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工藤阿須加の父、公康も経験していた。奇跡の「8対7」の奇跡の歴史「ルーズヴェルト・ゲーム」8話

6月16日(月) 9:00

TBS系ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」第8話、笹井専務スペシャル。まさに本作のテーマでもある「逆転につぐ逆転」のドラマが描かれた。

青島製作所との合併を目論むイツワ電器の坂東社長(立川談春)にそそのかされ、臨時株主総会の開催を迫った株主の竹原(北村有起哉)。事前に、板東と青島製作所の笹井専務(江口洋介)と裏打ち合わせをしていたこともあり、イツワ電器との経営統合を巡る採決は可決されるものと鼻息荒く議場で奮闘する。

ところが、細川社長(唐沢寿明)の情報戦術と笹井専務の“真実の言葉”によって採決の鍵を握っていた大株主の城戸志眞(ジュディ・オング)が否決にまわり、イツワ電器との統合は改めて回避された。

細川社長は目を真っ赤にして株主に頭を下げ、その横に立つ笹井専務の頬にも涙が伝う。

前回、第7話についての島影真奈美さんのレビューの中で、「これだけ盛大に涙が流れていても、その大半をユニフォーム組が占める。細川社長も、笹井専務も泣かない。一瞬、泣きそうな顔になったとしても、理性で抑えこむ」という考察があった。全てはこの第8話の涙のための伏線だったのだろう。

野球パートに出てくる血気盛んな若者たちとは異なり、株主総会で戦う男たちは会社という組織を生き抜いてきたからこその深い皺をたずさえた猛者たちばかり。だからこそ、その皺をぬうように流れる涙は、見るものに訴える力があった。

さて、いよいよ次週6月22日は最終回10分拡大スペシャル! 東洋カメラの新機種カメラへの採用を目指すイメージセンサーのコンペ、そして都市対抗野球敗者復活決勝戦と、「青島製作所対イツワ電器」のダブルヘッダーが繰り広げられることになる。

ここにきて気になるのは、本作のタイトルでもありテーマでもある逆転劇、「8対7のルーズヴェルト・ゲーム」がまだ一度も登場していないということだ。

アメリカ第32代大統領、フランクリン・ルーズヴェルトが「野球で一番おもしろいスコアは8対7だ」と語ったという逸話から端を発するこのドラマ。当然最後はこの「8対7」のスコアと試合展開を期待してしまう。だがそもそも、実際の野球の試合で「ルーズヴェルト・ゲーム(8対7)」はどのくらい生まれるのだろうか。

スポーツ紙の中で、プロ野球とルーズヴェルト・ゲームの関係性を深く掘り下げているのがスポーツニッポンだ。
今季のペナントレースで阪神タイガースが「8対7」の逆転劇を演じると、《リアル「ルーズヴェルト・ゲーム」!阪神、逆転に次ぐ逆転で劇勝》と見出しからルーズヴェルト推し。

また別の日には、《プロ野球初「ルーズヴェルト・ゲーム」はGT第1戦だった》として、過去実際にあった「ルーズヴェルト・ゲーム」秘話をまとめている。
内容を整理すると、
◎プロ野球最初の「8対7」試合は公式戦が始まった年(1936年)の7月15日、巨人対タイガース(現阪神)戦だった。
◎2011~13年の3年間では11試合あって年平均で3.7試合起きている。
◎「8対7」試合の通算勝利数が一番多いのが巨人。投手別では金田正一の7勝が最多。
◎ドラマで天才投手・沖原役を演じる俳優・工藤阿須加の父、工藤公康氏も巨人時代の2004年7月2日の対広島戦で経験している。
などなど。
この辺の調査力はさすがスポーツニッポンと唸ってしまうし、実にありがたい。

ただし、これらの調査元は全てペナントレース。ドラマのように「一発勝負」「もう負けられない」という状況で「8対7」の逆転劇が生まれたとしたら、これほど興奮するものはないだろう。

プロ野球の世界で、もう後がない、一発勝負に近い戦いといえば日本シリーズだ。そこで、1950年の第1回日本シリーズから2013年までの日本シリーズ全試合を調べたところ、過去に4度だけ「8対7」のルーズヴェルト・ゲームがあることが判明した。

【1950年日本シリーズ/毎日対松竹・第6戦】
栄えある第1回日本シリーズ。毎日が3勝2敗と王手で迎えた第6戦が「8対7」のルーズヴェルト・ゲームだった。序盤から点の取り合いとなったこの試合は、最終的に延長11回裏に毎日がサヨナラ勝ちをおさめ、初代日本一に輝いている。逆転した回数は1度だけなので「逆転度」は低いが、最初の日本シリーズから「8対7のルーズヴェルト・ゲーム」が生まれていたというところに、野球の神様の粋な采配を感じてしまう。

