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【吹奏楽】厳しい部則…恋愛NG! 話題アニメ『響け!ユーフォニアム』で思い出す吹奏楽部の掟と教訓

5月29日(金) 17:30

【吹奏楽】厳しい部則…恋愛NG! 話題アニメ『響け!ユーフォニアム』で思い出す吹奏楽部の掟と教訓
アニメ『響け!ユーフォニアム』をアンブシュアが引き締まる思いで見ている。「吹奏楽あるある」を節々に挟みながら、紆余曲折に展開される青春ドラマは経験者の心をくすぐり、時にヒヤヒヤさせられる。京都アニメーションの制作ということで、『けいおん!』に続くゆるふわ楽器女子アニメかと思ってみれば、意外とギスギスしてるじゃないか。そうなんだよ、これなんだよ、吹奏楽部というものは。

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華やかな演奏会やマーチングとは裏腹に、過酷な体力トレーニングや先輩・後輩の厳しい上下関係など、「体育会系文化部」といわれることの多い吹奏楽部。だが、 演奏技術はいわずもがな、感性やセンスを重んじられるのが音楽。

スポーツのように記録や点数を競い合うといった明確な勝ち負けはなく、内情は確執と嫉妬のせめぎ合いだったりもする。むしゃくしゃしたら「みんなで汗を流そう」なんていう運動部のような清々しさはないのだ。

穏やかな日々など訪れない苦悩と葛藤の毎日である。練習もさることながら、人間関係、派閥闘争…、担当楽器によって人格が形成されていくのか、 金管vs木管の衝突、終着点の見えないパートリーダー会議など、各パートによる特性・人間性が色濃く出てしまう。ポップスやジャズでもリードやソロで活躍するサックスの人たちには、いつも後打ち担当のホルンの気持ちなんて解らないだろうな…、みたいな。(筆者はホルンだった)

「吹部」? 「ブラバン」?

昔から吹奏楽部の呼称といえば「ブラバン」であるが、 近年は「吹部(すいぶ)」と略すことが増えている。「ブラバン=ブラス・バンド(Brass Band)」は本来、金管楽器を主体とした英国式バンド編成の呼称であるため、木管楽器を含めた一般的な吹奏楽部の編成を指すのであれば、「ウインド・オーケストラ(Wind Orchestra)」と呼ぶほうが正しい。部外者が「ブラバンは〜」というと、それを持ち出して喰ってかかる部員がいたりしたものだ。そうした誤解を回避するために生まれた略称だろう。

非経験者の方々、 作中で当たり前のように使用されているからといって、自分の周りの吹奏楽出身者(現役含む)に対して「吹部だったの?」と訊くのは危険だ。全国区の言葉ではないし、嫌っている人も多いのである(特に関東、北日本)。もっとも、有名校を「○○中ブラス、□□高ブラス」と自他ともに呼ぶ文化は健在であり、昔ながらの「ブラバン」のほうがしっくりくる場合もある。

そもそも「ユーフォニアム」って、どんな楽器?

タイトルにもなっている、ユーフォニアム。「ユーフォニウムじゃないのかよ」と思った人は、『深層の祭』以上の世代ではないだろうか。

『深層の祭』は1989年度のコンクール課題曲であり、年度ごとに制作される吹奏楽コンクールの課題曲を以ておよその年齢が解る。むやみに歳を聞けない女性に対しては、自分との年齢差を確認できる元吹奏楽部員ならではの常套手段だったりもする。話はそれたが、この当時はまだ〈ユーフォニウム〉だった。今の30代後半から上の世代は〈ユーフォニウム〉のほうがしっくりくるのである。

その後、発音表記に近い〈ユーフォニアム〉呼称が普及しはじめ、ヤマハのカタログでは2000年版から正式に表記変更されている。外国語のカナ表記は時代と共に変わっていくもの。似たような事例として『サバの女王ベルキス』から『シバの女王ベルキス』、『ダフニスとクローエ』から『ダフニスとクロエ』など、タイトル表記が変わった楽曲も多く存在している。

