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おおたとしまさ×イモニイ×松島伸浩が熱論「幸せな中学受験」

6月3日(月) 10:15

提供:
 2019年5月21日、教育ジャーナリストおおたとしまさ氏による「いま、ここで輝く。超進学校を飛び出したカリスマ教師イモニイと奇跡の教室」(エッセンシャル出版社)の刊行にともない、お茶の水エデュケーションプラザ(EDUPLA)にて出版記念トークセッションが開催された。

 この書籍の主人公である“イモニイ”こと「いもいも」教室主宰、栄光学園教員の井本陽久先生と、花まるグループで幸せな受験を応援するスクールFC代表の松島伸浩氏をゲストに迎え、「中学受験」における保護者の関わり方を中心に、講演とトークセッションが繰り広げられた。

トークセッションは3部構成で実施された

「イモニイ」とは何者なのか?

 神奈川の名門、栄光学園中学高等学校に「イモニイ」と呼ばれる数学教師がいる。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏の新著は、このイモニイに密着したルポルタージュだ。

 イモニイの授業には、数多くの教員やプロの家庭教師が見学に来て、その生徒のいきいきとした躍動感に驚くという。そして新著には、その背景が詳細とともに綴られている。

 「イモニイという素晴らしい先生が栄光学園にいる。ほかの学校にもやはり素敵な先生はいるが、そうした先生がいる学校に入学しさえすればOKなのか? そのために、中学受験で夜中2時3時まで勉強させて、何が何でも偏差値を上げて入試に受かりさえすれば、人生は本当にバラ色なのか?」(おおた氏による当イベント冒頭の挨拶)

 そもそも“中学受験のおよそ3年間や中高6年間で子どもが得られること”の本質的な意味とは何なのだろうか? 親にできることは何か? イモニイがやっていることとは?

 出版記念トークセッションのようすをレポートする。

幸せな中学受験を目指すということ

 第1部は「わが子の中学受験をより豊かにするために」をテーマとした松島氏による講演。松島氏は、花まるグループのスクールFCの代表で、中学受験に30年以上携わってきた。イモニイとは花まる学習会を通じて知り合いになったという。

 まず松島氏は、中学受験は選択の受験だという。

 「首都圏ではおよそ20%の受験率。5人に1人が中学受験をしているといわれています。でも4人は高校受験あるいはほかの道に進むんです。要は、受験をするしないは自分たちが選ぶことなのです。(中学受験をするならば)意味のある受験をしてほしいと思っています。」

 松島氏が代表を務めるスクールFCは“自学ができる子を育てる”ことを指導の柱にしている。中学受験を通じて主体的に学び、自分で考えることが好きになれば、その先の将来にも役に立つと言う。

 「中学受験はゴールではありません。ご家庭にとって幸せな受験とは何かを、受験がはじまる前にしっかりと話し合ってもらいたいんです。そうすれば、何かあったときに、そこに立ち返って受験する意味を話し合えます。また、わが子の将来を考えるときに、途中でやめることも幸せな受験のひとつといえるかもしれません。」

中学受験の落とし穴とは

 続いて松島氏からは“中学受験の落とし穴”について、実体験に基づく具体的な指摘があった。「塾の成績を上げることだけに関心を置いてしまう」「子ども不在で親主導の勉強になってしまう」「より早くより高くより多くは正しくないこともある」「親が勉強に関わるなら正しいやり方にこだわらない」「偏差値が高ければ高いほどいいわけではない」「宿題が多ければ多いほどいいわけではない」など、中学受験で親子が陥りがちな過ちが次々と紹介された。

 特に印象的だったのは、基礎・基本と応用力の関係。

 「私は、応用問題に早くから取り組ませたほうが、応用力がつくかというと、そうではないと思っています。まず使える道具がなければ家は建てられない。道具というのは基礎・基本の部分です。常にその道具を磨き、使い慣れている状態であるかが大切です。基礎・基本の習得には遊びの要素がとても大事で、遊びの要素を入れてやると、子どもたちは基礎・基本を自然に身に付けていく。それを無理やり暗記しなさい、覚えなさいってやらせるのは、すごい苦行になってしまいます。」

スクールFCで採用されているノート法の紹介
 花まる学習会の真髄は、ゲーム性を重んじた「遊んでいるかのように学ぶ」授業だという。これは多くの保護者や教育関係者も実感できるものだろう。そして応用力へと話は広がる。

