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ギャンブル依存症 女性の方が深刻で決め手となる治療法ない

1月26日(木) 7:00

 2016年末、衆議院の審議時間わずか6時間で、「統合型リゾート(IR)整備推進法案」が可決した。カジノ解禁へ向けて大きく一歩踏み出した形になったわけだが、様々な問題が残されているのも事実。なかでもギャンブル依存症については、重大な問題とされている。

 韓国・ソウルから200km離れた炭鉱の跡地に建つ「江原(カンウォン)ランド」。ここは17あるカジノのうち韓国人が唯一入場許可されている場所だ。ホテルなど宿泊施設もあり国際水準のIRだが、周辺には危険が渦巻いている。物を換金してカジノの資金に充てるための質屋や闇金融、飲み屋や性的マッサージ店がそこかしこに立ち並ぶ。負けがこんでランドの中で自殺する人もいて、町には「お父さん、自殺しないで」と書かれた広報車も走行する。

 パチンコ依存で多重債務を重ね、自殺者まで出したという現実を見てきた、弁護士の新里宏二さんが説明する。

「江原ランドにやってくる人たちのギャンブル依存は深刻で、カジノで財産を失い安宿やサウナに住み着くカジノホームレスも出てきました。ランド側は24時間営業を20時間に短縮する、入場回数を1か月に15回に制限するなどの対策をとっているものの、依存症対策に有効な措置にはなっていません」

 日本にはすでに大規模なギャンブル市場がある。競馬や競艇、競輪などの公営ギャンブルの売上高は5兆7510億円(2015年調べ)。風俗営業法で「遊技」に位置づけられるパチンコの市場規模は23兆2290億円と推計されている。そして厚労省の調査(2013年)によると、国内で公営ギャンブルやパチンコへの依存症が疑われる人は536万人にものぼるといわれ、これは先進国でもすでにトップクラスの数字。

『やめたくてもやめられない人』の著書がある精神科医の片田珠美さんは「ギャンブル依存症は病気」だと言う。

「ギャンブルによって得られる快感は、性的な快感に通じるくらい強烈です。抗しがたい誘惑があり、やってはいけないと思っていても、やってしまう病気です。良心の呵責があってもやめられず、禁断症状が出て、またやってしまう。負けを取り返すためにギャンブルをやめられず、サラ金で借金して、自己破産して、生活保護になって、心身ともにボロボロになってようやく病院へ行ったときには、何もかも失った状態のかたが多いんです」

 20年前からパチンコにハマっているお笑い芸人の椿鬼奴(44才)は、今でも月に1、2回はパチンコに行く。

「お金がない頃は切実でした。15年前は、毎日のように行ってましたよ。もっと派手に生活したいとパチンコに行くんですが、結局負けて持ち金ゼロになり、キャッシングして勝つまで頑張るという生活でした。周りの知人でもお金がない人ほど熱中してますよね、勝てば大きいので。カジノ? 韓国とか、海外旅行先で行ったことはありますが、数時間遊ぶくらいですよ。でも身近にできたら、楽しみな半面、負けを取り返しに次の日も行ったりするようになるのかなって、正直不安もありますね」

 IR型のカジノは、24時間365日、その気になれば永遠にギャンブルに興じることができる。著書に『カジノ幻想』があり、カジノの脆弱性と過剰な社会的コストについて詳しい静岡大学・人文社会科学部経済学科教授の鳥畑与一さんは「ほかのギャンブルよりも危険」だと指摘する。

「例えばパチンコなら22時で閉まりますし、競馬や競輪もレース開催日が決まっています。でもカジノは時計も窓もない空間で、アルコールの提供もあり、望めばいつまででもギャンブルができる」

 そうなれば、依存症が疑われる人の数はどこまで増えるか。しかも、ギャンブル依存症になっても当人はそれを認めず、周囲に隠す傾向にある。それは男性より女性のほうが顕著だ。

「アメリカで女性のギャンブラーには、逃避型ギャンブラーが多いといわれています。女性は社会生活の中で、子育てに家事、仕事やママ友などの人間関係、家庭内DVもあるでしょうし、シングルマザー家庭であれば生活苦もあります。そういった精神的負担による苦しみや寂しさから逃れて、自分を解放する場としてカジノを利用する女性が多いんです。

 そして深刻なのは、女性が家計を任されることが多いので、生活費や貯金を使い込んでしまう。いまだ男女の役割分担が残っている国では、女性のギャンブル依存症は深刻な形で出ますが、日本もそうです。パチンコをするために炎天下の車に子供を残して、死亡させてしまった事件は後を絶ちません。すでに日本ではギャンブル依存症が問題になっているのに、さらに危険なカジノを導入する理由がぼくには見あたりません」(鳥畑さん)

 ギャンブル依存症は決め手となる治療法はなく、物理的にギャンブルができる場所を遠ざけるしかない。片田さんはこんな不安を口にする。

「韓国ではすでにパチンコを廃止しましたが、そういったことも日本ではできていませんので、どんな街にでもパチンコ店はあります。そのうえカジノができたらどうなるのか…」

※女性セブン2017年2月9日号


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