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少女たちの成長譚としてのプリキュア

5月25日(金) 13:00

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少女たちの成長譚としてのプリキュア
毎週日曜日、起床して朝食を済ませると、娘がいそいそとテレビの前に陣取りチャンネルを5(テレビ朝日系列)に合わせる。8時30分から始まる子ども向け番組の放送時間帯、通称「ニチアサ」に向けて準備万端だ。

2018年5月現在の放送番組は『HUGっと!プリキュア』、『仮面ライダービルド』、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の3つ。3番組ぶっ続けではなくとも、どれかひとつは子どもが見ているという家庭は多いだろう。我が家は通しで見ているが、5歳の娘はやはり『HUGっと!プリキュア』がお気に入り。


元はというと、Eテレしか見なかった娘が保育園のお友だちからの伝聞で存在を知り、視聴し始めたプリキュアシリーズ。前シリーズの『キラキラ☆プリキュアアラモード』に続いて、録画を繰り返し鑑賞したり、キャラクターグッズを集めたりと夢中になっているさまを見ているうちに、親も一緒にハマってしまうというよくあるパターン。

だが、コンテンツの良質さと安定したクオリティに、「これからもよろしくお願いします……」と深々お辞儀をしたくなってしまう。2004年の初代『ふたりはプリキュア』から数えて通算15作と、その歴史もダテではないのだなと毎回感心させられている。

歴代のプリキュアシリーズを振り返ってみると、スイーツや魔法、おしゃれ、プリンセスなど、いかにも女児らしいテーマ、モチーフを取り上げてきたが、『HUGっと!プリキュア』のテーマは「子育て」。

主人公の野乃はな(キュアエール)が、空から降ってきた赤ちゃん・はぐたんを友人の薬師寺さあや(キュアアンジュ)、輝木ほまれ(キュアエトワール)とともに育てながら、悪の組織「クライアス社」と闘うというのが大筋だ。

最初は子育てがテーマってどういうことだ?と随分とっぴな設定のように感じていたが、あっという間に馴染んでしまい、毎週はぐたんの愛らしさに目尻を下げている。

しかし、個人的に魅力を感じているのは少女たちの成長譚。
はなは元気いっぱいだけど、おっちょこちょいなところもあって、憧れとしている「超イケてる大人のお姉さん」キャラと自分が離れていることも自覚している。頭脳明晰なさあや、フィギュアスケートを特技とするほまれと比べると、自分にはとくにこれが!と誇れるものがあるわけでもない、と若干劣等感を抱いていることも感じ取れる。

プリキュアとしての自分に目覚める瞬間も、はぐたんが怪物・オシマイダーに襲われそうになったところで、「ここで逃げたらカッコ悪い、そんなの私がなりたい『野乃はな』じゃない!」と立ち向かっていくのだが、「なんでもできる!なんでもなれる!輝く未来を抱きしめて!」というキャッチコピーが示すように、自己実現とか自己肯定が隠れたテーマなのではないかと考えている。

人気子役として活躍していたさあや、フィギュアスケートのスター選手だったほまれにもそれぞれ挫折や苦悩があり、素直で純真なはなをまぶしく思っていたりするのも多感なお年頃ならではで、少女時代をとっくに過ぎた筆者も胸が熱くなってしまう。我ながらすぐ感動してしまうのが単純すぎるのだけれど、どの子もとても可愛くて、愛おしく思えてくる。

幼児向け番組だからコンプレックスへの触れ方はあくまでもさりげなく、どろどろした描写もないけど、5歳の娘もしっかりとメッセージを受け取っているようで、ある日突然「ママは、どんなじぶんになりたい?」ときいてきたりした。初めは唐突に何を言い出したのだと面食らったが、5歳児に「なりたい自分」を考えさせるプリキュアの影響力は甚大だ。

就学を来年に控え、日々お世話に追われていた頃とは親としての関心や興味の範囲も徐々に変わってきた。夫婦揃って教育熱心なタイプではないから、どこの学校に進むかというよりは、自分で考えて、自分で決断して、という自立のさせ方が気になっていて、「何か好きなことを見つけてほしいねー」などとよく話しているのだが、それを私たちがどのように教えるのか、そもそも親が教えてあげられるものなのかはまだ分かっていない。

その手の本もよく読むし、専門家の方の話を聞くことも多いので、「寄り添う」とか「見守る」がキーワードっぽいなということまでは分かっているが、漠然とした言葉だし、これという正解はないのだろう。

ただ、日本の若者が他国と比べて自己肯定感が低い傾向にあるという調査結果を先日目にしたこともあって、「私なんて価値がない」と卑下してほしくないなという想いは強くある。

そんなところにプリキュアからの「なんでもできる!なんでもなれる!」というメッセージが刺さる。エンディングテーマ『HUGっと!未来☆ドリーマー』の歌詞にも、「なりたい自分」という言葉が出てくるのだが、これがまたいい曲なのだ。軽快なメロディとリズムに乗って、色んな職業が出てくるのだが、キャビンアテンダントやデザイナーとともにエンジニア、研究者が出てくるのも嬉しい。

我が娘は自分の父親がエンジニアということは知っているものの、「エンジニア=パソコンをカタカタする」くらいの認識なので、劇中でさあやがタブレットであれこれ検索している姿を見て「さあやもエンジニア?」と勘違いしていたのだが、5歳児の職業に対する知識ってそんなものだろう。

そして大人があれこれ入れ知恵しなくても、子どもはアニメや漫画からあらゆることを吸収していくのだなと気づかされる。

このところ、セクハラ、モラハラといった報道やニュースを見聞きするたびに、これから娘が成長の過程で味わうかもしれない、女性であるがゆえの不当な扱いや不条理さを思わずにいられなかったのだが、プリキュアも言ってる通り、「なんでもできる!なんでもなれる!」んだよ、だから自尊心を失わないでね、と私たちからも伝えていきたい。

メーカー側の巧みすぎる商戦で、キャラクターグッズやおもちゃ、お菓子を次々に買わされることについては若干納得がいっていないものの、これからも娘とプリキュアたちの成長を見つめる日曜日が続きそうだ。

真貝 友香(しんがい ゆか)真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。

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