Amebaニュース

それでもアメリカには「やってみよう」の精神が生きている

11月23日(月) 6:00

提供:


『週刊プレイボーイ』で「挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが、アメリカの"分断後"の未来に起きる変革について語る。


* * *

トランプ大統領の法廷闘争はまだ続きそうですが、米大統領選はひとまずバイデン勝利という結果が出ました。この4年余りで分断が深刻化した米社会は、バイデンが呼びかけるように「結束」できるかどうか。

それを占う上で個人的に注目したい動きのひとつは、オレゴン州で大統領選に合わせて実施された住民投票で、ドラッグに関するふたつの法案が全米で初めて可決されたことです。

来年2月以降、同州ではヘロインやコカイン、メタンフェタミン(≒覚醒剤)の少量の所持は非犯罪化され、またマジックマッシュルームの医療目的での使用も合法化されます。そして、まだ開票途中の数字ではありますが、ふたつの法案の賛成率は、バイデンの得票率よりもやや高い水準になりそうです。

今回の大統領選は、しばしば1968年の大統領選――ベトナム反戦運動の激化、キング牧師と民主党ロバート・ケネディ候補の暗殺、暴動やデモの頻発といった混乱の末、保守派のニクソン政権が誕生した選挙戦――との類似点が指摘されました。

しかし当時と比べれば、2020年の米社会では深刻な政治的分断こそあれ、ある種の「変化に対する前向きさ」「どうなるかわからないけどやってみよう」というマインドがそれなりの規模で共有されつつあると見ることも可能でしょう。副大統領に就任するカマラ・ハリス氏は、連邦レベルでの大麻合法化にも積極的な姿勢を示しています。

もちろん、ドラッグの非犯罪化という一点だけではありません。同性婚、不法移民問題、環境問題など、1960年代から続くさまざまな社会課題が世代をまたいだ"新陳代謝"によっていよいよクリアされつつあり、"分断後"の未来に大きな変革が起きる兆候を感じています。

無数の小さな変化やイノベーションが連鎖し、まるで地下水が小さな裂け目に流れ込んで猛烈な水圧で岩盤を壊していくように、「変化」への渇望が既存の概念や環境を破壊して新しい価値を創造していくという希望です。



当然、それを牽引(けんいん)するのは若い世代になるでしょう。大人になればなるほど、社会的地位が約束されていればいるほど、「現行の枠組みのなかで調整する」ことを無意識のうちに優先します。それは保守派のみならず、リベラル層も同じです。

しかし、いわゆるZ世代に代表される若年層は、既存のシステムや既存の豊かさが崩壊するなかで育ち、その恩恵を受けられなかった。いい年になるまでノンポリでいられた人々とは違い、ぼんやりとしたモラトリアム期間を持つことが許されなかった。それこそ物心がついたときから"臨戦状態"だったわけで、ナチュラル・ボーン・アクティビストの世代と言ってもいいでしょう。

この世代は、ここ数年のトランプ現象を上の世代とはまったく違うスコープで見てきたと思います。人種差別の扇動も、環境問題の否定も、奴隷制時代の遺産である大統領選の選挙人制度も、彼ら・彼女らから見ればまったく理解できない"茶番"でしょう。

この世代が本格的に覚醒し、その思想と実行動がうねりを生んだとき、米社会は大きな変化を受け入れることになるのではないでしょうか。後になって振り返れば、トランプ政権の4年間はその助走期間だったということになるかもしれません。

●モーリー・ロバートソン(Morley ROBERTSON)

国際ジャーナリスト。1963年生まれ、米ニューヨーク出身。『スッキリ』(日テレ系)、『報道ランナー』(関テレ)、『所さん!大変ですよ』(NHK総合)、『Morley Robertson Show』(Block.FM)などレギュラー出演多数。2年半に及ぶ本連載を大幅加筆・再構成した書籍『挑発的ニッポン革命論 煽動の時代を生き抜け』(集英社)が好評発売中!

【関連記事】
「バイデン政権」はトランプよりも中国と強く衝突する?
「コロナ明け」のトランプに感じた"虚像の終わり"
大接戦の大統領選と大阪住民投票から考える「世論調査、アテにならない説」を検証
差別と怒りを燃料とするトランプ、それを拡散するフェイスブック
米大統領選挙でトランプ派が仕掛けた「政治嫌い」を増やすための情報戦
週プレNEWS

コラム新着ニュース

編集部のイチオシ記事

おすすめの記事

コラムアクセスランキング

注目トピックス

アクセスランキング

写真ランキング

注目の芸能人ブログ