 「応用力とは、基礎・基本がしっかりあった上で試行錯誤を繰り返した結果でしか伸びない力です。これは井本先生もおっしゃっていますが、失敗していきながら、自分の中で、これどうしてこうなんだろうと試行錯誤を繰り返していく中でしか、実は応用力はつかなくて、自分でしか伸ばせないものなんです。」

幸せな受験のための親の関わり方

 さらに松島氏からは中学受験における親の関わり方のアドバイスが続く。

 「中学受験は子どもだけではなく、親の成長も大切。だから大いに悩んでください。でも抱え込みすぎない。悩むのは情報量がむちゃくちゃ多いから。ママ友もいろんなことを言います。すると、うちの子はって比較しちゃうんですね。それで、より早くより多くより高くとかに行きたくなる。安心を買いたいんですね。でも、それぞれに受験は違いますから、子どもによってうちはこうなんだという、ひとつの芯を作ることが大切です。」

 「親自身がストレスをためないことと同時に、子どもと一緒に楽しむことも大切です。勉強を教え込むということではなく、一緒に成長しながらがいいと思います。思春期や反抗期もあるので難しいことがありますが、そういうときは塾を上手に利用してほしいと思います。」

 第2部、イモニイこと井本先生による講演「わが子の中学・高校時代をより豊かにするために」へ続く。



「はみ出す」「いたずら」「ふざける」ことで育つ子どもたち

 第2部は「わが子の中学・高校時代をより豊かにするために」をテーマに、「いもいも」教室主宰、栄光学園教員の井本先生が登壇。井本先生は、栄光学園の教師を27年間やってきて、この春から活動の幅を広げるために非常勤になり、「いもいも」という教室に軸足を置こうとしている。

 井本先生が軽妙な調子で、多くの写真を通じて栄光学園の魅力を紹介する。時に会場の笑いを誘いながら、男子校ならではの“あるある”を次々に見せていく。カバンをあけたまま登下校している子や、シャツの裾を出したままの子など、男子校のあるあるは続いていく。

新著の主人公「イモニイ」こと井本陽久先生
 「とにかく雑なんですね。ホッチキスのとめ方、名前の書き方、ぱらぱら漫画を書いたり、要は大人から見たらいまじゃないほうがいいじゃんみたいに思うことなんですが、男の子からしたらいまやりたくなっちゃったらもう止められないんですね。」

 「雪が降ってきたら、外で裸になったり。なぜか走ったり。それが男の子なんですね。そういうの見ていたら、なんかかわいいじゃないですか。このダメさ。でも自分の息子だったら卒倒しますよね。

 つまり、人と違うのってめちゃめちゃおもしろいし、かわいいし魅力なんだけれども、自分の息子は人と違ってほしくないみたいな。その気持ちはすごくよくわかるし、でも、おそらく親子関係の乗り越える壁って、そこだけじゃんって思ったりするんです。

 中高になってくると、もう子どもは親から何も言われたくないわけですよね。だからその乗り越える壁とは、ほかの子どもを見てかわいいと思うように、自分の子どもも人と違っているのを見て、バカねって言いながら抱きしめたくなる…みたいな。親子関係がそれだけで少し楽になれるんじゃないかなと思います。」

 続けてイモニイの栄光学園における授業のようすが流れる。

 「(問題が)わかったって言っていますけど、わかってないですね(笑)。でも良いんですよ、本人わかったって弾けているので。勝手にグループ作ったり、勝手にひとりでやったり。いきいきしている感じがあります。

 本来だったら子どもは、勉強も遊びのようにやるはずなんですけれども、われわれ教員、あるいはもしかしたらお母さんお父さんが水を差している可能性もありますよね。」

子どもはひとりひとりみんな違う

 井本先生は、長期休暇ごとにフィリピンのセブ島にある公立小学校や貧民街に行って、個人的に学習支援をしているそうだ。

 「いたずらをするのはセブでも男の子ですね。で、それを真面目な女の子がマジで怒るという。僕はセブでジャッキー・チャンと呼ばれているんですよ。もう(授業は)コンサートみたいです。皆、黙っていられなくて、どんどん前に出てきちゃうんです。」

