フォーブスとアメリカの投資専門誌インスティチューショナルインベスターズがそれぞれ発表した、2015年分のヘッジファンドマネジャーの報酬ランキングでともに1位となったのが、ケネス・グリフィンである。
その金額は17億ドル、日本円にして1700億円相当だ。
グリフィンの率いるシタデル・インベストメントはシカゴのヘッジファンドで、ある特定の投資スタイルを磨くのではなく、どんなスタイルでも優位性を築けることを大前提にしている、マルチ戦略ヘッジファンドだ。
グリフィン率いるシタデル・インベストメントの多くは高リターンを記録しており、旗艦ファンドのウェリントンほか、3本のファンドがヘッジファンドの運用成績でトップ50入りしている。
15位 シタデル・グローバル・エクイティーズ 17.2%
17位 シタデル・タクティカル・トレーディング 16.6%
31位 シタデル・ウェリントン 14.3%
シタデルは投資家からの信頼もとても高い。インスティチューショナルインベスターズが発表している「ヘッジファンドレポートカード」でも4位に入った。
1位 マーシャル・ウェイス
2位 ザ・チルドレンズ・インベストメント
3位 アダージ・キャピタルマネージメント
4位 シタデル・インベストメント
5位 ツーシグマ
このレポートは、機関投資家が採点した8項目(アルファ創出、リスク管理、利害の一致、インフラ、透明性、独立した監視、投資家との関係、リクイディティ条件)によって総合ポイントで評価されたランキングで、単にファンドのパフォーマンスが高いだけではなく、広く総合的に評価されたものであり、現在、投資家から最も信頼される運用会社の1つとなっている。
資産家としても有名
シタデルには、前FRB議長のバーナンキ氏も上級アドバイザーに就任している。同社の進化していく投資戦略に関心があるということだった。グリフィンは2014年度の報酬額も13億ドルで2年連続トップ、今や業界の盟主と言える存在だ。
会社の運用総資産額は3兆円を優に超える。ニューヨークの425パークアベニューに立地するオフィスビルの複数フロアをオフィスとして借り切り、年間の賃料は70億円以上にもなるという。オフィス賃料も業界最高金額を誇る運用会社になっている。
個人としてもニューヨークのペントハウスを複数戸合わせて2億ドルで取引し、こちらも個人の一度の取引額としては最高額となっているほか、マイアミの6000万ドルのペントハウスの所有も明らかになっており、業界の不動産王でもある。
40歳台にして、本拠を置くイリノイ州で一番の資産家となっている(75億ドル)。
他のマネジャーたちより突出して若い存在
グリフィンは学生時代、フォーブスを読んで投資に興味を持った。ヘッジファンドの開始は18歳のとき、ハーバード大学の寮の自室でのオプション取引からスタートした。
その後アービトラージ、転換社債取引へと移行し、1990年にシタデル・インベストメント・グループの前身の会社を設立。2000年初めには31歳で20億ドルを運用していた。
彼の手法は時流に乗り、2007年には資産が130億ドルに膨らんだ。
シタデルは規模の大きさを追求した。
規模の大きさはヘッジファンドの強さでもある。最先端のコンピュータを導入しスムーズな取引を可能にし、法務部門は世界各国の規制に精通、財務部門はブローカーから有利な条件を引き出すことを目指し、マーケティング部門は機関投資家から安定して巨額の資金を提供してもらえるよう、月次レポートを量産。
プラットフォームの効率性を追求し、多額の資金を扱えるようにした。
シタデルのレバレッジ比率はほかのファンドよりも高めだ。「リスク・マネジメント能力に自信があるので、高いレバレッジを効かせても不安ではない」と自信をのぞかせる。
ヘッジファンドではない?
グリフィンによると、シタデルはヘッジファンドではない。「自己資本を取り引きするが、外部投資家の資金も資産化する金融機関だ。
目標は市場価格と実際の価格にずれのある資産を見つけて、その差をなくすこと。そうしてグローバルマクロのマネジャーのリスクを和らげる。これはマクロのファンド・マネジャーとは正反対の目標だ」
彼はヘッジファンドをバスにたとえている。客は乗りたいときに乗り、降りたいときに降りる。人の出入りを繰り返しながら、バスは進み続ける。
シタデルという会社は、グリフィンによると飛行機のようなものだという。定量分析グループがエンジンを構築する。このグループには大勢の博士号取得者(ほとんどが物理学者)がおり、独自の数学的方法を開発し、向上させている。テクノロジーチームが飛行機の機体をつくり、トレーダーはコックピットのパイロットの役割を果たしている。
過去には激しい離婚闘争も
グリフィンと、元夫人のアンヌ・ディアス氏は2003年に結婚、ともにシカゴに拠点を置くヘッジファンドマネジャー同士というカップルで、3人の子供をもうけた。
ところが昨年夏、3人の子供とともに旅行に出かけた夫人は、代理人を通じてグリフィンに離婚を通告してきたのだ。
要求は財産分与のほかに、子供の養育費として月額1億円などもあったという。
ただ、グリフィンにとってはこれが二度目の離婚。最初の離婚で学んだのか、この結婚にあたっては財産分与の割合は1%としていた模様だ。
夫人は契約書にサインする際に「脅迫された」と主張するなどし、訴訟提起時にはグリフィン氏が分が悪いと見られていたが、結局は契約書が大いに効力を発揮したらしく、ディアス夫人側が折れたようで、話し合いに応じた格好だ。
ヘッジファンドとは何か、についてはこちら。
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