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コンプライアンスに真っ向から挑んだ映画「孤狼の血」 白石和彌監督の男気インタビュー

5月18日(金) 13:40

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 広島を舞台に暴力団の抗争を描いた話題の映画「孤狼の血」。本作でメガホンをとったのは「凶悪」「彼女がその名を知らない鳥たち」「サニー/32」など近年精力的に作品を発表し、日本映画界を席巻する白石和彌監督。これまでの日本映画の常識を覆すような力強い作品となった本作の裏側について、白石監督に話を伺った。

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映画「孤狼の血」は、広島の架空都市・呉原を舞台に、警察とヤクザとの世界を描いた柚月裕子の同名小説を映画化した作品。主演に役所広司を迎え、松坂桃李、江口洋介、真木よう子、中村獅童、ピエール瀧、竹野内豊、石橋蓮司ら豪華キャスト陣が脇を固める。





ーー柚月裕子さんの原作を読んだとき、どう感じましたか?



組織暴力が色濃く描かれていて、とても面白いと感じたんですが、同時にこれを映画にするということで、どうしようかなと。「仁義なき戦い」をもう一回やれって言われても無理だろうなと思いました。



ーー映画化のオファーが来たときの心境は?



どうやって断ろうかなと(笑)。あれだけの燦然と輝く傑作と同じような熱量で作れって、言うのは簡単だけどって話じゃないですか(笑)。最初はネガティブな要素しか思いつかなかったですね。



ーープレッシャーを感じていたとは意外でした。



「仁義なき戦い」といえば東映の金看板ですし、その熱量を今もう一回って、ありがたい話ですけど、それを僕が背負うのかと。僕は独立プロ出身の若松孝二監督の弟子ですし、もう少し東映にふさわしい人がいるんじゃないかなとも思いました(笑)。ただ、原作がとにかく面白かったし、他の監督がやって傑作になったら、もう生きていけないぐらい悔しいだろうなと。あとは、コンプライアンスが厳しい今、中途半端なものにしなくてもいい、振り切った映画を作れるのは僕だけだとオファーをしてくださったので、もう腹をくくるしかないなと気持ちを切り替えました。



ーー他の監督が手がけるぐらいなら自分がやるというところが、近年作品を発表し続けている白石監督のモチベーションなのかなと思います。



監督デビューも遅かったですし、30代は「ロストパラダイス・イン・トーキョー」と「凶悪」ぐらいしか撮れてないですから、やり残したことはやっぱりあるんですよね、自分の中で。あとはほかの監督より、僕の方がうまいぞって気持ちを奮い立たせてやってますけど(笑)





ーーもし他の監督だったら、映さなくていいところは映さなかっただろうと思うぐらい、本作は今の日本映画にはないコンプライアンスに真っ向から挑んだ作品だと感じました。



やっぱり勝負しているんだって気概を見せつけないと、この映画はダメだろうなと思いましたね。局部から真珠を出すシーンとかは、打ち合わせのときにスタッフ全員「は?」ってなるわけですよ、こいつバカなのかなって(笑)



ーーそのほかにもコンプライアンス関係なしのシーンがたくさん出てきます(笑)。今回は韓国映画を参考したとも伺いました。



社会状況とか世の中に対してどう思うとか、今の日本のメジャー映画ではほぼ入っていません。でも、警察を揶揄することは韓国映画では結構やってて、昔の日本映画でも取り入れられていました。この時代を生きていて、映画を撮る意味を考えたときに批判的精神をちょっとでも入れるべきなんじゃないかなって思いました。





ーー撮影はオール広島ロケでしたが、広島の印象は?



「日本で一番悪い奴ら」のキャンペーンで広島を訪れたときが最初でした。言葉使いを含めて荒々しい人が多いのかなって思ってたんですが、皆さん心優しくて、撮影もいつもウェルカムで面白かったですね。



ーー広島では先行試写会が行われていましたが、地元の方の反応はいかがでしたか?



広島でトークイベントを行った際、終了後に舞台から下りたときに、いきなり目の前にコワモテな人が現れて「とうとうこういう日がきた!」って(笑)。そしたら、無言で力強い握手を求められましたね(笑)



ーー主演の役所さんですが、女性の胸を揉むなど「そんなことを役所広司にさせるの!?」ってことが満載ですね(笑)



役所さんの若いころにやっていたイケイケヤクザが戻ってきたような演技、最高ですよね!年齢を重ねられて、このところ重厚な役が多くなられて、「こういう役所広司を見たかったんだよね」っていう感じがすごい大きくて。それが自分の作品でできるなんて、こんなに幸せなことあるのかなって思いました。



ーー今回初めて役所さんとご一緒してみてどうでしたか?



音尾琢真くんと話したことがあるんですけど、役所さんは一見、特別なことをやらずに台本に書かれているセリフとト書きをそのまま演じているように見えるんです。ただ、なんでこうなるの?っていうくらいとんでもない写り方をする。一球一球の球威が普通の玉に見えるんですが、受けてみるとすごい球威だったんだという印象なんです。





ーー松坂さんは前作からの起用です。白石監督は松坂さんを「次世代の役所広司」だと称されていますね。



「かの鳥」のときは完全にオモチャにしたけど、今回は映画の中心にいて、さすがにオモチャってわけにいかなかったので(笑)。がっちり組んで改めて僕が思っていた「次世代の役所広司」の認識に誤りはなかったなと。しかも、まだまだ伸びしろがある。彼の今後の俳優人生に、僕もずっと関わりたいなと思える魅力がありましたね。



ーー役所さんと松坂さんのバディ感も本作の魅力でもありますよね。



最初から出来上がっている感じで、隙がありませんでした。撮影中に桃李くんに「何見てるの?」って聞いたら「役所さんの背中を見ていようと思っています」って。役所さんは何を見てるのかなって思ったら、桃李くんの目を見ていて。役所さんが演じた大上にとって、桃李くんが演じた日岡はかつての自分だから、それだけでプラン通りにいってるなって確信しました。



ーーほかの俳優陣もそうですが、俳優さんがいきいき演じているのがわかる作品です。



ヤクザを演じるのは楽しいんですよ、間違いなく。新聞記者役の中村獅童さんは、衣装合わせのときに「監督、なんで俺ヤクザじゃないんですか!?」って半ギレでしたからね(笑)。この作品に出ていない的場浩司さんも「なんで俺呼ばなかったんですか!」って脅されて(笑)。「次、絶対呼んでください!俺、若頭がいいです!」って、もう勝手に話をすすめてる(笑)



ーーそんな熱量の高い作品を一緒に作り上げた東映の懐の広さについて、改めてどう思いますか?



コンプライアンスが厳しいし、ポリティカルコネクトネスが世界中で取り沙汰されている中で、そういう締め付けがあるからこそ、こういう映画を観てスッキリするってこともあると思います。実は映画って社会と密接に関わってるんですよね。こういう映画が正解かどうかはまだわからないですけど、東映さんがやれる映画はまだまだあるんじゃないかなって思います。今回、東映さんと一緒にやって、過去の東映の傑作群の中にもいっぱいヒントがあるんだなと感じました。(関西ウォーカー・山根翼)


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