女子に人気の高いフルートやクラリネットではなく、そんなユーフォニアムをメインに据えてるところが、これまた経験者の心をくすぐるところ。部外者に「何の楽器をやっているの?」と尋ねられたとき、かなしきかな、なんとも説明しづらい一般的な知名度の低い楽器の代表格である。

管楽器の中では歴史が浅く、オーケストラには登場しない、ジャズやポップスにも向かない…。たが、吹奏楽においては中低音でバンドサウンドに厚みを与え、そのふくよかで美しい音は、主旋律から裏旋律、伴奏まで大活躍する。それゆえに最も“吹奏楽らしい楽器”でもある。

黄前久美子の手にする金色のユーフォ

アニメとはいえ、使用楽器が気になってしまうのも楽器マニアの定め。「銀色(銀めっき仕上げ)」が一般的なユーフォニアム。黄前久美子の手にする「金色(正しくは、“イエローブラス”のラッカー仕上げ)」は入門者向けの比較的安価なモデルに多い。有名校ではない学校の備品という設定を考えれば、安価なほうがリアルなわけだ。サイドアクションの第4ピストン、管の形状とケースから察するに、ヤマハのYEP-621だが、ラッカー仕上げはラインナップには存在していない。

思えば、『けいおん!』でもオリジナルモデルが登場していた。中野梓の愛用するムスタング(愛称:あずにゃんぐ)はエルボーカット入り、キャンディー・アップル・レッドのボディカラーにマッチングヘッド。この仕様は現在〜過去含め、フェンダーの歴史上にも存在ないモデルであり、のちにアニメに合わせて限定販売された。

久美子のユーフォも、あずにゃんぐのようにオリジナルモデルとして市販されたりも…?!いや、でもギターのように、おいそれと買える値段でもないし…、と思っていたのだが、アニメ化決定以降、問い合わせが多いらしく、先月より特注モデルとして販売されている。アニメの影響、 おそるべし…。

楽器描写や演奏作画も高いクオリティとこだわりで制作されているが、それはもちろん“音”にも及んでいる。劇中演奏はすべて、洗足学園音楽大学によるもの。コンクール課題曲のクリニックなど、吹奏楽が盛んな音楽大学として知られており、学園内には4つの吹奏楽団がある。作中は全員1年生で構成される〈フレッシュマン・ウィンド・アンサンブル〉が担当。2〜4年生の選抜メンバーによる〈ホワイト・タイ ウィンド・アンサンブル〉が本来の同学園を代表するバンドであるが、より高校生に近いバンドが担当するというリアリティを求めたこだわりである。

平凡な吹奏楽部が“全国大会”を目指す物語

物語は、平凡な部活動から新顧問とともに「全国大会出場」を目指していくわけだが、これで思い出されるのは、かつて神奈川にあった伝説の名門校・県立野庭高校である。

ごく普通の公立校の弱小吹奏楽部は、オーケストラ奏者だった故・中澤忠雄先生の指導着任後、わずか半年で関東大会出場。翌年には全国屈指の超難関・関東大会を突破し、全国大会初出場&金賞受賞という快挙を成し遂げる。難易度の高い楽曲、オーケストラなサウンドが持てはやされた80年代のコンクール事情において、「これぞ吹奏楽」という流麗で繊細なサウンドを響かせ、その名を轟かせた。

演奏のみならず、演奏直後に一斉に素早く立ち上がる姿、入退場の凛とした立ち振る舞いに至るまで見る者を魅了する。筆者は同じ神奈川ということもあり、縁あって野庭高との合同練習を何度か見学・体験したことがある。そこで見たものは、想像を絶する過酷な練習とその積み重ねによって作られた、常人ならぬ合奏能力と完全なる統制の取れた吹奏楽部だった。何よりも先生と部員たちの熱く厚い絆は、多くの指導者や生徒が憧れ、目指す、理想の吹奏楽部の姿でもあるだろう。

筋トレ、ランニングは当たり前…

筆者の母校は、有名校とまでは行かなかったが、中学は吹奏楽コンクールで数回の全国大会出場、高校は全国大会手前の“ダメ金”校だった。特に高校時代の練習や規律の厳しさは強豪校と変わらなかった。

