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中村蒼、俳優として高良健吾から「いろいろ刺激を受けています」

2月21日(金) 13:00

 ネットカフェ難民、ファーストフード難民など、ここ数年で新たに誕生した言葉たちがある。ヨコ文字が入ると、問題意識が薄れそうだが、これらの言葉はいまの日本に、格差社会が広がっていることを如実に物語っている。『半落ち』『ツレがうつになりまして』の佐々部清監督が手掛けた『東京難民』では、普通の大学生があっという間に転落し、底なし沼でもがく様が、他人事とは思えぬリアルさを伴って描かれる。主人公の修を演じた中村蒼に単独インタビューした。

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 どこにでもいる大学生だった修は、父の失踪をきっかけに授業料の未払いから大学を除籍。アパートを追い出され、ネットカフェ難民に。やがて新薬開発のための治験バイトやホストを経験し、果てはホームレスにまで落ちてく。その一連の波が、たった半年の間に起きていく。

 「こういった社会問題をテーマにした作品に主演させていただくのは初めてでした。挑戦のしがいがあると、やってみたい気持ちは強かったです」とクランクイン前の気持ちを振り返る中村。ただ最初の頃は修を好きになれなかったとも。

 「なんでも人任せだったり、恵まれた環境を当然のように考えていて、ちょっと嫌なヤツだなって思うこともあったんです。でも実際に演じてみたら、普通の青年なんだって思いました。自分も学生の頃は、いろんなことを当たり前に感じていたし」と逆に身近な青年だと感じるようになったとか。

 「それに修は落ちていく状況の中で、出会う人たちとちゃんと向き合うようになっていくんです。今までは人のせいにしていたのに、自分の未熟さに気づいて、逆に心は満たされていったんだと思う」。

 とはいえ修が半年間で体験する出来事は、過酷のひと言。芝居とはいえ、1本の映画でこれほどの経験をするのは中村も初めてだったはずだが、それも役者冥利と笑顔を見せる。「楽しいですよ。こうやっていろんなことをできるのは、俳優という仕事だからこそですから」。だが、それぞれの仕事に対する大変さを痛感したのも事実だ。「ホストも土木作業員も、治験のバイトも、楽なものなんてひとつもないんだと感じました」。

 ほぼ順撮りで行われたという撮影。佐々部監督の現場は常にいい意味での緊張感が持続していた。「まったく隙を作れないというか、油断できない。どうしても毎日同じ人たちと仕事をしていると、多少の慣れというのは出てきてしまいがちですよね。でも、この現場には一切それがなかった。毎回毎回、背筋を伸ばして現場に行かないといけなかった。『東京難民』では、特にそういう姿勢が必要だったと思うので、本当にありがたいと思っています」。

 出来上がった本編をまだ客観的には観られないとはにかむ中村。特に、転落していく様子をじっくり見せる前半部分は、ほぼ中村ひとりで物語を引っ張る形となっている。「大丈夫かなって思っちゃいました。お客さん、僕の顔ばかりこんなにずっと見ていて、帰っちゃうんじゃないかって(笑)。でもあれがないと後半が生きないと思うし、孤独にポツンといる姿とか、社会から切り離されたような空間で、パソコンを叩く音だけが響いている感じとかは、すごいなって思いました。僕個人の問題としてはもっとできたんじゃないかとか、どうしても考えてしまいますが、でもそのときの自分は一切手を抜いてはいないので、後悔はしていません」。

 もともとジュノン・スーパーボーイ・コンテストで、グランプリに輝き芸能界入りした中村。最初は役者になりたかったわけではなかったという。しかし現場で怒られることが多かった『ひゃくはち』(08 )が完成したときに、純粋に作品自体にとても感動し、その瞬間、「あ、これに出られてよかった」と大変だった出来事がすべてチャラになり、それどころか、「こういう嬉しさを感じられるなら、今後も俳優を続けていきたい」と思えるようになったのだとか。

 その『ひゃくはち』でも共演した高良健吾とは今でも親交が厚く、「頻繁に会ったりはできないですけど、いろいろ刺激を受けています」とのことで、会うと話が“俳優として”の方向に行くことも多いと教えてくれた。

 最後に本作を待っている人に向けてメッセージをもらった。「今日を生き抜くのが大変な人たちがたくさんいて、そういう中で僕らは普通に帰れる家があって、普通にモノを食べられている。それってとても幸せなこと。これを観る方にも、同じ気持ちを抱いてもらえたり、前や後ろだけじゃなくて、右も左もちゃんと見て、周りにある幸せをしっかり感じてもらえたらなと思います。それと、辛い話ではありますが、きっと最後には希望が感じられるはずです」。(取材・文・写真:望月ふみ)

 『東京難民』は2月22日より全国公開。

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