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その行動は「指導」それとも「パワハラ」?

7月12日(火) 9:00

■増え続ける「○○ハラスメント」

「セクハラ(セクシャル・ハラスメント)」「パワハラ(パワー・ハラスメント)」これらの言葉はすっかり定着した。
 では、こんな言葉をご存じだろうか。
「カラハラ」「オワハラ」「テクハラ」

 どれも特定社会保険労務士の野崎大輔氏の著書『「ハラ・ハラ社員」が会社を潰す』に出てくる言葉だ。「カラハラ」は「カラオケ・ハラスメント」本人の意思に反してカラオケを歌うことを強要したり、歌わざるをえないように意図的に仕向けたりすること。また、本人が歌いたくない歌を無理に歌わせる行為。

「オワハラ」は「終われハラスメント」の略で、企業側が採用したい学生に対し、内定を条件に就職活動を終えるよう強く、あるいは遠まわしに迫る行為。物理的に拘束するために合宿の強制参加を求めるなどのケースもある。学生は企業を選ぶ選択の幅が制限されることになる。

 現在「○○ハラスメント」と呼ばれるものが増えており、野崎氏の著書には、19個もの「○○ハラスメント」が紹介されている。あまりにも細かく分かれており、ちょっとしたことでもなんでもハラスメント扱いにする昨今の風潮を「ハラスメント・ハラスメント」などと皮肉る声もある。
 厳しく注意すれば「パワハラだ!」と訴えられかねない昨今の状況と対処法を、先述の本の著者であり、労働問題を多々解決してきた野崎氏に詳しくお聞きした。

「〇〇ハラスメントは細かく分かれていますが、大本は『セクハラ』と『パワハラ』に分類できると考えています。ちなみにオフィシャルなハラスメントはセクハラ、パワハラ、モラハラくらいであとの〇〇ハラスメントは誰が言いだしたのかもわからないものばかりです」

■厚労省の基準は非現実的

 野崎氏は語る。厚生労働省が「パワハラ」の基準を出しているが、そこで提示されていることで、あからさまなことはあまり起きないのではないかという。
「たとえば、上司が部下を殴る・蹴るとか、鞄の中身を投げつけて当てるといったことがパワハラの例として挙げられていますが、こういうわかりやすいことは減ってきていると思います。
 それに、それなりの規模の会社であれば管理職レベルの社員はパワハラについて研修を受けているので、誰が見てもパワハラとわかることをする人は少なくなりました。
 中小企業でパワハラの研修を実施している会社は少ないですが、さすがに殴ったりする人は少ないと思います。

 多くの会社が苦労しているのが、パワハラかどうかの判断ができないようなグレーゾーンの事例です。
 基本的に仕事に関する注意指導であればパワハラには該当しないと思います。

 注意しなければいけないのは、人格攻撃をしないということです。
『だから三流大は使えねぇんだよな。頭悪すぎて困るわ』『お前は肥満だから仕事が遅いんだろ、まず痩せろ』といった発言です。

 勤務態度がよくない、職場の周りの人に迷惑をかけるなどの問題社員を厳しく指導した結果、人事部にパワハラと通報され、上司は以降その社員を指導できなくなってしまった、という例があります。会社の恒例行事をある社員から「参加の強制はパワハラです」と言われ、その一言によって多くの社員が楽しみにしていた行事が開催されなくなってしまったという話も聞きました」

■「これってパワハラ?」がすぐわかる時代に
「これだけパワハラが顕在化してきたことには様々な背景が絡んでいますが、大きく分けると2つの要因があると思います。

 1つ目は誰もがネットで調べることができるようになったということです。
『このようなことをされたら○○ハラスメント』といった情報を今はパソコンやスマートフォンで簡単に調べることができます。『自分がされたことはハラスメントになるんだ』と思い、腹いせもかねて会社を訴える人が増えています。
 今はSNSが発達していますから、個人が世間に情報を発信するのも容易です。

 自分の権利保護に執着するタイプは、何か自分に不利益なことがあればすぐに調べて対抗しようとします。私が今まで関わったケースではローパフォーマーが多かったです。
 労基署を通じての話し合いも希望通りの結果にならないと弁護士に相談するというように、問題を起こし続けます。

 仕事の出来や勤務態度があまりに悪いので注意をすると、それはパワハラだと人事に訴えたり、会社を退職して後に労基署に相談に行ったり、弁護士事務所に駆け込んで慰謝料を取ってやろうとします。

 このようなタイプには毅然とした対応をしつつも、記録をきちんと残しておく必要があります。問題社員は労基署等には自分の都合のいいように話をしていることがほとんどですので、会社が『事実はこうです』と提示できるようにしておくことが望ましいでしょう。

 たとえばそのような社員に対し注意、指導をしたならば、『このような指導をした』と『注意・指導書』のようなものを残しておくことが重要です。

 ほかにも別の会社で、毎朝6時に出社してくる社員が、『業務開始までの2時間は仕事しているのに残業代が支払われていない』と訴えを起こしたことがあります。
 会社はその時間はやることもそんなにないはずだし、他の社員に確認するとどうやら仕事していないようだったので、そんな早くに出社しないようにと口頭で伝えていたほか、書面でも伝えていたので、それが証拠になり訴えを退けることができたのです」

■管理職も考え方を変えないと
「要因の2つ目は働き方の変化です。
 かつては多くの人が終身雇用で1つの会社にずっと勤めるのが当たり前の時代でした。
 あと5年頑張れば課長になれるというように先が見えたので社員も多少のことは我慢しました。現在は転職するのが当たり前という感覚の人が多くなっています。
 それに管理職になったら大変だからなりたくないという人や、仕事はそこそこで自分のプライベートを大事にしたいという人も多くなっています。
 時代が変化するにつれ働く人の意識が変わってきているので、今までの仕事重視型のマネジメントは効かなくなってきています。

 もちろんしっかりと働いてもらわなければ会社は困りますから、マネジメントのやり方も変えていかなければならないのです。本来仕事は理不尽なことがあって当たり前ですが、今は理不尽なことを受けたら我慢できないのです。
 どちらか一方が悪いということではなく、上司がマネジメントのやり方を考えていくとともに部下も意識を変えてお互いに歩み寄って双方にとって働きやすくしていく努力をする必要はあると思います。
 注意・指導されてパワハラと感じるのは、当事者間の信頼関係ができていないからだ、と言えます。上司と部下の間に信頼関係があれば、上司に怒られても「自分のためを思って言ってくれているんだな」と好意的に受け取ってもらえるでしょう。
 信頼関係がなければ『上司の立場を利用して嫌がらせをしてくる』と思われてしまう可能性が高くなります。
 社員が会社を辞める理由のほとんどは人間関係だといわれています。それと同じで、パワハラと訴えられる一番の理由が、上司との人間関係です」

 パワハラの実情についてお聞きした。後半は「増え続けるパワハラの類に企業、経営者はどう対応していくか」をお話しいただいた。

 後半は19日(火)に更新予定(急なニュース等により変更する場合もございます)。

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