始発電車で登校して朝練、授業の合間に昼食を済ませ、昼休みは昼練。授業が終わり、放課後はすぐさま体操着(ジャージ)に着替えて音楽室に向かう。机を廊下に出して、椅子と譜面台の設置、合奏形態への準備。これは新入生(1年生)の仕事。それが終われば体力トレーニング。外周ランニング、腹筋、背筋、腹式呼吸の練習など…。

その後はみんなで足踏みしたり、手を叩いたり、掛け声をあげたり、消防団や自衛隊さながらの規律訓練である。マーチングの練習というわけではない、意志の疎通を身体で表現するための練習である。それが終わると合唱練習、そして、ようやく楽器を持った練習に入る。

音楽室以外の通常の教室や廊下、階段、踊り場、屋上まで… 校内の至るところを パート練習などで使用していた。いや、使用させてもらったのだ。だから、借りた場所は借りる前より美しく返すのが鉄則。練習後の整理整頓や掃除も徹底する。常に清い心で音楽に臨む、それは学校内問わず、地元の街のゴミ拾いにまで及んだりもした。

厳しい部の掟

吹奏楽部員は常に品行方正で全校生徒の模範でなければならない。学業の成績が芳しくなければ、練習に参加することは出来ず、生活風紀を乱すことも許されない。女子は膝下までのスカート丈 、肩に掛かる髪の長さになれば、黒・紺・茶のヘアゴムで1本に束ねる。男子は後頭部の地肌を手で覆うようにして、指が隠れたら切らなければならない。

校内はもちろん、街中でも吹奏楽部員とわかるほどに徹底されたものである。他にはコンビニなどでの買い食い禁止など、細かい部則をあげればキリがない。

もし、風紀を乱す部員がいれば、個人の問題ではなく、連帯責任になる。当人の担当パート全員、もしくは部員全員に責任を課せられる。たとえ演奏会などの本番直前であっても、すべての練習を停止して、部員全員で校内中を清掃したこともある。

部内恋愛禁止もあった。クラスメイトより、家族よりも長い時間を共にする部員同士、10代の多感な時期には酷な部則。練習中はお互い必要以上の会話はせず、週一で練習後に学校より離れた隣街の公園で逢引するという『ロメオとジュリエット』(吹奏楽では、チャイコフスキーよりプロコフィエフ)さながらの禁断の恋なんてことも。

あくまで士気を重んじた規則であるため、大人しくしていれば黙認されたりもするのだが、思わぬことで問題になってしまうのも吹奏楽部ならでは。査問会さながら、200名の部員の前で謝罪、なんてことも。 …はい、それ、わたしです。誤解のないように言っておくが恋愛を否定されたわけではなく、けじめの問題。今となっては、それも甘酸っぱい青春の笑い話である。

吹奏楽部で学んだこと

吹奏楽部の厳しさは色々な意見があるとは思うが、大勢の音をひとつにすることは容易なことではない。少しでも気持ちに迷いや乱れがあると、不思議なことにそれが必ず音に出てしまう。ひとりでもそうした部員がいれば、合奏に影響が出てしまうのだ。

数十人の心をひとつにする、同じ目標に向かっていくということは、それだけ大変なのである。当時はそれが解っているようで解ってなかったりもしたが、大人になって思い返してみれば、改めて身に染みることも多い。礼儀、組織、秩序、人間関係、自主性… 社会に出るために必要なことのほとんどを学んだと言っても過言ではない。たかが吹奏楽部、されど吹奏楽部。

音楽を通して人間的に成長する――。 あの頃過ごした時間は、思い出であると同時に、人生の教訓でもある。

ただの青春サクセスストーリーでは終わらせないリアルで描く『響け!ユーフォニアム』。アニメとしても充分に見応えがあるものだが、社会の縮図ともいうべき吹奏楽部の日々はたとえ経験者でなくとも、感じることも多いはずである。夏のコンクールに向かってこれからますます、複雑なドラマになっていくだろう。

そして、次の曲が始まるのです。


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