ドラマホリック!『DIVE!!』プロデューサーが明かす HiHi Jets・井上、高橋、作間を起用した理由
HiHi Jets(ジャニーズJr.)の井上瑞稀、高橋優斗、作間龍斗がトリプル主演を務める連続ドラマ『DIVE!!』(毎週水曜深夜0時/テレビ東京ほか)がいよいよ後半戦に突入。(※高橋優斗の高は、はしごだかが正式表記)
森絵都の同名小説を原作に、飛び込みでオリンピック出場を目指す高校生たちの熱い青春を描く同作品。ダイナミックな飛び込みシーン、美しい水の映像、高校生のリアルな感情が詰まった台詞、毎回笑わせてくれるコメディシーンに、視聴者から毎回大きな反響が寄せられている。
後半に向けてますます目が離せない『DIVE!!』。1話から見ている人はもちろん、これから見るという人でも楽しむことができるように、プロデューサーを務める倉地雄大さんに、企画から撮影までのドラマの裏側、HiHi Jetsの素顔、ドラマの見どころを語ってもらった。
- 何度も読み返した作品との再会
- 高校時代を思い出したキャスト達
- キャスティングに込めた想い
- 撮影前は泳げなかった井上瑞稀
- 鍛え抜かれた身体は努力の結晶
- 自らアドリブを入れていた高橋優斗
- キャスト自身も戦っている作品
何度も読み返した作品との再会
――『DIVE!!』は、森絵都さんによる2000年の小説が原作ですが、今回このタイミングでドラマ化しようと思った理由を教えてください。
倉地雄大(以下、倉地):僕は2019年に『死役所』というドラマを担当して、有難いことに大きな反響と評価をいただきました。『死役所』を超える物を作りたいと思ったときに、ちょっと路線を変えて挑みたいという気持ちが湧いてきたんです。
まずは、自分が好きな作品をさかのぼる形で探してみると、僕自身が高校や大学でスポーツをしていた時に何度も読み返していた『DIVE!!』と再会しました。映画も見返してみると、今ドラマでやってみたらきっと新しい『DIVE!!』作れるはずだと思いました。
――今だからできる新しいものとはなんでしょうか。
倉地:1番は飛び込みという競技の描き方ですね。映像技術は格段に進化しています。気軽にiPhoneで映画を撮影できるほど、カメラの技術が進化していますよね。そのうえで、原作で描かれている3人の主人公の魅力をたっぷり12話かけて掘り下げたいと思いました。
――毎回、水の映像が美しいと思いながらみていました。監督は、『おっさんずラブ』や『極主夫道』の瑠東東一郎氏ですよね。監督へのオファーも倉地さんがされたんですか。
倉地:2017年の『 僕たちがやりました 』(フジテレビ系)を見たときに、この監督はすごい!と感動して、その後、瑠東監督の作品を追いかけていたんです。そんなある日、たまたま衣装部の倉庫で出会って挨拶をさせてもらいました。それ以来ずっと「ご一緒したい」と伝えていて、今回『DIVE!!』でお互いのタイミングと思いが重なったので、やらせてもらえることになりました。
高校時代を思い出したキャスト達
――台本もかなりこだわったと聞きました。どんな部分に力を入れましたか。
倉地:苦労したのは、2000年の原作を現代に描くこと。要一は、お父さんが飛び込みの選手で2世なので自然に飛び込みの世界に入ります。飛沫も津軽の海で飛び込む習慣があった。でも、知季が飛び込みをしているのはちょっと難しいなと思っていました。
みんなそうだと思いますが、プールでの習い事をするとなると、水泳くらいですよね。飛び込みという少し特殊な競技を本気でない少年が6年もやっていることを説得力を持って描くにはどうするか、かなり議論しました。
――こだわりの台本を最初に読んだときキャストのみなさんの反応はいかがでしたか。
