのができている」

イメージは伊良部秀輝 ──ヒジの使い方についてはどうですか。

「ヒジの使い方もいい。体は大きいけどフォームは小さい、という投手が結構いるんだけど、佐々木は体全体を使って、腕も大きく使えている。俺が腕の振りの大小を判断するのは、振り幅がどうかというところ。見ているのは、脇の下からヒジまでの二の腕の部分。この部分を大きく使って回すことが大事。ここが大きく回らないと、ヒジから先が上がってこなくなり、ボールを上から叩けない。そうなると回転の効いたボールがいかない」

──それにしても圧倒的なボールです。

「今年は抜け球が少なくなった。体の厚みも増して、肩幅も広くなって、コンスタントに160キロを出せるようになった。これだけのボールを投げられたら、俺でも完全試合ができたよ(笑)」

──40歳でノーヒット・ノーランを達成した佐藤さんも、現役時代はダイナミックに体を使ってストレートの勢いで勝負するタイプでした。

「佐々木に比べたら全然だけど......俺はもっとコントロールがアバウトで、ストレートを投げる時は、人差し指と中指を少し開けてボールを握っていた。そのほうが安定するからね。でも、佐々木は指を揃えて握っている。今はこの握りが結構多いみたいだけど、このほうがスピンは効く。俺らの現役時代で言えば、伊良部(秀輝/元ロッテなど)のストレートが速くて、迫力があった。あの時、伊良部と対戦したバッターは『手が離れた瞬間に振っていかないと当たらない』と言っていたけど、佐々木もそうなんだろうね」

──今年の佐々木投手は、ストレートとフォークのほぼ2種類で勝負している印象です。

「この先、どうなっていくのか。この2つだと疲れもたまりやすくなって、長いイニングを投げるのもしんどくなってくるんじゃないかな。まして、これから何年もやっていくとなれば、負担が少なくストライクをとれる球を増やしていきたい。フォークはどうしても指に負担がかかるし、ヒジにも影響が出やすい。去年はもっと投げていたはずのスライダー、それにカーブをどう使っていくか」

初対戦で打つのは至難の業 ──佐々木投手の登板時は、球数も常に話題になります。

「相手チームからすれば、当然球数を投げさせようと考える。ただ、今の佐々木はひとりに対して4球も投げない計算でしょ。完全試合の時は105球。俺なんか210球で完投なんてことがあったから、完全試合で105球なんて考えられないよ」

──力投派、とくに三振をとるタイプの投手は球数が多く、打たせてとる投手は球数が少ないと思われてきましたが、佐々木投手はこの概念もひっくり返しました。

「あれだけのボールがあるから、どんどんストライクをとりにいけるし、コントロールもある。それに真っすぐのつもりで振ったらフォークで空振り......。そのフォークも、たとえば右打者の外へ投げる時は、あえて引っかけ気味で投げたりね。一瞬、スライダーかなって思って映像を見たら、しっかり挟んでいる。腕の振りを少し変えて、ストライクをとりたい時はベースの中、空振りをとりたい時はベースの外を狙って投げている」

──相手チームもどう対策を立てていくのか注目です。

「160キロのストレートに150キロ近いフォーク。のびのび投げられたら打てない。得点するのは簡単じゃないけど、走者が出ると空気は変わるはず。いつもはセットで、ランナーがいない時は足を大きく上げて投げられているけど、ランナーが出ればそうはいかなくなる。クイックもまだちょっと遅いし、クイックになれば誰でもボールは弱くなる。対戦相手からすればこのあたりだよね」

──いかにランナーを出せるかがカギになりそうですね。

「あとはZOZOマリンスタジアムの影響もあるかもしれない。あそこは風がバックネットからマウンドへ跳ね返ってくるから、とにかくフォークがよく落ちる。オリックスの野田(浩司)が19三振を奪った時もこの球場だった。バッターはベース前のワンバウンドの球を振っていたからね。佐々木の凄みがより生かされるのがマリンだとしたら、相手はそこでやりたくないだろうね」

──今季5度目の登板は、再びオリックス戦です。

「オリックスは佐々木との対戦は2回目で、今回は京セラドーム。打線の調子がなかなか上がってこないけど、どれくらい対応して、どういう攻め方をするのか興味深い。バッターのなかにイメージはできているだろうし、ボールの見え方も1回目と2回目とでは違う。そう思うと、交流戦で対戦するセ・リーグのバッターは腰を抜かすんじゃないかな。初対戦であの球を打つのは至難の業。交流戦でまた完全試合なんてこともあるんじゃないかな。いずれにしても、ほんと末恐ろしいピッチャーが出てきたもんだよ」

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