「課題は見えているのにたどり着けない」芸歴18年・小関裕太が挫折から逃げなかった理由
8月11日(水)より放送を開始したドラマParavi『来世ではちゃんとします2』(テレビ東京系、毎週水曜深夜0時40分〜)に出演中の俳優・小関裕太さん。2003年のデビューから18年間、第一線で活躍し続けている小関さんに子役時代からの仕事への向き合い方を伺いました。
小関裕太
俳優
1995年6月8日生まれ。東京都出身。「天才てれびくんMAX」(NHK)のテレビ戦士として活躍するなど子役として俳優活動をスタート。その後も舞台やドラマ、映画に多数出演。
1995年6月8日生まれ。東京都出身。「天才てれびくんMAX」(NHK)のテレビ戦士として活躍するなど子役として俳優活動をスタート。その後も舞台やドラマ、映画に多数出演。
- 小学4年生で芽生えた「仕事」という感覚
- 「友達と遊ぶ概念はなかった」学生生活
- 「走っても走ってもゴールできない」18歳の挫折
- 泣いて悩んだ結果が固い決意へ
- 「忙しい時こそ会いたい人」に
- 「理解していないうえで意見するのはエゴ」
小学4年生で芽生えた「仕事」という感覚
「やれるならやってみようかな~」という気持ちで受けたCMのオーディションに受かったのが芸能界デビューのきっかけでした。
阿部寛さんのセキスイハイムのCMで、撮影の際は阿部寛さんの大きな背中を見ながら演技をしました。
次に出演したのが納豆のCM。スタッフさんから「納豆はいくらでも食べていいよ!」と言われたことにテンションが上がったのを覚えています(笑)
最初は現場=楽しいところという感覚でした。
そんな状態から、少しずつ仕事という感覚が芽生えるきっかけになったのは小学4年生の初舞台。
稽古場で役者さんたちが一つの作品に向かって一心に頑張っている姿がすごくカッコ良くて。
僕もせっかく歌やダンスを披露するならできる限り上手に、そして他の子役のみんなとは違う僕だけの表現を出していきたい、そう意識するようになりました。
「友達と遊ぶ概念はなかった」学生生活
今、子役時代のことを振り返って見ると、厳しい環境だったかもしれません。
親からもマネージャーからも「弱音を吐かない」「面白いことを言おう」「いろんな人が関わっていることをちゃんと意識して」……と、常にダメだしされていました。
でも、当時の僕にとってはそれが普通だったんです。
勉強が好きだったので、学業との両立はできていたように思います。2時間目で早退しなければいけなかったとしても、休み時間や家に帰ってからの時間を勉強に充てれば成績はクリアできる、という考えでした。
辛いというより、勉強も仕事もできているからこそいい相乗効果が生まれていると思っていました。
ただ友達と遊ぶ時間はなかったですね。というよりも「友達と遊ぶ」という概念がありませんでした。
「走っても走ってもゴールできない」18歳の挫折
ターニングポイントとなったのは18歳から19歳にかけて出演した舞台『FROGS』。舞台の演出を手掛けていたのは俳優の岸谷五朗さん。
役者としても、人生においても大先輩の五朗さんは、僕が高校生の時にぶつかっている壁なんてとうの昔に越えちゃった人。僕の考えなんてすべて見透かされている感じでした。
毎日、投げられる言葉一つ一つが鋭く刺さって、辛かったですね。
自分では何回も台本を読んでいるつもりなのに「読み込めてない」と言われてしまう。
次の日、自分の中ではやるべきことはやってから「五朗さん、やりましたよ」という気持ちで満面の笑みで現場に行くのですが、それに対して五朗さんからは特に触れられませんでした。
それどころか「次はこれができていない」と別の課題が出されるんです。
走ったら次のゴール、また走ったら次のゴール。
走っても走っても最後までゴールテープを切ることができないような辛い状態を味わいました。
課題は見えているのに、たどり着けないもどかしさがずっとありました。
泣いて悩んだ結果が固い決意へ
この頃はお芝居だけでなく、両立できていたはずの勉強も中途半端になっていました。このままどちらもふわふわしたまま終わってしまうのが嫌なら、一度腹をくくって向かい合わなければいけない。
たくさん泣いて悩んだ結果、芝居に集中することを決めました。
その時の覚悟が今でも、くじけそうになった時に背中を押してくれています。
忙しすぎてへこたれそうでも、あの時に「ずっと芝居をやっていく」と決めたことを思い出すことで前を向くことができます。
「忙しい時こそ会いたい人」に
僕が憧れている先輩たちに共通することは、ストイックなこと。一つの物事にかけるエネルギーと集中力と身の削り方がすごい。その姿に僕も背中を押されますし、忙しいほどそんな先輩方と話したいと感じるんです。
僕自身も年齢問わず忙しい時こそ会いたいって思われる人になりたいですね。
「理解していないうえで意見するのはエゴ」
現場ではモノづくりの観点を持ち合わせた俳優でありたいと思っています。
ただ、現場の皆さんの考えを理解しないで意見するのはエゴかもしれない。例えばカメラマンをやったことない人にはカメラマンの気持ちや思考回路がわからないと思うんです。
だからこそ、目指しているのは監督、カメラマンさん、音声さん、衣装さんなど、現場にいる色んな人の思いを理解できる俳優。そのうえで独自性のあるアイデアを出せるようになれたら嬉しいです。
最近では、実際にカメラと雑誌の編集に挑戦してみています。写真を撮って、文字を書いて、ページを作っていくというチャレンジ。そこから得る物はすごくあります。
例えば、2ページの世界と4ページの世界と6ページの世界は描けるものが違う。
今はまだわからないけど、今後、俳優としてもいつか役立つことがあるのではないかと期待しています。
幼い頃から舞台に立ち、26歳にして芸歴18年。
「現場にいる色んな人の思いを理解できる俳優になりたい」と語る小関裕太さんの温かさは沢山の困難を乗り越えてきた経験に支えられたものだと感じたインタビューでした。
そんな小関さんが “魔性のタラシ” を演じるドラマParavi『来世ではちゃんとします2』(テレビ東京系、毎週水曜深夜0時40分〜)もぜひ楽しんでご覧ください。