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大麻王子が語る大麻のいま「日本の老人こそハッパを吸うべきだ」

8月3日(水) 9:01

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 2016年4月20日、あるニュースが世界を駆け巡った。

「カナダのフィルポット保健相は20日、国連の特別会合で、同国が2017年春にマリファナを合法化する新法を導入すると表明した」

 北米西海岸、カナダはブリティッシュコロンビア州の街バンクーバーを拠点に、長年カンナビス(=大麻)合法化のため尽力してきたマーク・エメリーと妻のジェーン、そしてその仲間たちにとって、今年の「420」は格別のものとなったろう。毎年4月20日は、彼らが始めた世界的なカンナビス解放記念日なのだ。

 エメリー氏は「Prince of Pot=カンナビス王子」の愛称で世界的に知られる、解放運動の第一人者。本年1月、氏が運営するカンナビスカルチャーにて敢行した独占インタビューをお届けする。

――あなたがこれまで何をしてきて、今カナダ、そしてバンクーバーがどんな状況にあるか、説明いただけますか?

マーク:私は、カンナビスに関するすべてを合法にするためのキャンペーンを1990年に始めた。「すべて」というのは、当時カナダではカンナビスに関するものは何でも禁じられていたからだ。1987年、カナダ政府は公式に本、ビデオ、ボング(*水パイプ)すべてを禁じた。

 私の最初の取り組みは、裁判で4年間かけ、カンナビスに関する書籍と雑誌を合法にすることだった。そうして、栽培方法を記した本を持ち込むことができるようになり、有名なHIGH TIMESマガジンとカンナビス文化を流通させることができるようになった。

 同時に、1994年から10年間で、私は400万粒のカンナビスの種を世界に売った。そのうち300万粒はアメリカに売り、その結果逮捕され、5年間を刑務所で過ごした。刑期をやっと2014年に終わらせたところなんだ。

 私は人生におけるかなりの時間を、刑務所で過ごしている。カナダとアメリカで計34の刑務所に収監された。しかし、そうしながらもカンナビス・カルチャー誌を1994年に刊行し、世界初の動画配信となる「POT TV」を2000年3月に開始した。また、種の売買で集めた資金から500万ドルをアメリカとカナダ、ニュージランドにイスラエル、さらにはフランス、イギリスなど世界中の活動家、グループに寄付してきた。

――カンナビスに対する誤解を説く上で、最も効果的だったことは?

マーク:事前に新聞などメディアに声をかけ、警察署の前に大きなボングを持って行き、スピーチをして、一服吸って、その後逮捕される。

 「警察署前でマリファナを吸う」ことは注目を集め、この問題について話す機会を得て、法律がどう間違っていて、そこにどんな不正義があるか、市民社会に伝えることができた。

 カンナビスは本来、私たちの脳を進化させ、自分自身に自覚を持たせ、そして味覚、触覚、聴覚、視覚、嗅覚すべてを発達させる。社会のあらゆることに敏感になることで、脳はさらに進化するんだ。

 逮捕されるたびにそのことを語り、お呼びがかかればラジオやメディアで議論してきた。実際カナダには現状に辟易している人々が多くいて、リスナーからの反響も大きかった。

 こういった方法はインターネットが現在のように整備される前、社会に問題提議する上で効果的だったんだ。

 今は状況が変わった。

 今や世界中の人間と一瞬でコミュニケートすることができる。つまり以前ほど、わざわざ法律に抗って刑務所に入るのが効果的な方法ではなくなった。

 アメリカでの裁判では、私は歴史上誰よりも大量のカンナビスを扱った罪で問われ、その事実は私を喜ばせた。しかし同時に、これは現実に最悪のケース、10年、20年、もしかしたら終身刑すら想定できる状況でもあった。

――日本に置き換えて考えると、恐いです。

マーク:日本の成功は、高齢者を巻き込むことで始まっていく。特に日本のような社会では年齢を尊重する傾向が強く、また、お年寄りには薬が必要だ。アルツハイマーや認知症はもちろん、カンナビスの成分「CBD」の発見は、痛みや不安の解消に大きな力を発揮している。

