【映画コラム】新機軸の新選組映画『燃えよ剣』

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【映画コラム】新機軸の新選組映画『燃えよ剣』

10月22日(金) 8:37

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 新選組副長・土方歳三の生涯を描き、過去に何度も映画化やドラマ化をされた司馬遼太郎の原作小説に、新解釈や新たな場面を加えながら、原田眞人監督が映画化した『燃えよ剣』が公開中だ。




 江戸時代末期。武州多摩の農家に生まれた土方歳三(岡田准一)は、「武士になりたい」という思いを胸に、近藤勇(鈴木亮平)、沖田総司(山田涼介)ら、同志と共に京都へ向かう。そして、会津藩の後ろ盾を得て、芹沢鴨(伊藤英明)を局長に新選組を結成。芹沢を暗殺した後、近藤を局長に据えた新選組は、討幕派の制圧のため京都の町で活躍するが…、というおなじみのストーリー。岡田が指導したという殺陣がすさまじい。

 さて、今年のNHK大河ドラマ「青天を衝く」もそうだが、歴史ドラマはどちらの側や立場から描くかで、全く解釈や人物像が異なる。従って新選組も、討幕派から見た殺りくや粛清の集団として描かれることもあれば、この映画のように、内部から見た切ない青春群像劇として描くものもある。歴史ドラマは、そうした多様性が面白い。

 例えば、「青天を衝く」では、従来のマイナスイメージを一新した15代将軍・徳川慶喜が、山田裕貴が演じたこの映画では、従来のイメージのまま描かれている。対照的に、会津藩主・松平容保(尾上右近)を悲劇の将として強調して描いている。このあたりに作り手の思考や好みが反映されるのだ。

 原田監督には『関ヶ原』(17)と『検察側の罪人』(18)の公開の際に、インタビューをする機会を得たが、前者では黒澤明監督の『七人の侍』(54)の、後者では同じく『悪い奴ほどよく眠る』(60)と『天国と地獄』(63)の影響について語ってくれた。

 今回は、武州多摩郡のバラガキ(暴れ者)だった近藤、土方、沖田、そして井上源三郎(たかお鷹)を、男同士の連帯の姿としてハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』(59)の四人組(ジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、リッキー・ネルソン、ウォルター・ブレナン)に、柴咲コウが演じた土方の恋人のお雪(架空の人物)も、インディペンデント・ウーマンとして同映画のアンジー・ディキンソンになぞらえたのだという。

 そして、新選組の末路は、悪ガキ仲間の成れの果てとして、マーティン・スコセッシ監督の『グットフェローズ』(90)も念頭にあったらしい。新選組を西部劇やギャング映画になぞらえるとは、ユニークというか、なかなか面白い発想だと思う。その意味では、賛否はあろうが、新機軸の新選組映画といえるのかもしれない。(田中雄二)

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