倉地:飛び込み練習と並行して台本を渡したので、リアルな反応があってよかったですね。飛び込み以外の高校生が恋とスポーツを両立できないことへの共感とか。自分の高校時代を思い出しましたとか言ってもらえたのがありがたかったです。
キャスティングに込めた想い
――ジャニーズJr.のHiHi Jetsの3人が主人公を務めています。3人をキャスティングした理由はなんだったんでしょうか。
倉地:昨年放送されていた『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(TBS系)を見ていて、とがったことをしているなと思うと同時に、井上瑞稀さんの存在感が気になっていました。もっと負荷をかけたら、面白いものが出てくる予感がしたんですよね。知季はいろんなものを抱えて、壁にぶつかりながら目標に向かっていくという役です。
知季が成長していく過程が、井上さんにぴったりだと直感しました。実際に、芝居に深みがあって、涙しているシーンは、ただ単に泣いているのではなくて、しっかりと知季の心情を受け止めていることが伝わってきました。
――涙のシーンは視聴者としても印象的でした。ほかの2人もいい味を出していますが、それぞれの役柄にキャスティングした理由を教えてください。
倉地:井上さんとやるなら、せっかく3人主役の物語だし、HiHi Jetsでやってもらうのが面白いかなと思いました。
沖津飛沫役の高橋優斗くんはジャニーズ事務所に加入したのが一番遅かったメンバーです。一匹狼のようなところのある飛沫という役を超えて、彼の人生がフィードバックして、役柄に深みが出ることを期待しました。
作間龍斗くんは、圧倒的に身体能力が高い。MDC一の実力派で飛び込みの天才である富士谷要一役を演じるのにぴったりだと思いました。実際に作間くんの飛び込みは説得力があります。飛び込みの指導をしてくださった金戸恵太さん(セントラルスポーツ)も、作間君には最終的に空中で体をひねる“ひねり技”を教えていました。
――さすが、身体能力をも見込まれただけありますね。3人の演技は期待どおりでしたか。
倉地:期待以上でしたね。村上淳さんや大東駿介さんも本当に3人は役にぴったり合っていると言ってくれています。単純に演じるのではなくて、自分自身の体験を通して、共感して、台詞に説得力が出るように探ってもらっていますが、本当に役柄と本人がリンクして素晴らしい演技を見せてくれました。
撮影前は泳げなかった井上瑞稀
――一視聴者としても、この3人以外に考えられないなという気持ちになります。ところで、井上さんは泳げなかったという衝撃的なお話を聞きました。
倉地:実は最初知らなくて……。オファーの返事を頂く際に「井上は泳げませんが大丈夫でしょうか」と聞かされました(笑)。
「どうしましょう?」と制作会社のプロデューサーと話していると、「井上さんだったら10日もあれば泳げるようになるのでは」という話になり、井上さん本人からも「泳げるようになりたいと思っているのでチャレンジしたい」という言葉があったので、それならばいっしょに頑張りましょう!となりました。泳げるようになるために、ほかの2人よりも早く練習に入ってもらいました。
――無事、泳げるようになったんですね。
倉地:水泳の先生に1時間くらいレッスンしてもらったらある程度の成長が見られました。その姿を見て水泳の先生から、「大丈夫ですよ」と言われ安心しました。あとは、撮影上、綺麗に見える泳ぎ方を、覚えてもらいながら撮影を進めていきました。
――みなさんの努力の結晶ですね。泳ぐのも大変だと思いますが、そもそも飛び込みってめちゃくちゃ怖いと思います。みなさんスムーズに飛び込めたんですか。
倉地:僕も記念に10メートルから飛び込ませてもらいましたが、飛び込みは怖いし、痛いことがわかりました(笑)。キャストのみんなからもときどき練習するのが嫌でしたと言われました。多分、冗談ですけどね(笑)。やっぱり生半可な気持ちではできないのが飛び込みです。それでもHiHi Jetsの3人は頑張って練習してくれました。
