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弁護士が教える――残業代請求には「労働基準監督署」よりも「労働審判」が良い理由とは?

4月21日(火) 11:30

未払い残業代を会社に支払わせることは、一労働者にとってはなかなか厳しい現実がある。会社に雇われている以上、上司や管理部門そして会社そのものを敵に回すことになる可能性もあるからだ。このため、会社を退職する際や退職した後に未払い残業代を請求するケースが多く見られるのだが、この際に良く利用されるのが労働基準監督署だ。

労働基準監督署は、労働法を遵守させるために企業等へ指導を行うことができる。すなわち、未払い賃金があれば会社に対して支払いを促す(法令を遵守することを促す)ことができるため、労働者にとっての駆け込み寺となっている。
ただし、その役割には限界があり、「教えて!goo」にも次のような相談が寄せられていた。

未払い分の残業代はどのようにすれば支払ってもらえるでしょうか

相談者は、未払残業代を支払ってもらうために労働基準監督署に相談したところ、協力的ではなく途方に暮れてしまったと話す。

■労働基準監督署の限界

この相談に対し、そうは言ってもやはり労働基準監督署が一番という主旨の回答が寄せられた。

「労働基準監督署で良いと思いますよ。残業代であれば、タイムカード(労働時間と残業時間が記載されていれば他のものでも大丈夫だと思いますが)と給与明細があれば良いと思います」(dexiさん)

「法に基づいて、行動できるのは労働基準監督署です」(hamakko_2003さん)

「労働基準監督署が行うことは『法律違反の指導』です。それが結果として、賃金不払いや残業代不払いを解消することになります。取り立てはできません」(slotter-santaさん)

回答の中にもあるが、タイムカードがもし無くとも、出退勤時間について自分が記録したメモがあれば、労働基準監督署が動いてくれる可能性は高い。そして、労働基準監督署から呼び出されただけで、すぐに未払い賃金の支払いに応じる会社も多いだろう。しかし、いつまでも支払いを渋る会社があった場合には、slotter-santaさんが言うように労働基準監督署の業務の限界も理解しなければならない。

■迅速な解決方法「労働審判」

労働基準監督署の限界について、弁護士法人 向原・川上総合法律事務所の向原栄大朗弁護士に理由を聞いてみた。

「実は、労働者側のご相談を聞いていて多いのが、既に労働基準監督署に行った、というものです。しかし、労働基準監督署の役割はあくまでも企業に労働関係法令を遵守させるための『警察』としての立場にすぎません。したがって、労働契約の存否や賃金・残業代に関する紛争といった『民事』には基本的に立ち入らないのです」

では、未払い賃金を支払わない会社に対しては、民事訴訟を起こすしかないのだろうか。そこで、民事訴訟以外の迅速かつ有効な解決方法として、「労働審判」について伺った。

「労働審判とは、労働契約の存否や賃金・残業代に関する紛争といった個別的な労働関係事件について、迅速な手続(3回以内の期日で審理。労働審判法14条2項)で審理し、話し合いによる解決を試みつつも、もし話し合いがつかない場合には、その話し合いの内容を踏まえて審判をするという制度です。
労働審判を担当するのは、通常の裁判官(労働審判官)1名と、労働問題について専門的な知識・経験を有する専門家2名(労働審判員)で構成される労働審判委員会です。話し合いを前提にすること、及び、労働関係の知識・経験をもつ労働審判員が手続に関与することから、事案の実態が把握しやすくなりますし、また、当事者の細かな話が丹念に聞かれる傾向にあるので、解決案の納得性が増すなどの特色をもっています」

あまり広く知られているわけではないようだが、労働審判は有効な解決手法であることがわかる。もし会社に未払い残業代を請求する場合には、会社→労働基準監督署→労働審判の順に対応を進めていけば、早めに解決する可能性が高いようだ。

相談LINE(Soudan LINE)

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