来場者の安全を作るコロナ対策、田中れいな主演「赤毛のアン」の現場裏

7月13日(火) 7:00

全国8都市をめぐる大型のミュージカル“TOURSミュージカル「赤毛のアン」”の2021年夏開催が決定した。
【写真を見る】愛らしいルックスが好評だった“赤毛のアン”の田中れいな。2020年のインタビューでは2年連続への思いを明かしてくれた

TOURSミュージカルを主催するのは、「消臭力」のCMで知られる日用品メーカーのエステー。全席無料招待制の文化事業として行われている。1998年から続く歴史あるミュージカルであり、過去、主演のアン・シャーリー役には島谷ひとみ、華原朋美、神田沙也加、高橋愛らが就き、2015年には昨年(2020年)のブレイク女優・上白石萌音が起用されている。

2019年、2020年はモーニング娘。OG・田中れいながアン役となっていたが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大により開催を断念。WEBザテレビジョンでは田中からの2年連続の意気込みを伝えていただけに今開催は喜ばしいところだが、世の中はいまだ続くコロナ禍にある。

一時は“不要不急”と名指しされたライブエンターテインメント。それを本業とするわけではない日用品メーカーのエステーは、なぜリスクを負って開催に踏み切ったのか。

「エンターテインメントは人の心を保つために必要なもの。だからやります」と、決断した理由を語るのは、同公演のクリエイティブディレクター・鹿毛康司氏だ。コロナ禍で行うエンタメの意義、そして、運営方法から見直したという感染対策のオペレーションなど、昨年のインタビューの縁もあり、今回改めてその取り組みを聞く機会を得た。

ゼロリスクはない新型コロナウイルス感染症だけに、今、演劇やコンサートの場では徹底した対策が取られている。出演者、来場者の安全を作り出すために、どれだけの措置が考えられているのか。「赤毛のアン」を1つの事例に、それを知ってもらいたい。

■衛生面の安全はオペレーションで作られる

検温、消毒、チケットもぎりの廃止など一般的な措置に加え、「赤毛のアン」ではさらに踏み込んだ措置を講じると話す鹿毛氏。

「今回の『赤毛のアン』では行政指導以上の厳しい措置を実施します。まず、座席数の半減。100パーセントの収容が許されている地域の会場でも、です。その上で、劇の台本そのものを見直しています。例年に沿った2幕構成を止めて、劇の時間を短くする。途中休憩を挟まないことで、トイレなど一斉に人が動く密をなくします」

劇の短縮は、上演外の時間に行える衛生管理のオペレーションにもつながっている。消毒、列の並び、案内といったことに時間を使い、しっかり体制を整えるという。一方で運営の見直しは、「赤毛のアン」の特徴である市民参加を取り止めざるを得ないことになったとも。

「例年ですと、全国各地の公演に参加するキッズアクターのオーディションを春ごろに行っています。毎回1000人規模の応募があるのですが、密を生むリスク、運営、キャラバンの縮小化を図るために残念ながら今年は中止としました」

「赤毛のアン」への出演は、未来のミュージカルアクターを目指す子どもたちの目標の場でもあるだけに、オーディション希望者にとっても悔しさは大きかっただろう。

「本当はフルパッケージでお届けしたいんですよ。でも、今回はまずやることに意義がある。やるかやらないか、イチかゼロかの話ではなく、やるためには何を犠牲にしなければいけないのかと考えての決断です。コロナ対策というと一般的には衛生面に考えが行きがちですが、運営から劇のあり方も変更して、当然、出演者、スタッフを守る義務もあります。シーンによって可能な部分は分散稽古に。演劇、会場に関わるすべてのスタッフに、稽古期間からPCR検査を徹底して、最低1週間に1回は実施します。これ、とんでもない費用がかかるんですけどね」

これだけのオペレーションを構築して行うのが、今年のミュージカル「赤毛のアン」になる。

■今の人の欲求は「心を楽しませたい」

鹿毛氏が続けてつないだのは、コロナ禍でのエンタメの意義。

「エンタメはないからと言って死ぬことはない、人の衣食住に関わらない不要不急のものだと言われ続け、みんな我慢をしてきたと思います。だけど、だからこそ、今皆さんが抱えている最大の欲求は、人に会いたい、心を楽しませたいというものではないでしょうか。音楽を楽しみたい、劇を楽しみたいというのもその1つ。そういった人の心を保つものがエンターテインメントなんです」

さらに重ねられたのは、エステーの企業スローガン「空気をかえよう」についてだった。これは世の中の空気を変えるという意味も含むものだが…。

「いざ考えてみると、言葉はあっても、何か大きな働き掛けをしてこなかったかもしれません。だからせめて、この『赤毛のアン』で全国をめぐることで、少しでも今の社会の空気を変えるきっかけになればいい。そもそもこのミュージカルは、エステーが日ごろの感謝の気持ちを込めて行っている無料の公演です。公演を止めるというのは世情的には正しいのかもしれないけど、本当の意味で人の心を考えたとき、それは何か違うんじゃないのかと思いました」

「やらない理由はいくつでも言えるんです」と鹿毛氏は続ける。「世の中の反応、感染症のリスクとか、そういった理由はいくつでも並べられます。だけど、やる理由は言えない。ただ、人としての尊厳を守るという、イチ企業市民としての活動を止めるのは何か違う。オリンピックをやるからやる、そういうことでもないんです」

「言えない」というのは、心の活動であるから。それが鹿毛氏からの言葉に感じることだ。しかしながら、最後に付け加えられた言葉がある。

「そうはいっても8月の時点で世の中がどうなっているかは分かりません。状況次第でやはり中止しなければいけないときは、その決断をします」

多くの人にとって、「赤毛のアン」は、日々各地で開催されている中の1つの公演に過ぎないかもしれない。しかし、全国でこの公演を心待ちにしている人たちがいるのも間違いない。開幕は8月16日(月)、無事に幕が上がることを願いたい。

取材・文/鈴木康道



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