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視聴率3.1%である意味話題!? 川口春奈主演『夫のカノジョ』の強みをあえて分析

11月20日(水) 10:30

前作に続き高視聴率をマークしている米倉涼子主演の『Doctor-X』、堺雅人のエキセントリックな演技と古沢良太の質の高い脚本で見応えのある『リーガルハイ』など、今期のドラマも話題が尽きない。

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しかし、別の意味で注目されているドラマもある。
それが、視聴率4%を切ったTBS系木曜9時の『夫のカノジョ』だ。

初回から4.7%と低いスタートだったのだが、第3話で3.7%を記録し、第4話ではついに3.1%まで下がってしまった(ビデオリサーチ社調べ・関東地区)。ここまで低いと、逆にどんなドラマなんだと興味がわくんじゃないだろうか? 

というわけで、今回はこの『夫のカノジョ』が本当に見るに値しないドラマなのかどうか、検証してみることにしよう。

『転校生』でお馴染みの入れ替わりドラマ

『夫のカノジョ』は、他の人物と中身が入れ替わってしまう、いわゆる入れ替わりドラマだ。

川口春奈が演じているのが山岸星美という20歳の派遣社員。鈴木砂羽が演じているのが小松原菱子という39歳の主婦。夫が浮気しているのではないかと疑った菱子が、星見に夫と別れてくれと頼んでいるときに謎の老婆が現れ、2人の中身を入れ替えてしまうところから物語はスタートしている。

この入れ替わりというジャンルは昔からあって、日本でいちばん有名なのは、やはり1982年に公開された大林宣彦監督の映画『転校生』だろう。

当時まだ17歳だった尾美としのりと小林聡美が中学3年生の男女を演じ、その2人の心と身体が入れ替わってしまう内容だった。入れ替わってしまうキッカケとなる神社の石段を転げ落ちるシーンはあまりにも有名で、入れ替わりといえば石段落ちというイメージがこの作品によって定着した。

映画『転校生』の原作は、山中恒の「おれがあいつであいつがおれで」という児童文学なのだが、この本を原作としたドラマはその後もいくつか作られた。

1985年に石野陽子(現・いしのようこ)と松野達也(現・松野太紀)が共演した『転校生!おれがあいつであいつがおれで』、1992年に観月ありさといしだ壱成が共演した『放課後』、2002年に吉澤ひとみと勝地涼が共演した『おれがあいつであいつがおれで』などがそうだ。

とくにフジテレビの「ボクたちのドラマシリーズ」で放送された『放課後』は印象深く、じつは男っぽかった観月ありさと中性的な魅力があったいしだ壱成の入れ替わりは、その設定を十分に納得させるものだった。

個性的でファンタジックな星護の演出もハマっていて、ガーゴイル像やP's Dinerなど、当時の星護作品ではお馴染みのセットもこの作品には登場している。ちなみに、この『放課後』での入れ替わりは、2人がいっしょに感電したときに起こるという設定だった。

入れ替わりのパターンはいろいろ

異性に興味を持つ年頃の男子と女子が入れ替わってしまうのが「おれがあいつであいつがおれで」の特徴なのだが、入れ替わりのパターンは他にもある。

たとえば、1998年にテレビ朝日系で放送された『チェンジ!』は、母親と娘の入れ替わりだった。女優をしている母親役を演じていたのが浅野温子。中学生の娘役を演じていたのが、当時チャイドルとして人気だった野村佑香。仲が悪い母娘が家で揉めているときに2人で階段から落ち、入れ替わってしまうという話だった。

母親と娘ではなく、父親と娘というパターンもある。2007年にTBS系で放送された『パパとムスメの7日間』がそうだった。大手化粧品会社に務める父親役は舘ひろし。高校生の娘役は新垣結衣。伝説の桃を食べたあとに電車で事故に遭い、2人の中身が入れ替わってしまうという話だった。この頃になると映画『転校生』はオマージュの対象になっていて、入れ替わりを戻すために父親と娘が神社の石段を転げ落ちてみるというシーンも盛り込まれていた。

親子の入れ替わりでは子供が親の身体になってしまうので、夫(父親)や妻(母親)と2人きりで寝室に入るとドキドキしてしまうというシーンが、どちらの作品にもお約束のように入っている。

さらに、2011年に日本テレビ系で放送された『ドン★キホーテ』は、男同士の入れ替わりだった。

ひとりは草食系のひ弱な児童福祉司で、最初に演じたのは松田翔太。もうひとりは任侠集団の武闘派親分で、最初に演じたのは高橋克実。こういう正反対のキャラクターが入れ替わることで、いつの間にか2人が子供たちを救うヒーローになってしまうというストーリーだった。

松田翔太と高橋克実は、どちらも優しいキャラと凄みのあるキャラを使い分けられるので、キャスティングとドラマの設定はかなり合っている作品だった。

ちょっと変わったパターンとして、前クールにフジテレビ系で放送された『山田くんと7人の魔女』も入れ替わりドラマの範疇に入れてもいいかもしれない。特殊な能力をもつ魔女が存在する高校を舞台にした物語で、西内まりやが演じる白石うららの能力が入れ替わりだった。

