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1分でできる世界遺産小話 (20) 世界の中心を思わせる北京の故宮で起きたコーヒーショップ騒動って?

9月8日(月) 7:00

1分でできる世界遺産小話 (20) 世界の中心を思わせる北京の故宮で起きたコーヒーショップ騒動って?
今日、9月8日は中秋の名月ですね。中華圏の国々でも「中秋節」といって、家族そろって盛大に祝う大切な日です。月餅を切り分けて、月をみながら家族で食べる習わしがあります。

筆者は以前北京で生活をしていました。北京の故宮のすぐ近くに友人が住んでおり、友人宅で中秋節を過ごしたことがあります。帰りがけの暗闇の中で、地上には故宮が、天空にはぼんやりと満月が浮かんでいた光景は、いまだに忘れることができません。そんなことを思い出したので、今回は故宮についてお話しようかと思います。

○「ラストエンペラー」そのままの世界

「故宮」とは「古い宮殿、昔の宮殿」という意味で、明・清時代の皇帝の住居だったところです。かつては「紫禁城」と呼ばれていました。南北961m、東西753mの72平方メートル余りの敷地に、9,000室を超えるといわれる建造物がほぼ左右対称に立ち並びます。

地上のすべての権力を手にした皇帝が住む宮殿には、庶民が近づくことを禁じられました。皇帝の玉座がある太和殿(正殿)は、伝統的な中華思想において世界の中心とされていたのです。皇帝のみが使用できる黄色で統一された屋根瓦、それを取り囲む赤い壁、外にいるものにとっては、内側で何が行われているのかうかがい知れない威圧感。まさしく映画「ラストエンペラー」の世界ですね。

今では、北京の目抜き通りである長安街を西から東に向かって車で進んでいくと、右手には毛沢東の肖像画がかかった天安門を、左手には世界最大級の広場である天安門広場を目にすることになります。このスケールを目の当たりにするたびに、筆者も「故宮は世界の中心である」という暗示にかけられていました。

故宮の北側には、景山公園という人工の山を中心とした公園があります。故宮の中心軸線上にあって宮殿群を見下ろすには最適のスポットです。人工山は宮殿の外堀を掘った際に出た土で作られたそうです。

ここは市民の憩いの場となっていて、おじいちゃんおばあちゃんが歌ったり体操をしたり、のびのびと過ごしています。階段を登りきった場所からは、どーん!と目の前に故宮が広がり北京の街も一望できるのですが、北京の空気が澄んでいることはまずないので、かすんで見えることがほとんどです……。

○コーヒーショップの出店騒動

そうそう、敷地内にスターバックスが出店して騒動になったことがありました。確か2000年に開業したかと思います。土産物屋などもある中で、スタバは「中国文化を代表するこの地にはふさわしくない」と集中攻撃を受け、外観を周辺の景観にあうような色彩に変更したりもしましたが、最終的には2007年に撤退しました。

冬の北京は底冷えして恐ろしく寒いので、故宮で飲む1杯のコーヒーに筆者は救われたこともあったのですが、景観保護や飲食物を持ち歩きながらの観覧に関するガイドラインをきちんと見直す、という意味では撤退という判断は良かったように思います。むしろ、出店の検討段階で政府、施設、業者がもっと話し合うべきことだったのでしょうが。

○故宮の宝を日本で見れるチャンス!

現在、上野の東京国立博物館で「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」が行われています。台北のコレクションは、北京の故宮にあった重要な収蔵品を蒋介石率いる国民党軍が、1949年に台湾に持ち出したものです。2週間の限定公開であった「白菜」も含めてあまりにもすばらしい品々で、いい意味で開いた口がふさがりませんでした。代々の中国の皇帝が受け継いだ宝や、皇帝の目を楽しませた品々を間近にみるチャンスです(上野では9月15日まで開催、福岡の九州国立博物館では10月7日~11月30日)。

さて、今日は満月がきれいに見えるでしょうか? 中国にいた時には大量の月餅にうんざりして、もういらない! と思っていたのですが、久々に食べたくなってしまいました。

世界遺産データ: 北京と瀋陽の故宮(文化遺産)
中国。1987年登録。北京の故宮は明・清時代に皇帝の居城で政治の中枢が置かれていた場所。清王朝崩壊後の1925年から故宮博物館として一般公開されている。中国東北部の瀋陽にある、後金のヌルハチが築いた故宮もあわせて登録されている。

○筆者プロフィール : 本田 陽子(ほんだ ようこ)
「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。

○世界遺産検定とは?
世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。
主催:世界遺産アカデミー
開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)
開催地:全国主要都市
受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円
解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)
申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込み
その他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて

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