台湾の小松菜奈と呼ばれる女優・陸夏、転機は「OLを辞めた25歳」

“台湾の小松菜奈”と呼ばれている陸夏(ルシア)写真@argotzeng

台湾の小松菜奈と呼ばれる女優・陸夏、転機は「OLを辞めた25歳」

3月4日(金) 15:52

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 芥川賞作家・小川洋子の小説をベースに映画化した日本・台湾合作の映画『ホテルアイリス』が公開中だ。永瀬正敏演じる中年の男と禁断の愛の世界に落ちていく若い女性マリを、“台湾の小松菜奈”と呼ばれている陸夏(ルシア)が演じている。

「小松菜奈さんは可愛くてキレイで、演技もステキなので、そう呼ばれるのは光栄ですし恐縮ですが、日本のみなさんにも、これからはルシアと呼んでもらいたいです」(ルシア)

 25歳までOLとモデルの2足の草鞋を履きながら芝居の勉強をし、本作でチャンスをつかんだルシア。「自分はもっとできるはずだと思っているからこそ、今の自分に不満がある」と上を向く彼女に迫った。

◆大胆な性愛の描写に正直「ワオ!」と思った

――オーディションでマリ役を獲得されたそうですが、オーディション時のことを教えてください。

ルシア:参加する際に、原作小説を読んで、マリのイメージを自分の中で作って挑みました。髪型や、普段私はワンピースを着たりしないのですけど、マリはそうした服装かなと感じて、ワンピースを新しく買って着ていきました。オーディションでは奥原浩志監督ではなくキャスティングの方とお話しました。

――ルシアさんにとって本作は長編映画デビュー作ですが、かなり大胆なシーンもあります。躊躇しませんでしたか?

ルシア:オーディションに関しては、インターネットで情報を見つけました。そのときに、自分が知っている制作会社と、永瀬正敏さんと奥原監督のお名前も情報開示されていました。ぜひ参加したいと思い、そこから小説を読みました。いろんな性愛の描写が出てきて、正直「ワオ!」と思うような場面も多々ありました。でも、女優としてチャレンジしたい気持ちのほうが大きかったですし、当時私は25歳で、新人女優として若くないことも自覚していました。こうした信頼できるプロジェクトへのチャンスがあるのに、挑まない理由はありませんでした。

◆25歳の2月にOLを辞め、6月にオーディションを受けた

――もともと女優業に挑戦したかったのですか?

ルシア:25歳が自分のなかでのひとつの転換期でした。22歳で大学を卒業したあとに、役者になりたいという気持ちがふつふつと沸き起こり、仕事をしながら、役者になるための授業を受けました。25歳までの間、OLとして仕事をしながら勉強していたんです。25歳の2月にOLを辞め、その年の6月にこのオーディションに挑んだんです。

――女優としてはデビュー作ですが、それまでにもモデルとしての活動はされていたかと思います。でもOLとしても働いていたんですね。

ルシア:台湾は副業してもいい社会なので。OLをしながら、モデル業などもやっていました。OLを辞めたのは、その会社に入ってから満1年が経ったときでした。OLになったのは、もちろん収入を確保するためでもありましたが、モデルとの兼業になるけれど、1年間は絶対に辞めずに勤めようと自分自身で決めていました。

◆女優は、自分の中に押し殺してきたものを解放できる

――ネットでオーディションを探したり、1年間はOLを辞めないと課したり。しっかりした印象ですが、ご自身をどんな性格だと感じていますか?