 井本先生による“勉強の本質”は多くの示唆に富んでいる。

 「勉強って、正しいことを習うっていうふうなイメージがあると思うんですけれども、勉強の本質が何かと言ったら、自分はこう考えるとか、自分はこう感じるとか、こうやってみるっていうように、あくまで“自分”があるんですよね。自分が決めるっていうこと。それが一番、ダイナミックだし、躍動感のあるところ。だからキラキラしているんです。」

 セブ島の子どもたちに接して、井本先生は日本の子どもたちに何ができるかを考えるようになったという。そこで出会ったのが花まる学習会の代表の高濱正伸氏。中学生対象の「いもいも」という教室を開くことになる。「いもいも」を支えるスタッフと共有している目標は“子どもたちを変えようとするのではなくて、子どもたちを見るこちらの方を変える”という一点だけだという。

 「要するに、目的を子どもたちに置かない。どの子を見ても、その子がもっているもの、いいところじゃなくて、もっているものがそのまま面白いとこちらが思えるようになるということです。目標は教える側ですね。それで教室をやっています。講義することってほぼないんですね。勝手にやって勝手に脱線しています。」

栄光学園、男子校あるあるのワンシーン
正解のない子育てや教育だからこそ、自分の視点を変えてみる

 「僕は子育て経験はないのですが、教育って本当に難しいと思うんです。何が正しいのかわからないっていうのが本当だと思うんです。大事だなと思っているのが「迷いなくやらない」ということだと思います。迷いなくやっちゃうと、子どもが見えなくなるので、だいたいそこから不幸が起こります。

 迷って迷って迷っているから、後で何か間違っていたのかなと思える。完璧に子どもを受け入れられるなんていう人、いないんじゃないですか? 無理だと思うんです。本当に迷いなくやらないっていうことは、すごく大事なんじゃないかと思います。

 子どもが宿題をやっていて、なんだかぜんぜん違うトンチンカンなやり方をしていると思うことありますよね。家に帰ったとき、トンチンカンな答えを書いている子どもを見て「あ、かわいいな」と抱きしめてあげたくなる。保護者の皆さんがそんな風になってくれるといいなと思っています。」

 迷わずに子どもと接する危うさと、子どもを変えようとするのではなく自分たちの視点を変える大切さを最後に保護者たちに伝え、井本先生の講演は終了した。

 第3部「中学受験で得られるもの」井本先生、松島氏、そしておおた氏の3人によって行われたトークセッションへ続く。



中学受験の失敗って何だろう?

 第3部は「中学受験で得られるもの」をテーマに、井本先生、松島氏、そしておおた氏の3人によるトークセッション。

 まずは、おおた氏から「中学受験の失敗とは何か?」「親が力を貸しすぎる弊害は?」「親としてのもどかしさとどう向き合えば?」「反抗期もしくは中だるみに接したときに親としてどうすれば?」といった、中学受験のおよそ3年間から中高6年間の9年間で想定される問いが提起された。

中学受験と親の関わりがトークセッションのテーマに
 おおた氏は、いま中学受験の「学校選び」において、親御さんたちの目が肥えてきたと感じているという。学校の本質を見て、親の教育観や子どもの個性に合っている学校を選ぶようになってきているとのことだ。そんな中で、松島氏からは、学校選びは親の大切な役割としながらも、普段感じていることが訴えられた。

 「中学受験の失敗の影響は、その後で子どもがどう伸びていくかによって違ってくると思います。受験を通して、考えることや学びが好きになった上で進学するのと、中学受験の段階で、もうちょっと勉強は嫌だなというふうに感じてしまうのとでは、やっぱり雲泥の差があります。

 また、中学受験なのでたしかに合否は出ますが、ご家庭によっては、うちは1校しか受けません、そこに入らなかったら公立に行かせますと、頑なにの合格できるところを選ばないご家庭もあります。でも、ひとつでも合格を得るということは、子どもにとっては大変な喜びなんですね。たとえそれが進学しないという選択になったとしても、それまでの時間を、子どもたちがやって良かったと思えるものにしてほしいと思っています。」

