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あの死刑囚たちが獄中で描いた「極限芸術」の凄み

6月12日(水) 11:00

殺されることがわかっている。
目隠しされ、首に縄をかけられ、足元の床が抜ける。
でも、それがいつ実行されるのかはわからない。
明日かもしれないし、十年後かもしれない。

罪もない人の命を奪ったことに対する刑罰としての死刑なのだから、そんなのは当たり前だ、と言われればその通りだろう。けれど、自分が確実に殺されることがわかっていながら、それがいつなのかもわからないままに、毎日を生かされている。それが死刑囚だ。

現在、日本国内の拘置所には約130名の死刑確定者が収監されている。彼ら(彼女ら)は、やがて訪れる“その日”を待ちながら、とくにすることもなく(死刑確定者は社会復帰を前提としないので、所内での労働作業がない)日々を暮らしている。

まったく見通しというものがない空間の中で、彼らに出来ることは限られている。ただひたすら怯えるか、後悔するか、夢を見るか、表現するか、だ。

広島県福山市にある鞆の津ミュージアムで開催されている「極限芸術 ~死刑囚の表現~」は、こうした死刑囚たちが獄中で描き残した絵画の本格的な展覧会だ。これを見に行ってきた。

鞆の津ミュージアムというのは、波のおだやかな瀬戸内海の港町、鞆の浦(とものうら)にある。築150年の蔵を改装して造られた館内には、300点を越える死刑囚の絵画が展示されている。

愛犬家連続殺人事件の風間博子や、和歌山毒物カレー事件の林眞須美といった有名な死刑囚の作品もあれば、オウム真理教元幹部で収監後に苗字を岡崎から改名した宮前一明や、大牟田4人殺害事件で家族4人揃って死刑判決の出た北村孝、孝紘兄弟など、マニア好きのする死刑囚の作品もある。

これらの絵画のうち、技巧的に優れた作品もいくつかはあるが、やはり大半は一目で素人が描いたものだとわかってしまう。だが、そうした技術の上手い下手を超越した“凄み”が、この展覧会にはあった。

黒い背景に3本だけ描かれた白いもやし。
緑の葉っぱが伸びる大根。
真っ赤な血を流す目と蜘蛛の糸。
ポツンと置かれた青いゴミ箱。

孤独と希望と絶望と無情。作者が誰なのかを知らなくても、それが死刑囚によって描かれたものであることを知っているせいで、深読みしようと思えばいくらでも絵の意味を深読み出来てしまう。ただ朝食の味噌汁に入っていたもやしをスケッチしただけかもしれないのにね。

ある死刑囚の作品では、大きなキャンバスに様々なキャラクターがコラージュのように書き込まれていて印象的だった。中にはいくつか見覚えのあるキャラクターがあって、同じ作者の別の作品を見ると、著作権に厳しいと言われている某社のキャラクターの絵がモロに描いてあったりした。そういう作風の人なのだろうけれど、獄中にいてなお罪を重ねるか! とも思った。
(とみさわ昭仁)

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