この作品の特徴は、相手とキスをすると自由に入れ替われるというところ。ただ、女子高生が誰とでもキスをするのは不自然なので、キスをした魔女の能力をコピーできる能力をもつ山田くん(山本裕典)を仲介して、他の人物との入れ替わりが行われていた。

他にも、死んだ人の魂が入って身体と中身が違ってしまうというパターンもあって、今期のドラマでは日本テレビ系の土曜深夜に放送されている『49』がこれにあたる。ひきこもりがちで地味な高校生・暖(佐藤勝利)のなかに、暖をかばって死んだ父親の魂が入り込み、急に活発で明るい性格の人気者になるという話だ。

このドラマには、父親が暖の好きだった同級生・幸(山本舞香)にときめいたり、暖が父親の妻、つまり母親(紺野まひる)に欲情したりすると、魂が入れ替わってしまう設定があり、ひとつの身体に魂がふたつという状態でストーリーが進んでいる。野島伸司の脚本だけあって心理描写は意外と繊細なので、じつは見て損のない作品だったりする。

じつは面白いホームコメディの王道

このように、入れ替わりドラマというのは、極端な設定であるにもかかわらず、意外と頻繁に制作されている。だからどうしても“またか”という印象が強くなってしまう。『夫のカノジョ』がスタートダッシュに失敗してしまったのも、それが大きな原因かもしれない。

また、『夫のカノジョ』というタイトルからは不倫モノを連想してしまうので、入れ替わりドラマが好きな人にとってもチョイスしにくかった。さらに、木村拓哉、堺雅人、米倉涼子などの高視聴率経験者に比べれば、やはり川口春奈と鈴木砂羽では引きが弱い。そのあたりの要因が重なって、現在の低視聴率があるような気がする。

ただ、入れ替わりドラマというのは、頻繁に作られていることからも分かるように、安定した面白さはある。というか、フィクションの設定としては、タイムスリップものなどと並んで鉄板と言ってもいい。

実際、『夫のカノジョ』も面白くて、Yahoo!テレビのみんなの感想では、最高の☆5つが66%、平均で4.16ポイントの評価をされている(11月17日現在)。つまり、見ている人は少ないが、見た人の多くは満足しているということだ。

このドラマは、夫の浮気を疑った主婦・菱子(鈴木砂羽)と、浮気を疑われた派遣社員・星見(川口春奈)が入れ替わる話だが、星見は菱子の夫・麦太郎(田辺誠一)が課長を務める食品会社で働いている。つまり、入れ替わってからは、菱子が夫の会社で夫といっしょに働き、星見が菱子の家で麦太郎や子供たちといっしょに生活をしながら主婦をすることになるわけだ。

前半は、菱子が夫の浮気を疑っている部分が効いていて、麦太郎が普通に星見(中身は菱子)に接しても、菱子がすべて浮気と関連づけて考えてしまうところがきちんとコメディになっていて面白かった。もちろん、麦太郎が本当に浮気をしているわけではなく、そのことは第4話で菱子も理解するのだが、菱子が夫を愛する目でみてしまうと、身体は星見なので、さらにややこしいことになってしまう。

妻が実際には浮気をしていなかった“夫のカノジョ”に身体が入れ替わってしまうという設定は、ボタンの掛け違いが次から次へと笑いにつながるので、思った以上に面白いのだ。

ドラマ全体としては、菱子がそれまで知らなかった家族のために働く夫の姿を見たり、自分とはまったく違う環境で育った星見の人生を垣間見たり、あるいは家族の団欒を知らない星見が菱子の家でさまざまなことを感じたりしながら、それぞれに成長していく部分もある。

また、菱子の生活を星見が、星見の生活を菱子が肩代わりすることで、本来の自分ではできなかったことができたりもするので、入れ替わりが改めて自分の生き方を見直す期間にもなっている。そういう部分も含めて、この入れ替わりドラマはホームコメディの王道になっているのだ。

星見を演じている川口春奈も無難にこなしていると思う。昨年、フジテレビ系で放送された『GTO』の相沢雅役が印象深いが、前クールにTBS系で放送された『天魔さんがゆく』の旭役でもいい味を出していた。はっちゃけたコメディエンヌというわけではないが、ツボは分かっている人だと思う。

ゴールデンタイムの連ドラ初主演だからといって、低視聴率をすべて彼女のせいにしてしまうのはいくらなんでも可哀想だ。

実際問題、視聴率3%台が続くと、予定通りに話がこなせるのかどうかはわからない。ただ、序盤から各話のエピソードは原作を離れているし、登場人物も最初から減らしているので、ドラマとしての無理のない着地点は見つけられそう。

最初から見ていない人に、あとでこんなに面白かったんだと思わせるためにも、最後まで前半のテイストを維持して完走して欲しい。

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