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人気スタイリストの進言「週2で着る服のみを買うべきです」

7/29(水) 16:00

 少ない服でおしゃれするフランス的ワードローブが再び人気を集めている。不要な服を手放してクローゼットをすっきりさせたはいいが、キープするためには洋服の買い方をどう改めたらいいのだろうか。25万部突破の『服を買うなら、捨てなさい』(宝島社)の著者で、キャリア30年超のスタイリスト地曳いく子さんに、買っていい服とダメな服など、ファッション誌から離れたおしゃれの仕方について聞いた。

――服を整理して少なくした後、どんなふうに服を買ったら失敗しませんか?

地曳:顔、姿形はみんな違うから、自分に似合う得意分野の服だけを買いましょう。努力は不得意のカバーでなく、得意なポイントに絞る。たとえば、太く幅のあるお腹は隠して、細い手と足首は出して強調するとか。短所をどうにか良く見せようとするから、逆に目立ってしまうんです。長所がわからなくなったら人に聞くといいですよ。トップスはわりとサイズの調節や色でどうにかなりますが、難しいのがボトム。30過ぎたらボトム選びに時間とお金をかけることですね。

――「大人になったら優先すべきは服より靴」ともおっしゃっていますね。

地曳:靴を見ると、だいたいその人の好みや生活スタイルがわかります。だから、自分のタイプが分からなかったら「靴に聞け」。バレエシューズなどの甘い靴が好きなのか、とがった辛口な靴が好きなのか、洋服にも表れないその人の「隠れキャラ」が靴に出ます。だから靴からコーディネートを考えたらいいの。1シーズンで履ける靴は2、3足ですし、服を格上げしてくれる靴にはお金をかけていいんですよ。バッグよりも身に着けている時間は長いですから、履きやすい靴ではなく、履き心地のいい靴を選びましょう。

――具体的に、買い物で失敗しないコツとは?

地曳:まず、余計なものは買わない。節約という意味ではなく、同じ1万円でもファストファッションのトップスを3枚買うより、毎日のように履ける高級なタイツを2枚買う方が気分を上げてくれて、素晴らしい履き心地も与えてくれますよね。バリエーションを増やすために買っていた服のお金は、本当に気に入った服にあてましょう。たとえば、理想的なワンピースが5万円で高いからと、中途半端な1万円の服をあれこれ買ったら結局5万円ですよ。洋服は人間関係と置き換えるとよくわかります。友達が多いと思われたくてFacebookで100人と友達になっても、本当に信頼できる人はいない、とかね。シンプルな方が気力もお金もセーブできますよ。

 次に、「買い足し」より「買い替え」。持っていないタイプや色の服を増やしたいと思ってしまうのは「バリエーションの呪い」です。30才を過ぎたら自分の定番と呼ぶべき服がわかってくるもの。新しい方へ手を広げず、すでに持っている定番を買い替える。その方が服の数を一定に保て、今らしく見えますよ。3、4年前の服を着るとバランスがおかしくなります。体形も変わりますから、シャツやパンツなどベーシックなものほど2~3年を目安にアップデートしましょう。

――買っていい服とダメな服とは?

地曳:買っていい服は、「自分をよく見せてくれて気分が上がる服」、「定番品のアップデート」、「優秀なボトム」です。買ってはいけない服は、「条件付きの服」。こういうトップスがあったら素敵に履けるとか、痩せたら、同窓会があったらなどと「たられば」で買わないことです。あとは「冒険した差し色」。結局、落ち着くいつもの色に戻りますから、差し色にトライしたいなら大物ではなく、面積の小さい小物に使いましょう。

――流行はどう取り入れたらいいでしょうか?

地曳:今は同時にたくさん流行るので、その中で得意なものを1つ取り入れたらいいですね。似合わなかったらスルーです。賢い流行の取り入れ方は、上下どちらかだけにすること。どちらかはベーシックな得意分野にする『ハーフハーフの法則』が失敗しないです。ただでさえ、今の服はデザインが少し面白いので着こなすのが難しいんです。いつもおしゃれにしていても、たった一度でもださい格好をしただけで、「ホントはださい人」という評価になってしまうので要注意です。

――買うか迷った時には、どう判断したらいいでしょうか?

地曳:まず、試着室から出られない服は避ける。迷ったら買わない。迷うってことは、自分でどこか変だと思ってる証拠ですから。いちばんのポイントは、着替えて帰りたい服か、履き替えて帰りたい靴かどうか。その場で着替えて帰れないなら、はっきり言ってやめた方がいいですよ。

――洋服は、何年くらい着たら手放すべきですか?

地曳:「何年」じゃなくて、「何回」です。コスパの考え方を変えましょう。10年かけて10回着る服なら今年10回着る方がいい。買うか迷った時には、何回着るかを考えます。3回しか着ないなら、2万円のこの服に6500円払えるかと考える。10回着たら2000円ですよ。私は56才ですけど、20年後、75才で似合う服と考えると悪夢でしょ? ここ2、3年で何回着るか。たまたまその後も長く着られたら、なおヨシです。

――確かに、大震災もあって「一生物」という考え方はなくなってきたように思います。

地曳:私もバカラのガラスが全部割れて、悔しかったから今はバカラも普段使いにしていますよ。服も一緒。高い物ほどすぐ使え、毎日使え。毎日使えばムダ買いにはなりません。湿度で劣化するし、一生物はありません。3.11からみんな意識が変わったと思います。ヒールも履かなくなりましたし。それなら、ルブタンも毎日履ける低寸ヒールを買えばいいんですよ。

 買っていいのは、ワンシーズン90日の間に今着る服だけ。人生、状況が変わっていきますし、経済や情勢も来年どうなるかわからない。気候が不安定で季節も先取りできない時代です。だから先のことは考えず、今着て楽しい服を着たほうがいい。買った服は週2、3回着る。靴も箱にしまわず毎日履く。服もお刺身と一緒です。新鮮なうちにいただいてください。

【地曳いく子(じびき・いくこ)】
1959年生まれ。スタイリスト。『MORE』『SPUR』『eclat』(集英社)、『Oggi』(小学館)、『FRaU』(講談社)などのファッション誌で30年超えのキャリアを持ち、数多くの女優のスタイリングも手がける。大人の女性の服選びの第一人者として、「着やせ」など実用的なテーマに定評がある。


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