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【医師監修】心のSOS! 子どもの心因性発熱〜原因と治療

5月24日(水) 20:00

心の状態は体に大きな影響を与えます。今回は子どもの心因性発熱について、その原因から、ケア・治療、さらには予防までを解説しました。





この記事の監修ドクター

森若奈 先生

精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定産業医。精神単科病院、総合病院、クリニック、産業医等様々な場での経験を活かし、現在は予防医学や早期介入にも力を入れている。

女医+(じょいぷらす)所属。

心因性発熱とは?

心因性発熱は「心身症」のひとつ
心因性発熱は、心身症という病気群のひとつの症状です。心身症とはその名が示す通り、心の状態によって体に何らかの症状が現れる状態。

心身症とは特定の病気を言うのでなく、心が大きく関与する病気の群に付けられた名称で、最も重要なことは「基本は体の病気」ということです。実は、子どもの心身症と考えられる病気は、心因性発熱の他にも数多く存在します。一例としては、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などのアレルギー症状、過敏性腸炎、腹痛などの消化器系症状、さらには起立性調節障害やチックなどもあります。
子どもの心因性発熱について
意外に思われるかもしれませんが、0歳でも心身症が出るケースはあります。しかし、短期的な発熱などの場合は、単なる体調不良と考えられ、気づかないケースも多いようです。小児の場合は、ストレスで急激に体温が上がり、すぐに回復するタイプの心因性発熱が多いです。しかし、何らかのストレスが慢性的にかかり続ける場合は、心因性発熱を繰り返す恐れがあります。

乳児の心身症としては、心因性発熱のほかに腹痛・下痢・嘔吐などの消化器系疾患、アトピー性皮膚炎、脱毛などがあると言われています。さらに、乳児の時から続く形で、幼児期に気管支喘息や周期性嘔吐症を発症することもあります。お子さんに原因不明の発熱や、上記のような症状が出続けている場合には、1度病院を受診した方が良いでしょう。
子どもの心因性発熱の原因

子どもの心因性発熱の原因は「ストレス」
子どもの心因性発熱の原因には、子どもにかかる過大なストレスがあると考えられます。そして、ストレスはほとんどの乳幼児にもあると言われています。そのように聞くとパパ・ママの中には「自分たちは赤ちゃんをすごく大切にして、ストレスなんてかからないようにしている!」と思う人もいるでしょう。しかしストレスをゼロにすることはできませんし、そもそもストレスは一概に悪いものとは言えません。

ストレスの本来の意味は「適応反応」「防衛反応」といったもので、これは、人間が生きていく上で不可欠な能力なのです。寒さ、熱さ(暑さ)、病気など様々な外部反応・刺激に対して、自律神経・内分泌系などに働きかけ、心身の状態を維持・適応させようとしようとします。しかし、強すぎる刺激は体がうまく処理できないことがあり、体の不調として現れることがあるのです。これによって心身症が現れるケースもあります。

ストレスは人間である以上、誰もが持っていると言えます。パパ・ママがどんなに気をつけていても、時には思わぬ原因で子どもに処理しきれないストレスがかかることもあるわけです。
大切なのはストレスの原因を特定し対処すること
心身症の原因は難しい言葉で「心理的・社会的因子」といいます。ウイルスや細菌、あるいは外傷(ケガ)などではなく、心や身の回りの環境に原因を求めるものです。したがって、心因性発熱の改善には、心理的・社会的因子(ストレスの元になっている原因)を特定し、それを取り除くこと、もしくは対処する方法を考えることが必要です。以下に、子どものストレスの原因として考えられるものを紹介します。

■親と離れる場面

仕事や急用などで、託児所や親戚に子どもを預けなくてはならない場合、まるでもう2度と会えないかのように大泣きする子どもがいます。小さい子にとってママがいなくなる事は「自分が世界で一人ぼっちになってしまった」というような大きなショックであり、ストレスになります。

■厳しいしつけ

トイレトレーニング、おねしょのしつけ、食事のしつけなどを厳しくしすぎることで、子どもがストレスを抱えてしまうケースがあります。

■弟・妹の誕生

下に弟・妹が誕生し、ママの関心が自分から弟・妹に移ってしまう(と感じられる)ことで、大きなストレスを抱えてしまうケースがあるようです。

■過密なスケジュール

塾、習い事などがすでにパンパンに入っているのに、小学校中〜高学年、あるいは中学生になってさらに部活も…などといった過密なスケジュールは、子どもへ大きな疲労とストレスを与えている恐れがあります。

■家庭環境

心因性と考えられる子どもの発熱が長引いたり、あるいは悪化するような場合には、慢性的なストレスが疑われます。お子さんが過ごしている家庭環境に、夫婦のたびたびのケンカ、ママの産後うつ病などの問題がないかを加味した上で、トータルなケア・治療が求められるでしょう。

■幼稚園・学校でのストレス

先生や友達との関係に問題があったり、いじめ問題などが隠れている可能性もゼロではありません。不登校に付随した心因性発熱も見られます。
子どもの心因性発熱の治療
病院は何科に連れて行けばいい?

心因性発熱を疑って子どもを病院へ連れて行く際は、以下の科を受診しましょう。

①小児科

子どもの発熱時にまず必要なのは、内科的な診断です。細菌やウイルスが原因の風邪・病気などではないか、器質的な原因の病気ではないか、などの検査・診断が行われます。この段階で、何も異常が発見されず、心因性発熱の可能性が高い場合には、心療内科が紹介されます。

②心療内科

心身症のケアが可能な科目です。ただし、心療内科は大人の心身症を主な対象としているところも多いです。心療内科を標榜するクリニックも数多いですが、子どもの心身症治療について、どれだけの実績・ノウハウがあるかについては、各心療内科ごとに大きく異なるでしょう。

③小児心身症の専門外来など

子どもの心身症のケアに特化した専門機関はごく限られているのが現状です。一般社団法人 日本小児心身医学会もこの事実を認め、専門医療機関の普及を、ひとつの大きな目標としています。(*)もしもご自宅から通院できる範囲内に、児童精神科や小児心身症の専門外来がある場合には、1度相談してみると良いでしょう。

(*「小児の心身症-総論」日本小児心身医学会

http://www.jisinsin.jp/outline.htm)
病院での治療
病院では、以下の治療を複合的に組み合わせ、心因性発熱の改善を目指します。

・生活指導

・心理療法

・薬物療法

・トレーニング(自律訓練法)

心因性発熱は、風邪で熱が出るメカニズムとは異なります。風邪で熱が出るのは、体に侵入した細菌やウイルスと戦うために、体温と共に免疫力を上げているからです。この働きに関わる体内の物質としては「サイトカイン」「PGE2」などがあります。しかし、心の状態が関係する発熱では「サイトカイン」「PGE2」が生成されません。そのため、通常の解熱薬・風邪薬では熱を下げる効果が期待できません。心因性発熱と診断された子どもに対して、家にある解熱剤を自己判断で与える事はしないでください。慢性的なストレスが子どもにかかっている場合は、その原因の解決を目指す必要があります。
まとめ

心因性発熱は、子どもの心からのSOSでもあります。できる限り、子どもの目線に立って、共感・理解することが防止やケアにつながります。子どもは、助けを求めたくても上手に表現できないことも多いので、パパ・ママがよく見ていて気づいてあげる必要があります。

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