ルシア:ある種、中庸的なバランスが取れた人間だと思います。割と器用なタイプで、何か新しいものを吸収するにも臆することなく、合格ラインまでは出せる。でも、それが自分が理想とするレベルにまでは達していない感じ。

ルールに違反しない人間だとも思います。台湾では18歳まではお酒やたばこが禁止ですが、私も18歳までいい子として過ごしていましたし、車が通っていない場所でも、赤信号を渡ったら不安になる子でした。趣味にしても、お花を生けるとか、パンを焼くとか、無害なものが多くて、争いごとも避けてきました。

でも、奥底の部分ではどこかに苛立ちも持っていて、それを理性で抑え込んで過ごしてきた気がします。そうした苛立ちというのは、自分の中にある反骨精神だと思います。女優という仕事では、そうした押し殺してきたものを解放できると思っています。

◆“私は女優よ”。監督からのアドバイスを胸に

――では、ある意味で女優業は天職かもしれませんね。

ルシア:でも不安だらけです。撮影中、初めての長編映画出演で、主役ということで、プレッシャーもあり、自信が持てないままに撮影が進んでいたときがありました。そうしたときに、親友に日々メッセージを送って、「私、大丈夫かな。大丈夫だと言って」とお願いして、私を肯定してくれるメッセージをたくさん送ってもらっていました。

とてもありがたかったですが、同時に、それは自分が親友に言わせていることでもあるので、本当に心に響くわけでもなかったんです。あるとき、奥原監督に「自分が役者であることを信じなさい。“私は女優よ”と自分自身に言って信じ切りなさい」と言われました。そのアドバイスがきっかけとなり、目の前の役にフォーカスして挑むことができました。

◆自分への肯定があるがゆえの不満

――その後も、“私は女優よ”という自信を持てていますか?

ルシア:本当の意味で自信が付いたかというとそうではありません。ただ、「アクション!」と声がかかれば、ちゃんとその役に没入できています。でも撮影の外ではいつでも不安ですし、こうして作品が世に出たあとでも、客観的に見れば合格点かもしれないけれど、主観的に見ると、まだまだ足りないという思いが強く、不安ばかりです。

 ですが、その不安というのも、自分の理想とするレベルを、今の自分がやれていないことに対する不満への裏返しだと思います。

――満足していないということですね。

ルシア:自分への肯定があるゆえだと思います。自分はもっとできるはずだと思っているからこそ、今の自分に不満がある。自分を信じているからこその、不安や自信のなさなのかなと思います。

◆日本語習得はアニメで?

――本作でも流暢な日本語を話されていますが、日本のアニメで習得したというのは本当ですか?

ルシア:みなさん、そうおっしゃるんですけど、アニメだけじゃないですよ!(苦笑)。もちろんアニメも好きです。最初に日本に興味を覚えたのが、小学生の頃にテレビでやっていた『カードキャプターさくら』を見たからです。アニメ本編は吹き替えですが、オープニングとエンディングのアニメソングは日本語でした。そこから日本に興味を持って、アニメだけでなくドラマや映画、音楽と、日本のエンタメ全部が好きでたくさん触れてきました。

――実際に日本を訪れたことは?

ルシア:これまでに2回行きました。大学時代に1ヶ月ほど観光で行ったのと、2019年の1月に、この作品の撮影が終わったあとに行って、日本のスタッフさんたちと会いました。そのあとはコロナが蔓延してしまったので行けていません。自分で今お話ししていて、こんなに日本の文化やカルチャーが好きで触れているのに、2回しか行ってないんだなと改めて思いました。

◆コロナが収束したら湯布院に行きたい!

――コロナが収束したら、日本のどこに行きたいですか?

ルシア:別府の由布院です。

――なかなか渋いですね。

ルシア:前に日本人のメイクさんが、由布院の魅力についてずっと語ってくださって、心に残っているんです。彼女が力説してくれた湯布院に実際に行ってみたいです。温泉もいいですし、歴史のある町なので、日本建築をたくさん見て歩きたいです。

――ありがとうございます。ルシアさんを知ってファンになった人も増えていると思います。最後に、ひと言メッセージをお願いします。

ルシア:日本でも「四十にして惑わず」とか、論語の言葉を使うと思いますが、台湾でも「三十にして立つ」と言います。私も30歳が近づいてきました。30歳としてふさわしい生き方、暮らし方をしていきたいと思っていますし、40代、50代になっても、今持っている気持ちを忘れずにステップアップしていきたいと思っています。みなさんには、ルシアという名前を覚えて呼んでもらえたら嬉しいです。

<取材・文/望月ふみ>

【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異 Twitter:@mochi_fumi



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