頭痛、歯痛、筋肉痛……など、さまざまな痛みに鎮痛剤(痛み止めの薬)を活用する人は多いでしょう。ですが、鎮痛剤はよく、「飲むと眠くなる」、「二日酔いの頭痛に効く」、「痛みがひどくなるまで薬を飲まない方がよい」などという話も耳にします。
そこで、大阪府薬剤師会理事で薬剤師の近藤直緒美さんに、鎮痛剤のウワサの真偽について聞きました。
■痛み出したら、早めに薬を飲むほうが良い
Q1 鎮痛剤は痛みがひどくなるまで我慢してから飲むほうがよい?
近藤さん 「ウソです。鎮痛剤はなるべく早めに服用する方が効果的に作用します。市販の鎮痛剤の多くは、痛み物質の発生をブロックすることで痛みを和らげます。痛みが強くなってからでは、鎮痛剤の働きが追いつかずに効きにくいこともあります。
我慢せずに、痛みを感じたら薬を飲みましょう。
生理痛のようにあらかじめ痛むタイミングが分かる場合は、痛む前に服用するとより効果的に作用します」
Q2 二日酔いによる頭痛に効く?
近藤さん 「ウソです。二日酔いによる頭痛は、アルコールを肝臓で分解するときに発生する『アセトアルデヒド』という有害物質が体内に残っているために起こります。つまり、平時の頭痛とは原因が違い、痛みを緩和する成分も異なるため効きません。
また、大量にお酒を飲んだときは、アルコールを吸収するために胃が懸命に働いて荒れています。鎮痛剤は胃酸の分泌を抑える作用や、胃粘膜を修復する働きを弱めるので、胃の状態をより悪化させます。
二日酔いの対策には、その予防、改善に効果が期待できる薬を選ぶ、また、常温の水をゆっくりとたくさん飲んでアルコールの分解を促すようにする必要があります」
Q3 鎮痛剤を飲むと眠くなる?
近藤さん 「眠くなる種類もあります。催眠鎮静成分を含むタイプは、痛みの反応を鈍感にさせて、鎮痛剤の効果を高める働きがあります。
催眠鎮静成分とは具体的に、『ブロムワレリル尿素』、『アリルイソプロピルアセチル尿素』、『ジフェンヒドラミン』などがあります。市販薬には、『眠くなる成分が含まれています』などの表記があるので、外箱の注意事項を確認してください。
医師の処方を受ける場合は、『眠くならない薬をお願いします』と伝えましょう」
Q4 同じ鎮痛剤を飲み続けると効かなくなる?
近藤さん 「本当です。長期間飲み続けると、薬に対する耐性ができるので徐々に効き目が弱くなります。また、肝臓にも負担がかかります。1日に3回以上や、2週間以上も服用するのは避けましょう。
『服用の間隔は6時間以上あけてください』、『服用は1回1錠、1日2回まで』など、表記されている注意事項を守りましょう。
生理痛など1日〜3日ほどの短期間の痛みには、毎月服用しても問題ありません。
効かないからといって大量に飲む、飲む頻度を増やす、複数の薬を組み合わせると、副作用でほかの病気を招く、手術のときに麻酔が効かないなどの事故を起こす可能性もあります。
鎮痛剤を2週間継続して飲んでも効かない場合は、自己判断をせずに、医師や薬局の薬剤師に相談しましょう」
鎮痛剤は、痛み出したら早めに、あるいはすぐに飲む、二日酔いでは飲まない、眠くなるタイプかどうかを確認する、同じ薬を飲み続けない、種類を増やさない、などを守ったうえで服用しましょう。
(岩田なつき/ユンブル)
取材協力・監修 近藤直緒美氏。薬剤師。大阪府薬剤師会理事。なのはな薬局本店、真上(まかみ)店(ともに大阪府高槻市)を運営する有限会社スターシップ代表取締役。【関連リンク】
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