 人間は歳をとれば病気になる。そしてその時、カンナビスがどれだけ助けになるかを知って皆驚くんだ。それはそのまま、合法化を後押しする大きな力となる。若者が合法化を望んでも誰も聞かないが、老人の声はみんな聞く。誰も、老人には厳しくあたりたくないものなんだ。

 だから、これはカナダ、アメリカ、世界の他のどの国でもそうだったように、日本で状況打破の鍵となるのは医療的効能への理解だろう。そこで理解を得られさえすれば、物事は一気に合法化へと進む。

――まだ非合法なはずなのに、バンクーバーのカンナビス・ショップの数に驚かされています。どういうことなんでしょうか?

マーク:バンクーバーには100ほどの店がある。ほとんどは医療用をうたっているが、私たちの店では、店内で消費するのであれば誰にでも売っている。店は急激に増えていて、年末には1000にも届くだろう。トロントにも約200の店ができる。

 もう誰も、わざわざ彼らを告発したりはしない。計50年間もの闘いの末、裁判官も疲れ、彼らは告訴を却下し始めた。これは大事なことだ。

 それにしても、なんて美しいバッズだ。

 これは、「マスター・クッシュ」。このあたりで買えて吸える、メインの品種の一つだ。多くは剪定され過ぎてるんだが、これはちょうど良く、美しい。

――活動を長く続ける秘訣は?

マーク:もう26年間になる。状況は、大きく変わったんだ。

 現在は毎日、新聞にカンナビスについての記事が載る。日々その医療的効能、合法化、産業の大きさが紙面で語られている。

 私たちは勝利した。

 そして今も日々社会を教育し、老人たちにまで情報が行き渡り、彼らはカンナビスを欲している。皆、身体に痛みや辛さを抱えているからだ。

 私の父は、心臓発作で亡くなった。母の死因はアルツハイマーだった。カンナビスは、その両方に効能を持つ。THCは呼吸器官を通じて身体中に行き渡り、血管に入ると、発作やアルツハイマーの原因となる因子を壊してくれるんだ。

 私は社会の親たちに伝えたい。

 「10代の子どもがマリファナを吸っている」という親たちに、「喜ぶべきことだ」と。「カンナビス愛好家とこそ、人生の貴重な時間を共に過ごすべき」と。

 親たちは、子どもが14~15歳になったらいいカンナビスを与えて、「これを一緒に楽しめる友達と遊びなさい」と教えるべきだ。そうすれば、子どもたちは酔っ払い運転はしないし、レイプも暴力も、盗みも働かない。そして代わりに、世界中に蔓延する問題について想いを馳せるようになる。

――日本のカンナビス愛好家にメッセージはありますか?

マーク:一度是非、バンクーバーに来て欲しい。成田から楽な直行便があるし、オフシーズンであれば、街の中心地のホテルが8~9000円でとれる。そしてここカンナビス・カルチャーで4、5日を過ごし、滞在を楽しんでほしい。

 その上で「これを日本で実現するには、何が必要なんだろう」と考えて欲しいんだ。それは価値のあることで、真似できることは可能な範囲でやってみて、実際に何が起きるかをみて欲しい。警察が来るかもしれないが、同時に大学生たちが怒りを表明するかもしれない。真のカンナビスの姿を伝えることさえできていれば、それを自由にできないことに、頭にくる人間がいるはずなんだ。

 日本と韓国はアルコールを摂取し過ぎで、それは身体的にもとてもよくない。アジアでは基本的にカンナビスを入手しにくく、ほぼ強制的に飲酒させる環境がある。

 誰もカンナビスでは死なない。でも、多くの人が飲酒で命を落とす。

 日本の自殺率は高いだろう? サラリーマンは特にそうで、カンナビスはそんな状況に気付きと希望を与えてくれる。アルコールは逆に、呑む人間の心を落ち込ませ、健康を壊し、たくさんの問題を起こす。

