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「艦これ」の魅力はおもてなさないところ。高級ホテルではなく居酒屋なのだ

11月8日(金) 11:00

米光「艦これは高給レストランじゃなくて居酒屋! ビールが来なかったら自分でとりにいくぐらいの!」

WEBゲーム『艦隊これくしょん』が大人気だ。関連書籍は売り切れ続出、2014年夏にアニメ化決定、11月4日にはユーザー数の増加に伴い新規着任が停止になった。勢いは留まるどころかまだまだ加速している。
艦これはどうしてこんなにユーザーを惹きつけるんだろう?
11月2日、ゲンロンカフェで「さやわか式☆現代文化論 第1回『「艦隊これくしょん」の真実!』」が行われた。『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』の著者・さやわかと、『ぷよぷよ』開発者のゲームクリエイター・米光一成、『ガールズ&パンツァー』などに出演したミリタリー愛あふれる声優・中村桜の三人が、艦これの魅力について語り合った。中村はなんと、航空母艦・赤城のコスプレをしてきている! めちゃくちゃカワイイ!!

■艦これの論点

さやわか・米光・中村の鼎談…の前に、さやわかによる「艦これの論点」ふりかえりを紹介しよう! 艦これのヒットの理由や魅力を、「ブーム」「先行作品」「ゲームデザイン」の3つのポイントからまとめたものだ。
1.ブーム
「艦これは2013年4月23日に開始。10月29日にはユーザー数100万人を突破した。僕が7月24日に問い合わせたときには23万人だったから、めっちゃ伸びてる。伸び率がヘン」
なんでそんなに急激に人気になったのか? pixivの作品閲覧数グラフを見てみると、6月23日と8月17日に閲覧数が跳ね上がっている。
「この日になにがあったのか調べたら、6月23日は新規着任受付が停止、まとめブログが登場。8月17日は1万名規模の新規着任が一瞬で枠いっぱいになった。『サーバーが重くなるくらい人が殺到している』というニュースが出ることで、話題性が上がってバズってるわけです」
2.先行作品
艦これはこれまでにない新しいゲーム!…というわけではない。2007年には艦船擬人化ゲーム『萌え萌え2次大戦(略)』が発売されている。でも、艦これほどのブームは生まれなかった。
「艦これのヒットには、ネットでの先行作品が欠かせない」
先行作品として挙げられたものは『ひぐらしのなく頃に』『東方project』『THE
IDOLM@STER』『ヘタリア』『VOCALOID』。ネット二次創作の流行、大量キャラの世界観、MAD動画作成文化、ソーシャルゲーム、史実との結びつきがある擬人化、ニコニコ動画でのMMDなど、確かに艦これや受容のされ方との共通点が多い。艦これヒットの素地はこんなところにもあった。
3.ゲームデザイン
艦これは「課金しなくてもいい」ところがいい、という意見がある。
「昔は僕もそう思っていて、魅力として書いたこともあるんですけど、今は違うと思ってて。『課金してもしなくてもいい』、課金に対する態度も含めて、思い思いのプレイスタイルで遊べるのがいい。パズドラに似てる。課金厨と非課金厨で争う必要がない。ちなみに、ポイントと資源を買いまくると一般的なガチャと同じ遊び方ができますよ!」

■艦これは居酒屋

中村「着任したのは6月13日。でも、きちんとやり始めたのはもうちょっと後なんです。勝手がわかるまですごく時間がかかった。チュートリアルもよくわからないし、演習もなんのためにするかわからなくて……」
米光「ぶっちゃけた話、UI(ユーザーインターフェース)はあんまりよくないですよね」

艦これあるあるだ。私もはじめ、建造や開発をどうすればいいのかまったくわからなかった! 進撃・撤退もたまに間違えそうになる。

米光「今のゲームって、『おもてなしクリエイティブ』。すごくやりやすくて、迷うこともなく、もっとも最適な操作性で、ユーザーに不快感を与えないように洗練されてる。でも艦これはおもてなしじゃなくて、『参加型のクリエイティブ』になってる。チュートリアルがよくわからないから、真っ先にwikiに行ったり」
中村「ああ、そうですね! わからないことがあったら、twitterで他の人の意見を参考に進めることが多いです」
米光「任天堂は高級ホテルのレストランだけど、艦これは昼から飲む人が行く居酒屋。ビールが来なかったら自分でとりにいく、おまえが店員になってんじゃんって感じで」

米光「UIを狙って悪くしてるんじゃないんだよね。羅針盤なんて最たるものだけど、狙ってないでしょ? ミリタリーの魂に準じているからこうなってしまった」

例に挙げられたのは補給。出撃する際に補給忘れを気づいても、1クリックで補給ができない。

米光「めんどくさいんだけど、やってるうちに…『イヤ、実際はもっとタイヘンだったんだよ…』って。4クリックの手間を惜しんでるどころじゃないんだよ!」
さやわか「補給してからも、出撃するまでに一回母港に戻らなきゃいけない!」
中村「でも私の中ではそれも若干ゲーム性になっていて。『任務も含めて、いかに効率よく回るか!』みたいな」

ここで、米光がゲームのフレームワークで言われる「MDA」を紹介。「Mechanics」はルール。ルールをもとにプレイすると、「Dynamics」展開が生まれる。そして、「Aesthetics」はゲームシステムにかぶさる美学のことだ。たとえば『ぷよぷよ』はほとんど「M」でできている。

米光「艦これは、もちろんM(ルール)も練ってつくってあるんだけど、『艦隊!』というA(美学)ありき。それをどうMに落とし込むか、という流れで作られてる」
さやわか「キャラを好きになるようにゲームが仕向けられている。ゲームのシステムとして設計されている部分が、キャラや艦船に気持ちが向くようになってますよね」

■好きなのは船?艦娘?