望月歩くんと佐久本宝くんは、3人よりも後から練習に加わったのですが「3人があれだけ頑張っているんだから絶対に頑張る」と、頑張りの連鎖が生まれていました。
鍛え抜かれた身体は努力の結晶
――倉地さんが見て、キャストのみなさんの演技や役作りで驚いたことはありましたか。
倉地:本当の初期の初期。飛び込み教室に入る以前に、金戸恵太さんと一緒に毎日やってもらいたい筋トレのメニューを作ってみんなに渡しました。年末年始もあったので、かなり厳しいメニューを組んでいたのですが、皆がさぼらずにやってくれたことは体つきを見てわかりました。毎日しっかり厳しいメニューをこなしてくれたんだと、尊敬しました。
――どんなメニューを課されたんですか。
倉地:柔軟運動に加えて、腹筋は上半身を床につけて脚を上げ下げするレッグレイズと、上半身と下半身を同時に上げてV字を作るV字クランチをそれぞれ20回2セット。背筋は各自の自由な方法で腹筋の2分の1。体感トレーニングを左右3セット。逆立ちは、前後。倒立のように向かっていくものと、反対から向かうものがあります。それを各1セット30秒ほど。
基本的にはそのメニューをお願いしていましたが、彼らはそれを毎日こなしたうえでジムにも通っていたと聞いています。
自らアドリブを入れていた高橋優斗
――ドラマではコメディシーンも多くて「一発ギャグ」などの無茶ぶりのシーンがところどころにありますが、あれはキャストさんたちのアドリブだったりするんでしょうか。
倉地:1話での要一とお父さんの朝食のシーンは、村上さんが仕掛けたアドリブだと聞いています。6話で、知季が陵とレイジから「なんかやったら許してやる」と言われたシーンは、台本には「知季が一発芸をする」と書いてあっただけで中身は井上さんが撮影前日に考えてきたもののようです。
――体も鍛えてギャグも考えて……。キャストのみんなは忙しいですね(笑)。
倉地:ちなみに、高橋さんは結構自主的にアドリブを入れていました。監督たちもそれが面白くなってきて、当初の予定では津軽弁はピンポイントで入れることになっていたんですが、気が付くと津軽弁をバンバン話していました。
――アドリブを注目しながら見るのも面白そうです。ものすごく楽しそうな現場ですね。
倉地:みんな本当に仲がいいですね。陵は途中で飛び込みを辞めてしまいますが、演じていた佐久本宝くんは、自分の撮影がない日も現場に見学に来ていました。今回は、クランクインの何カ月前から飛び込みの練習をして、役に向き合い、みんなと過ごしていました。怖いものをみんなで乗り越えていく時間があって絆ができていました。仲の良さが見ているこっちまで伝わってきました。
キャスト自身も戦っている作品
――たくさんの反響が届いていると思いますが、とくにうれしかった感想はなんでしょうか。
倉地:原作の森絵都さんが「楽しく拝見しています」と言ってくれたのは、ほっと胸をなでおろした瞬間でした。森さんの懐の深さも感じますし、楽しんでいるというお言葉は有難かったです。飛沫が、チョモランマと間違えて「チョコランマ級の俺が」と言ってしまうシーンがあるんですが、そこで笑いましたと、細かい部分まで感想を言ってもらえたのは嬉しかったですね。
――森絵都さんお墨付きですね! ドラマは後半に突入していきますが、まだ見たことのない人も含めて見どころを教えてください。
倉地:キャストのみんなが等身大の自分の壁とリアルに戦っている作品です。ドラマの中で知季が壁を超える裏側では井上さんという一人の人間が、カナヅチを克服するなど、できないものと戦っている姿があります。役者の熱意が見ている人の心を動かす力のある作品です。まだまだ大きく動く展開があるのでぜひ見てもらえるとうれしいです。
――後半戦も楽しみです! どうもありがとうございました!