 他に例えば、専業主婦が家に残って一人で掃除をするのは繰り返しの作業だ。そこでカンナビスを一服すれば、作業そのものが面白くなる。その効果や必要性、意義が明確にわかるようになる。

――日本では今ファーストレディが、古来から続く、麻の油、布、紙といった文化を啓蒙しています。

マーク:そもそも紀元前1万年から2000年ほど前まで、カンナビスは農業のかたちで人類が初めて育てた植物だった。理由は、それがあまりに有益だから。種は潰して食料になるし、オイルも採れる。葉っぱ部分は怪我の治療にも使われた。また当時は、住居の中で焚火にカンナビスを入れ、その煙で幻覚を見て、それが神との交信に使われた。世界の各地で、何らかの大きな力を手にする目的で使用されていた。

 カンナビスは世界中で生えていた。原種とされる「サティバ」という名称はラテン語で「古」を意味する。私たちは共に、お互いを必要としながら進化してきたんだ。世界のどこでも、人類のいるところにカンナビスはある。それは最も人類に貢献してくれる植物であり、その万能の効能で私たちを魅惑し、栽培をさせてきた。

 近代では、長い間アムステルダムだけがユニークで誰も真似しなかったが、今は違う。カリフォルニア、アラスカ、ワシントン、オレゴンなどの州ですでに合法で、大資本が流入している。それを知った他地域の行政は、今後も無用な麻薬戦争を続けてビジネスに参入しないことを、良しとはできないはずだ。

 今年中に、さらに合法の地域、国は増える。チリは合法化するし、ウルグアイはすでに合法、コロンビアでも医療大麻は合法で、メキシコの最高裁は「合法化せよ」との判決を出し、カナダも時間の問題だ。

――現在の合法化に向けた世界の潮流を見て、感想は?

マーク:とても満足している。私たちは劇的に前進している。とはいえ何ごとも完璧ではない。

 長い視野で「カンナビス合法化」といって、私の定義では誰も処分、逮捕されない社会をつくる。そして、誰もが自分で栽培できる社会がゴールだ。

――ここは、世界的なカンナビス解放記念日「420」の発祥の地です。

マーク:「420」は22年前に始めて、今や世界中で開催されている。それはSNSや動画の力で世界に広がった。そして、刺激された人々がさらに「オレたちもやりたい」と、それぞれの地元、コミュニティで、同じことを始めるんだ。

 私は常に、「あらゆる方法を駆使すべきだ」と思ってきた。政治団体を組織し、種子の販売で稼いだ資金はそのためにも使った。逮捕を恐れず、信念に基づき行動し、前向きに裁判に臨むことを繰り返してきた。そうやって同じ考えを持つ仲間たちの心情を代表し、世に問うてきたんだ。

 また、キャッチコピーは重要だ。

 「Overgrow the Government(政府を緑で覆い尽くせ)」、「Plant the Seeds of Freedom(自由の種を栽培しよう)」。市民運動には、それに沿う優れたスローガンが必須だ。これらは人々の心を掴み、力強いキャンペーンの原動力となり、私のキャリアでも、特に成功した作戦と言えると思う。

 その間私は34のカナダとアメリカの刑務所を経験したが、それをもってしても、燃えるような正義のための愛と情熱は絶えることがなかった。

 カンナビスによって過去45年間、200万のカナダ人、2300万ものアメリカ人が逮捕された。世界では約4500万人もの人間が逮捕されてきて、もちろんそこには日本の人々も含まれる。

 これ以上に筋の通らない現在進行形の不正義、しかも、ここまで根拠のないものを、私は他に知らない。カンナビスには逮捕されるべきただ一つの理由もなく、それどころか100以上の、私たち全員が愛すべき理由があるんだ。

【マーク・エメリー氏】

’58年、カナダ・オンタリオ州生まれ。高校中退後の’75年から書籍販売に携わり、’79年より政治活動に参加。大麻種子販売の罪での逮捕を経て、BCマリファナ党党首に。大麻解放運動の他、音楽等表現の自由、検閲問題についての活動も。現在、居住するバンクーバーで大麻解放施設を運営する

<取材・文・撮影/克田乃武>



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