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鳥居ワールドとか言うな〈鳥居みゆき 新刊インタビュー1〉

8月2日(木) 11:00

2009年に『夜にはずっと深い夜を』で小説デビューを果たしたお笑い芸人・鳥居みゆきが早くも2作目となる『余った傘はありません』をこのほど刊行した。テレビのバラエティ番組で見せるエキセントリックな姿とはまた違う、数多くの仕掛けを施しながら女性の切なさや愛憎を深く描く小説は、ファン以外の間でも高い評価を得ている。
タレント・鳥居みゆきと作家・鳥居みゆきの境界線には何があるのか? そんな疑問を探るべくインタビューを敢行してみた。インタビューが成り立つのか、自信がないままに……


【オファーが来たから、しょうがなく。】
鳥居 このバームクーヘン食べていい?

── えーっと。私の持ってきたものじゃないですけど、どうぞ(笑)

鳥居 やった。

── 今日はこれが何件目の取材ですか?

鳥居 4かな。でもねー、前の3つの取材、ほとんど小説の話してない(笑) 子どもの頃の話とか、マネージャーの愚痴とか。

── じゃあ『余った傘はありません』の話をぜひ。おととし出版した『夜にはずっと深い夜を』につづいて今回が2作目。そこそも鳥居さんが「小説を書いてみよう!」と思ったキッカケは何ですか?

鳥居 オファーが来たから、しょうがなくです。

── えー。

鳥居 前回がかなり大変だったから、「正直もう書きたくない!」って思ってたんだけど、なんかマネジャーが勝手にOKしちゃって。「連載決まったから、よろしくねー」と。もう「マジ、なんなんだよ!」って超ムカついたけど、しょうがないと思って、がんばりました(笑) ああ、おいしかったー。

── 前作はケータイ小説のように全部ケータイで打った、って本当ですか?

鳥居 そうですー。

── じゃあ、今回も?

鳥居 今回は「もうちょっと長く」というオーダーだったので、さすがにケータイでは無理でした。それで、iPhoneに切り替えたんですけど、私はまだiPhoneで文字がうまく打てないので、結局パソコンで打ち込みました。ふふふ。

── 学生時代、ワープロ部だったという経歴をお聞きしたんですけど、その経験は生きましたか?

鳥居 そうだよ! ワープロ部ではありもしないハロウィンの招待状ばっかりずっと打ってたの。今にして思えば、パソコン部に入っておけばよかった!

── え? パソコン部があったのにワープロ部に?

鳥居 私の中での「最先端」が、当時はワープロだったんです。ジェネレーションギャーップ(笑)


【小説もコントもリズム感が一緒です】
── オファーが来てしかたなく書いた、ということでしたけど……

鳥居 ちょっとぉ。失礼なこと言いますね! 

── ……失礼しました。小説以外でも、コントの台本も普段から書かれていますよね。コント台本と小説、同じ「書く」という表現における共通点は何でしょうか?

鳥居 そうだなぁ。私はどっちも「テンテテテテテテン」ってやっています。

── ……えっ!? 何が??

鳥居 5・7・5というか、小説もコントもリズム感が一緒です。私、人の本を読むときも頭の中で自分の声を出してるんですよ。その時に気持ちのいいリズムにしたいな、と思って書いています。わかる?

── 「リズム感」を重視するのが一緒、ということだけはわかりました。

鳥居 うん。まあ、小説を書く上では本当は関係ないんだけど、試しに言ってみました(笑)。なんかこだわりがあった方がいいのかなぁと思って。

── うーん。では、反対に違いから苦労した点はありますか?

鳥居 そうですねー、やっぱり小説は読む人の想像力任せになる部分が大きいから、「みゆきは絶対こう思って欲しい!」というのがあるときは、すごく説明を丁寧にしなきゃいけないですね。例えば、ひと言で「お茶」と書いてあっても、そのお茶がどういう状態のお茶かっていうの、わからないでしょ?

── 温かいお茶なのか冷たいお茶なのか、ということ?

鳥居 違うーーー、もう! えーと、わかりやすく言うとね、あったかいお茶か冷たいお茶か、っていうことです。

── わー、合わせていただいちゃった。スミマセン。

鳥居 うふふ。人の想像力がどれくらいのものかって、よくわからないですよね。読者にどこまでを任せちゃっていいのかよくわからないまま書いてますね。

── じゃあ、基本的には、小説の方が説明をより丁寧にしよう、というスタンスなんですね。

鳥居 はい、そうです。反面、コントでは説明はそこそこに動きでわかりやすくするように心がけて、プラマイゼロで、どっちもわかりにくくなってますよ。あんまりね、人に理解されたくないの!


【何だよ!? 『鳥居ワールド』って!】
── 鳥居さんにとって2作目の小説となりましたが、前回を経験したから生きた部分や、敢えて変えた部分というのはありますか?

鳥居 そうですね。パソコンの近くにお水を置いてはいけない、ということを学びました。前はねー、ピシャーってなっちゃったの。それで、すごく大変だったんですよ。

── 大丈夫だったんですか? その原稿。

鳥居 だから、その回だけすごく短いです。もうやる気なくして。あと、飽きっぽいから長いのが書けない。

── 前作の方が詩っぽいですよね、散文詩と言うか。

鳥居 前作のほうが、人に見られることをあまり意識しなかったというか、感覚で書いてましたね。でも、今は私、すごく大人になって、人に媚びることも愛想笑いもできるようになったから、「人に読ませる」というのを意識して書くようになりました。

── 他に何か意識した点はありますか?