【1976年日本シリーズ/巨人対阪急・第6戦】
巨人が初戦から3連敗と王手をかけられてから2連勝と巻き返し、迎えた第6戦。5回表を終わって0対7とリードを許し、誰もが敗色濃厚と思ったところから驚異的な粘りを発揮。8回に同点に追いつき、延長10回裏にサヨナラ勝ちをおさめて対戦成績を3勝3敗のタイに持ち直した(最終的には阪急が日本一)。この試合も「逆転につぐ逆転」という展開ではないものの、試合後に生まれた「巨人だ。巨人だ。これが巨人だ」という長嶋名言とともに押さえておきたいエピソードだ(「10・8決戦」における「勝つ!勝つ!勝つ!」といい、長嶋氏は3回繰り返すのがお好きらしい)。

【1992年日本シリーズ/ヤクルト対西武・第6戦】
歴代屈指の名勝負として名高い92年の日本シリーズ。3勝2敗とヤクルトが王手をかけられた状況で迎えた第6戦。ルーズヴェルト・ゲームの名にふさわしい、まさに「逆転につぐ逆転」劇でヤクルトが延長10回裏にサヨナラ勝ちをおさめている(※最終的には西武が第7戦に勝利して日本一になった)。この試合の注目点はなんといっても西武の先発が工藤公康氏だったこと。上述したように工藤氏はペナントレースでも「8対7」の試合を経験しており、親子そろってルーズヴェルト・ゲームに縁があるらしい。

【2010年日本シリーズ/中日対ロッテ・第7戦】
シーズン3位からCSを勝ち上がってきたロッテと、セ・リーグの覇者・中日の対戦はロッテの3勝2敗1分で第7戦へ。序盤から打ち合いとなったこの試合、7対6とロッテリードで迎えた9回裏に中日が同点に追いつき、試合は延長戦へ。そして延長12回、ロッテが1点を勝ち越して、リーグ3位からの「下克上日本一」を成し遂げている。


ルーズヴェルト大統領が「最も面白い野球のスコア」と語った8対7の試合。長い日本シリーズの歴史において過去に4度しかなかったこともさることながら、いずれの試合も日本一のかかった第6戦、第7戦だったというのが面白い。もう後がない、という追い込まれた状況がこんな劇的な試合展開を引き起こしたとすれば、廃部が決まって次戦が“勝っても負けても最後の試合”となる青島製作所野球部にとって、ルーズヴェルト・ゲームを生み出すまたとないチャンスともいえる。


さて、ここまでプロ野球界における「ルーズヴェルト・ゲーム」を掘り下げてみたが、今回のドラマの舞台は社会人野球の都市対抗野球大会だ。そこで、都市対抗野球における「ルーズヴェルト・ゲーム」もチェックしてみると、昭和2年に行われた第1回大会にさかのぼることができた。

一回戦第3試合の大連・満州鉄道倶楽部と京城・竜山鉄道局の試合は、9回表を終わって京城が7対4で大きくリード。ところがその裏、大連はアッという間に4点をあげ、8対7での逆転勝利をおさめたのだ。この勝利で勢いに乗ったのか、大連は大会を勝ち進み、初代優勝チームの栄冠を勝ち取っている。都市対抗野球の歴史の出発点に「ルーズヴェルト・ゲーム(8対7)」があったということを、原作者の池井戸潤は知っていたのだろうか。

その「逆転のDNA」を紡ぐ都市対抗野球は、いま各地で代表チームが続々決まっているところ。7月18日から今年も東京ドームで開催されることになっている。ドラマを見て都市対抗野球に興味を持った、という方はぜひ本物の試合もチェックしてみてはいかがだろうか。


次回予告編によれば、イチローがかつて発した「180度……いや、540度違う」という言葉から生まれたであろう「180度……いや、540度ち・が・い・ま・すっ!」という名台詞とともにお役御免となっていたジャパニスクの諸田社長(香川照之)も再登場。「900度……」とつぶやいていただけに、さらなる名台詞が生まれそうな予感。もう後がない野球部の試合展開とともに、最後の最後まで注目点が尽きないドラマだ。
※参考文献:『激動の昭和スポーツ史(5)社会人野球編』(ベースボール・マガジン社)、日本野球機構オフィシャルサイト
(オグマナオト)

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