 おおた氏からは、さらに想いが語られた。

 「たしかに中学受験をすると第1志望に受かるのが一番良い結果で、自分がやってきた努力が報われるという経験は人生に大きな教訓をもたらすと思います。でも一方で、第2志望もしくは第3志望に行くことになったけれど、良い先生に出会えた。もしくはその学校でしか得られなかったであろう親友に出会えた。この学校ですごく努力することで、その環境でしか得られなかった新しい人生の道筋を見つけたなど、12歳からの6年間をどう過ごすかによって、事後に自分の正解にすることはできるわけです。それが、誰かに与えられた正解ではなくて、自分で自分の正解を作る力なんじゃないでしょうか。」

 さらにその先の大学受験や社会に出るところまで話が広がる中で、井本先生から、親がはっとするような興味深い話があった。

 「あんまり真面目すぎないほうがいいと思うんです。皆さんすごく関心があるから、こうしてここに来ているわけで、いろいろと心配もするわけですよね。たしかに子どもに関心をもつのは、子どもにとっても嬉しいし、本当に子どもの心を殺すのは「無関心」ですけれども、これは才能に関していうと、才能を殺すのは無関心ではなく「熱心さ」なんです。

 子どもなんて親の思うようにならないんだから、本当にほっとけばいいと思うんです。ただ、やっぱりほっとけないじゃないですか。でもほっとけなくても、どうせ中高で子どもは反抗してくれるので。迷いなくコントロールしきれたら逆に危ないですよね。ある例ですけど、お母さんがコントロールを徹底しきれてしまう、家ではとても良い子なんだけれども、外ではすごく危ないことをしてしまうといったケースはあるんです。

 今からね、こうやって育てないと子どもが曲がるんじゃないかみたいに思ってるとつまんないじゃないですか。曲がったら曲がったで、曲がったら本当はそこが魅力になるみたいな。特に大学受験なんていうのは、どうにでもなるわけで、子どもにしてみたらもう自分の人生に親が関わってほしくない、というのもあるんですよね。

さまざまな気付きがあったトークセッション
 要は普通、他人にあれこれ言われたら、それだけでうっとおしいじゃないですか。でも先生と生徒、親と子になると、そこはズケズケ言っていいみたいな。感覚がなくなっちゃうんですね。嫌がって反抗するのは当たり前なんですよ。親が大学受験のことを心配したら、どうせ反抗してくれるんだから、あんまりこういろいろ考えなくてもいいんじゃないかなと思いますね。」

 トークセッションは、最後におおた氏からの熱いメッセージで締めくくられた。

 「もどかしいときにも基本放っておく、反抗期があるのは当たり前だということですね。付け加えれば、中だるみが中高一貫校のデメリットですよと言われることがあるんですが、むしろ中だるみするために入るんでしょって。

 14歳、15歳っていう年齢は、本当は勉強しないといけないのはわかってるけど、その自分と向き合えない、その葛藤を味わいながら、それを乗り越えていく。『14歳からの哲学』なんて本もあったじゃないですか。『君たちはどう生きるか』のコペル君も14歳ですよね。コペルくんは旧制中学からいまの中高一貫校のような、高校受験がない環境にいたわけで、14歳って哲学をしはじめる年齢なんですね。そのときに紙と鉛筆で勉強しているのかって、そんなわけないだろって僕は思います。

 どんどん先生や親以外のいろんな大人にあって、失敗をして、その中で自分を知り世界を知り、どこに自分の居場所があるのかっていうのを見つけていく。そういう時期が思春期で、それが自立につながっていく。そうした環境を与えていってあげるのが、中高一貫校を選択するということで、そこに至るまでには中学受験がある。

 でも、中学受験って子どもを潰しちゃうかもしれない。幸せな中学受験とは、松島先生が言うように、親が迷いながらも、子どもを傷つけてまでやらせる必要はないことをおさえていれば、無理して同じことをする必要はないんじゃないかと思います。その子にはその子のやり方があっていいんじゃないでしょうか。

中学受験をはじめとした著書に定評のある、おおたとしまさ氏
 最終的に中学受験で12歳の2月の入試の本番で、ひとりで本番会場に向かっていくわけです。小さな背中を向けて1人で向かっていくその勇姿。あなたの頑張りを見てたよ、誇りに思うよと、親が伝えることができたら、それはひとつの成功体験なんじゃないかと思います。そういう中学受験に失敗はないと、僕は信じています。」