中村「陸奥が好きです。お姉さん感がいい。それに、船の形がすごくカッコイイんですよ! あと愛宕と高雄。スタート時に名前を知ってるとそれだけで愛情が湧いて。夕立改二も…あっ飛龍も好き。『多聞丸』って言ってるのがウルっとなる…」
多聞丸とは、山口多聞のこと。飛龍の最後の指揮を執り、ともに沈んだ人物だ。
中村「興味のある人が乗ってると、船も好きになりますよね。多聞もそうだし、柳本柳作もかっこよくて好きで。柳作つながりで好きになった艦娘もいます」
さやわか「キャラの話をしてるのか、実際の船の話をしてるのか、わかんなくなりますね。冷静に考えると『この子はね、けなげな船なんだよー!』って意味わかんないんだけど、みんなそういう口ぶりになる」

艦娘たちの台詞は、史実に基づいているものがほとんど。ロスト(轟沈)時の台詞は、艦船が悲しいストーリーを持っていることを思いおこさせる。

さやわか「ロストは、愛着を持ったキャラを失う感覚がある。同じ種類の艦娘はいっぱいいるけど、育てた『あの』艦娘は戻ってこない」
中村「2-4(序盤の難関ステージ)の前に初めてロストを経験して。『うわああああ!? しんだあああっ!? なんだ、この雫っ!?(轟沈の演出)』って悲鳴を上げました…」
米光「艦これがロストをやってるのはすごいよね。この時代に『wizardry』レベルのハードコア。マニアックゲーム魂がある人なんだなあ…! あと内部パラメータでマスクデータが多い感じが、昔のPCゲームっぽい。ウォーゲームとかやってた人、夢ですよ」

■現代版『ドルアーガの塔』

さやわか「艦これの戦闘画面って、2D時代のFFに似てる。戦闘システムはAIだからドラクエ4。びみょーにバカなところも含めて」
米光「バカだよねー! あんなにハズすものなの!? それも史実に基づいてるのかな…」
さやわか「バックボーンにしてるものが大きすぎて、もはやわからない!」
米光「運の要素が大きい。旧来のゲームだともうちょっと運の要素を減らすんですよ。『自分がやってる感』を出したいから。赤城、いきなり大破になるのおかしいでしょ! でも…『そっか、本当の戦争はこうだったのかも』って妄想で補って…」
さやわか「ほんとに、どこまで計算してやってるのかわからないゲームですよね。内容じゃなくてシステムの話なんですけど、『友軍』のシステムがまだ動いてない。本当はあれを稼働させたいんだけど、それなしでゲームが成り立ってしまってる。その結果、ソロでネトゲをやってるみたいになってるのかなって思います。だからヘンに難しい、急に敵が強くなったりする。ソーシャル要素があれば、もっとゲームとして安定してたのかも」
米光「この『ソロでネトゲ』感って、現代の『ドルアーガの塔』だよね。『ドルアーガ』は理不尽な謎解きがあって、みんなゲーセンのノートに攻略情報を寄せ合ってた。顔も見たことない人同士が『ここはこうやってクリアするんだよ!』って協力し合って。そういう楽しみ方がよみがえってる。『ドルアーガの塔』のゲーセンノートが、艦これではwikiなんだよー」
さやわか「ソーシャル要素(友軍)がまだ実装されてないの、意外にいいことなのかもしれませんね。Twitterとかwikiでゆるくつながるくらいのソーシャル感が今だとちょうどいいのかな」
米光「今の状態は奇跡的なバランス、奇跡的なタイミングなのかもね」
さやわか「なるほどね! 艦これ、すごいゲームじゃないですか!」

「艦これってどこが面白いの?」という質問に、一言で返すのは難しい。二時間があっという間に経ってしまうほど、たくさん魅力がある。イベント終了後の懇親会でも、提督&非提督入り交じっての艦これトークがアツく展開した。これが愛、なのです!
現代のポップカルチャーをさまざまな観点から分析するイベント「さやわか式☆現代文化論」。第2回は12月6日に開催(テーマは初音ミクを予定している)。

最後の質疑応答コーナーで、米光が逆質問。
米光「2-4ってどうクリアすればいいの!?」
颯爽と挙手する女性提督。
「レベルを上げればいいと思います!」
(青柳美帆子)

ゲンロンカフェは、東京・五反田にある文系と理系が融合する新型イベントスペース&カフェ。東浩紀プロデュースです。

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「わたしにおまかせくださいませ」赤城さんといっしょ。その2

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