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動画配信サイトのスポーツ中継が止まりまくり!損害賠償請求はできる?

イギリスのパフォーム・グループが運営するスポーツ動画配信サービス『DAZN(ダ・ゾーン)』。全世界の様々なスポーツをネットで閲覧することができるため、高い人気持ちます。
同社は、昨年約2,100億円を投資して明治安田生命Jリーグと10年間の放送契約を締結。これまで試合を放映してきた『スカパー!』が同リーグの中継を断念したため、ファンにとっては重要な観戦ツールとなりました。
2月26日、ついに明治安田生命Jリーグが開幕。有料契約者たちが、DAZN(ダ・ゾーン)で試合を見ようとアクセス。お金を支払っているわけですから、「視聴できて当然」なのですが、出てきた動画はカクカクで、止まることも多々。
有料契約者たちは一様に「酷すぎる」と、怒りの声をあげ、炎上状態になりました。のちにDAZN側は記者会見を開き謝罪するとともに、技術的な問題が発生していたことを公表。今後は「万全の体制を期す」としています。
しかし、ファンとしては1度あったことは2度あるのではないかと勘ぐってしまいます。仮に開幕戦のようなことがあれば、損害賠償請求などを検討したいところです。
動画配信サイトが料金を徴収したにもかかわらず、内部の問題で配信できなかった。このような場合損害賠償請求をすることはできるのでしょうか?
エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に見解をお伺いしました。
Q.有料のストリーミング中継がカクカクでまともに見られない! 賠償を請求することはできますか?
A.ケース・バイ・ケースですが、配信者側に問題があったことに起因するトラブルなら請求できる可能性があります。
「最近は、テレビだけでなくインターネットでも様々な番組を見ることができるようになり、動画配信業者もどんどん増えてきました。この記事を読んでいる方の中にも、インターネットで配信される番組をよく見ている、という人もいるはず。
そして、それらの動画配信サイトは、有料会員になると快適に動画を見ることができる、という場合が多いように思われます。
しかし、有料会員となり、お金を払ったのにもかかわらず動画をまったく快適に見られない場合、有料会員は動画配信業者に対して損害賠償をすることは可能なのでしょうか。
今回のような場合、視聴者である有料会員と配信業者との間には、視聴者は「会員が一定の金銭を支払う義務」を負い、配信業者は「動画を配信する義務」を負うという内容の契約が成立しています。
そして、この「動画を配信する義務」の具体的内容として、同契約上、通常想定しうる程度の通信環境が整っている場合には、配信を会員が快適に見ることのできるようにすることも含まれるものと考えられます。
配信業者がそもそも配信をしていない場合は当然ながら、仮に配信をしていたとしても、一般の視聴者が準備をするのが困難なほどに高度な環境じゃないと見られないといった場合には、配信業者は債務不履行責任(民法415条)として、損害賠償をする責任を負うことになりますが、そうではなく、原因が会員側にある場合には責任を認めるのは難しいことになると思います。
なお、仮に業者側に責任が認められる場合、その損害額は、原則として動画を快適に見られなかった期間に応じて決まることになると思われます。
例えば月会費制の場合、月会費を1ヶ月分の日数として30で割り、その数字に見られなかった期間の日数分を乗じた金額、というように決められることが多いでしょう。
ただし、その時にその番組を見ることに意味があり、その番組を見るために有料会員登録した、という事情がある場合において、配信業者がそれを知り、又は知ることができたといえるような場合には、例外的に、月会費分に加え、慰謝料を請求することができる可能性もあるかもしれません。
また、視聴者が、配信業者に対して改善を求めたにもかかわらず、動画環境が改善されない場合には、損害賠償に加え、契約を解除することもできます(民法541条、545条3項)。
ただし、同時にストリーミング中継の配信を受けるには、業者が推奨する環境が指定されているのが通常で、その環境がよほど高度なものではなく、会員側にとって容易に準備できるようなものであれば、それが準備できていない場合などが規約上免責されると定められている場合も少なくありません。
 
では、そのような規約の有効性が次に問題となりますが、規約自体が全くの不合理であって公序良俗違反(民法第90条)として無効になったり、消費者契約法に違反したりしない限りは、原則として有効といえそうです。
インターネット動画配信の市場が年々大きくなっています。
ユーチューバーがひとつの仕事として確立したり、テレビ番組のオンデマンド配信が始まったり、大手メディアでは取り上げられないような話題も、ネット動画配信だからこそ世の中に知らせる機会ができるなど、その広がりはまさに無限大。近頃では弁護士もYouTubeを利用して広告を行っている例も珍しくありません。
このように、インターネット動画配信の市場が広がっていることもあり、このようなトラブルも今後増えていくことも考えられますが、配信業者と視聴者が良い関係を築き、より進んだ技術の進歩が得られるように、これからの市場の広がりに期待したいところです」(大達弁護士)
 
まだまだ法整備が進んでいない分野といえるだけに、様々な見解があるでしょうが、やはり運営側のトラブルで配信できない場合は、債務不履行責任が発生する可能性が高いようです。頭の片隅に入れておくべきかもしれません。
ただし自身の環境不全が原因である場合は、無効です。このあたりが争点となりそうですね。
 
*取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
【画像】イメージです
*nito / PIXTA(ピクスタ)
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