ちっちゃな大人を作るわけではない

 トークセッションの後には会場から、「質問:息子が中学受験をしたものの、進学先が合わずに最終的に公立中へ。でもオレのほうが楽しい授業をやる、先生の言っていることは間違っているなどと言っています。学校に馴染めないとか、自分の能力を過信しすぎているといった生徒がいた場合、どう指導なさいますか。」といった質問が出された。

 井本先生は、「息子さんが、先生やみんなを見下すようなことって、親がいくら言っても仕方がないんですよね。だって本当にそう思っているわけだから。大事なのは、自分で全部決めさせるってことだと思うんです。そう思い続けているとすると、その先でやはり失敗するわけですよ、どこかでね。そこで学ぶわけじゃないですか。

 でも一番大事なのは、自分で決めることなんですよね。たとえば、この授業ダメだ、聞かねーなんていうのも、その子が決めているんだったらもうしょうがないんです。そこに親が介入していろいろやっていたら、彼が自分自身で決めたことじゃないから、反省も何もできないんです。いわば、自分の中での試行錯誤がないんですね。そうなってしまうので、やはり自分で決めさせる。お母さんは、いま、本人が言っている不満などを聞いてあげるだけで良いんじゃないんですかね。

 子どものそういうところを見てしまうと、心配なところばかり目に行っちゃうじゃないですか。でも僕は、いまその子どもが良い状態か悪い状態かなんてどうでもいいと思っているんです。要するに、ちっちゃな大人を育てる必要はないので。

 それより、特に中高時代の関わりってすごく大事だと思っています。良い関係じゃなくなるって、何も生まないと思うんです。なので、子どもが生意気なこと言っていれば、言わせておけばいい。その間でも彼の中に魅力があると思うんです。魅力って自分で気付くものではなくて、他人が気付いてあげるものだと思うので。こういうことで心配だなあという部分とは別に、子どもの何か魅力的なところ、ここが良いなあというところを言ってあげると良いと思います。」と回答した。

 おおた氏は、「今日の話の中で“ちっちゃな大人を作るわけじゃない”がキーワードになっていたと思いますが、どうしても、こうあるべきだっていう姿を未来において、そこに到達させるために『じゃいま何してんの?』となります。どうなるかわからない将来の理想形ばかり。それは誰かが勝手に作った理想形ですよね。多くの場合は親御さんが。

 そこに向けて、いまを粗末にしていると伝えると、たぶん子どもは傷つくんだろうなと思うんです。でも、そこで、子どもの何らかのSOSだったりを、SOSという言い方が良いのかどうかわかりませんが、そういうものを発しているときに、その主張を否定せずに受け止めてあげる。『あぁ、そういう気持ちなんだ』と。どうしたらいいかわからないけれど、一緒にオロオロしてあげるというスタンスができれば、おそらくお子さんが、『あ、オレこうするわ』という次の展開を見つけるんじゃないかなと思うんです。これは、心理カウンセラー的な観点からですが、僕はそう思います。」と述べた。

大人が子どもを見る視点を変えてみる

 「おそらく今日の話を聞かれると、皆さんの子どもを見る視点が、若干変わっているはずなんです。イモニイのやっていることって、この本には書いてないんですけど、その子には居場所が必ずあるんだってことを確信させてあげること。イモニイの中に自分がいるんだって、どこかで気づかせてあげる。この世の中に自分の居場所があるんだと。だってこの世の中に生まれてきているだけで、奇跡なんだもの。そのことをみんな忘れてしまう。だけど、そのことに気付かせてあげることができるだけでいい。その瞬間、子どもは『いま、ここで輝く。』ことができると、僕はそういうふうに思っています。」

 おおた氏からのメッセ―ジで、トークセッションは幕を下ろした。

 親や教員は、時に自分が正しいと思い込み、熱心なほど、子どもを追い込むように接してしまうことがあるのではないだろうか。新著では、イモニイがなぜ子どものまるごとを“承認”していくようになったのかを理解することができる。

 親は子育てや受験の悩みが尽きず、「言うは易しく行うは難し」の面があるだろう。だが、新著を手に取れば、少し肩の力を抜いて、ほっとすることができるのではないだろうか。自分の視点を変えれば身の回りにも、もしかしたら小さな奇跡や変化が起こるかもしれない。多くを求められて疲弊している教育現場にも、この新著が届いてほしいと願わずにはいられなかった。



【関連写真】おおたとしまさ×イモニイ×松島伸浩が熱論「幸せな中学受験」

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