鳥居 『鳥居ワールド』とか簡単な言い方で片付けられるのが「クッソ食らえ!」って思っているんですよ。だから今回は「そういうのは言わせねーぞ」と思って書きました。

── たまに耳にしますね、『鳥居ワールド』。

鳥居 何だよ!? 『鳥居ワールド』って! こういう部分って、本当はマネージャーが一番よくわかってなきゃいけないところだと思うんですけど、感想を聞いたら、「いやー、鳥居ワールド全開で良かったです」とか言いやがって、ホントにイラッとするー! 

── あぁ、マネージャーさん……

鳥居 ちょっと聞いてもらっていいですか? ホントに腹立ってるんですよ! 「お前(チーフマネージャー)が書けって言ったから書いてんだろう!」と。なのにチーフマネージャーは杉ちゃんに付きっきりだし。それでよく喧嘩になるんです。だから、小説の中でも、マネージャー陣のムカつく面々の名前を使ってるんです。

── そうなんですね。

鳥居 「芦沢文也」というインストラクターが出てくるんですけど、それって今の担当マネージャーからの名前なんです。なんですけど、昨日になって、「鳥居さん、フミヤの字、間違ってますよ。僕の字、この字じゃないです」とか言ってきやがって、もう超腹立って! 「本名そのまま出すわけないじゃん! わざとやってんだよ」って言っても、「ハイハイ。間違ったのが恥ずかしいからそう言ってるんですよね」みたいなこと言いやがって……あー、ダメだ。今までの3回もこういう風にマネージャーの話になっちゃったんですよ。

── じゃあ、戻しましょうか。

鳥居 戻しましょう! 小説の話聞いてー。


【最終的には杉並区を買い占めたい】
── 先ほど、書く上で「リズム」を大事にしてるという話がありましたが、それは、お笑いをやる中で生み出してきたのか、子どもの頃からの癖だったりするんでしょうか?

鳥居 子どもの頃からっていうことはないですね。子どもの頃は人としゃべらなかったので。だから、やっぱりコントのリズムでしょうね。自分が読んでみて心地いい点の付け方をしています。日常の音でも気持ちいい方がいいじゃないですか。足音でも、人のリズムに合っちゃうと自分が気持ち悪くなるんですよね……おぉ、私、まともなこと言っちゃった(笑)

── ちなみに、コントは何年前から書いてるんですか?

鳥居 コントは18歳の頃から書いてるから、今が20歳として……もう13年? でも、その頃は純粋なコントじゃないですよ。

── お笑いに限らず?

鳥居 そう。コメディ劇団みたいなところに入ってたんですよ。でも、脚本が全部エロ過ぎる、とかいうことで却下になって。で、お笑いの養成所に行こう!って思ったの。

── じゃあ、やりたいことっていうのは、はじめからほとんど変わってないんですね。

鳥居 変わってないよー。大人になってからは、やりたいことのためにやりたくないこともやりましたけど、それはしょうがないです。順序があるんだな、っていうのがわかりました。甘いモノを食べるのでも、イチゴから食べないと、イチゴは酸っぱく感じるじゃないですか。そういう順序っていうのが物事にはあるんだなって。今、すっごい大人なこと話してますねー、私。

── やりたいことをやりやすい環境にはなってきた?

鳥居 まだまだですねー。私が一番やりたいことはまだまだあるんで。最終的には杉並区を買い占めたいんですけど。

── 昔から杉並区、お好きですよね。

鳥居 ずっとそうですね。私は石原伸晃さんが大好きで追っかけしてたので、杉並区を買い占めたら石原伸晃さんも買い占めることになるじゃないですか、心も。

── えーと、そうなりますか? その暁には、一族も付いてくると思いますけど。

鳥居 一族付いてくんのぉ。それはヤダ! 
(PART2へ続く)

<鳥居みゆき プロフィール>
1981年生まれ。秋田県出身。不条理世界を演じるコントで異彩を放つお笑い芸人。バラエティ番組、ライブ等で活躍するだけでなく、『全然大丈夫』『やさしい旋律』『非女子図鑑』『臨死!!江古田ちゃん』など映画・ドラマにも多数出演。『狂宴封鎖的世界』シリーズでは、自ら舞台に立ちつつ、プロデュースから脚本、演出、小道具作り、ケータリング手配、打ち上げセッティング、レジでのガム配り、支払いまですべてをこなす。
最新作『余った傘はありません』(幻冬舎)は、『夜にはずっと深い夜を』(幻冬舎)に続く、2作目の著書となる。

(オグマナオト)
マネージャさんへの愚痴をはさみつつ、たっぷり1時間以上語っていただきました。
(撮影:市村岬)
『余った傘はありません』(鳥居みゆき/幻冬舎)
殺したいほどの姉がいたから私は幸福だった……四月一日に生まれた、双子の姉妹「よしえ」と「ときえ」の物語。ハイテンションに綴る、鳥居みゆきはじめての長編連作小説。

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