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綾野剛インタビュー 王道ラブストーリーに「今までで一番苦労している」

綾野剛インタビュー 王道ラブストーリーに「今までで一番苦労している」
日本テレビ系にて、4月23日(日)よる10時からスタートする(2話以降はよる10時30分~)連続ドラマ『フランケンシュタインの恋』は、名作『フランケンシュタイン』の舞台を現代の日本に移した大森寿美男脚本のオリジナルラブストーリー。様々な作品でその存在感を発揮してきた俳優・綾野剛が、今までにないピュアな怪物役に挑むことで早くも話題になっている。1年ほど前から、河野プロデューサーとともに構想を練ってきたという綾野に、本作に懸ける思いを存分に語ってもらった。


■「今まで演じた役の中で一番苦労している」

ーー怪物役を演じると聞いたときの率直な感想を教えてください。

綾野:僕は、役者も怪物も誰かの造形物にすぎないと思っています。”綾野剛”という人物は誰かのパブリックイメージで作り上げられているもの。もちろん造形物を作るという意味合いでは、さらに大きく捉えなければいけませんが、普段やってることも思われていることも、我々は”怪物”に限りなく近い。なので、まったく違和感はありませんでした。むしろ河野プロデューサーのオファーの仕方がおもしろかったです。


ーーというのは?

綾野:1年くらい前に「そろそろ人間やめませんか?」って。僕も「いいですね」って、そこからスタートしました。


ーー”人間ではない何か”を綾野剛が演じようと。

綾野:はい。河野プロデューサーと話し合う中で、”人間ではない”の次にでてきたのが”ラブストーリーである”ということ。僕は、意外とストレートプレイができるようなラブストーリーをやってきていないんです、望まれていないのか(笑)。そこで、人間じゃないという時点で王道ではないかもしれないけど、「ストレートプレイのラブストーリー」ということが明確になりました。


ーーそれがなぜ、フランケンシュタインになったのですか?

綾野:まず、あがったのが『シザーハンズ』で、そこからシザーハンズが影響を受けたと言われるフランケンシュタインがすごく魅力的に感じてきて。『フランケンシュタイン』というゴシック小説の原作を題材にして、中身をシザーハンズの切なすぎる要素を足していく、というところに行き着いたんです。


ーー綾野さんが出演されていた『妖怪人間ベム(2011年)』も、”人間ではない”人物が主人公でしたよね。

綾野:『妖怪人間ベム』は、「自分が人間になりたい」という願望の話で、『フランケンシュタイン』は「人間であると認めてほしい」人権の話。それに対して、『シザーハンズ』は「抱きしめたいのに抱きしめられない」という圧倒的で普遍的なストレートプレイ。そこの要素を強くしましょうと。


ーーシザーハンズのイメージをフランケンシュタインの怪物に投影したものが今回の『フランケンシュタインの恋』ということですね。様々な構想を経て、出来上がった大森寿美男先生の台本を読んだときはどのように思いましたか?

綾野:参ったなと思いました。プロットの段階ではいろいろ見えていたんです、一筋縄でいくというか。それがもう一筋縄どころじゃなく、本当に手に負えない台本が現れてしまい。芝居の難しさだけでいうと100倍変わりました。


ーー手に負えない台本というのは?

綾野:情報がすごくあるのに、情報が染み込んでいない。どうにでも取れる台本なんです。現場でも、キャストやスタッフ間で「あ、こっちじゃないの?こっちなんだ?」ということがよくあります。右左だけならいいのですが、最低でも東西南北ある。現場にたくさん任せてくださる余白を与えてくださったことで、相当読み込まないといけない本になったんです。


ーー正解を探しながらお芝居をされているんですね。

綾野:正直に言うと、今まで演じた役の中で一番苦労しています。僕はだいたい初日である程度みえてくるんですが、今回は初めの3日間くらいは全く掴めなくて。怪物がピュアに感じることはなんでも正解。正解が多すぎるから逆に不自由なんです。


ーーなるほど。

綾野:リアクションが大きすぎても正解だし、小さすぎても正解だし、怯えても正解だし、喜んでも正解。どれをチョイスしなきゃいけないんだろう?って。でも、そこは強いスタッフチームのおかげで成立していますね。


■視聴者に「最後の共演者となっていただきたい」

ーー怪物というと少し恐ろしいイメージが先行しがちですが、今回綾野さんが演じる怪物はチャーミングな印象が強いです。役作りで意識されたことはありますか?

綾野:隙を生まなきゃいけないなと思って演じています。二階堂さんや柳楽くんをはじめとする共演者の方々は、芝居で空間を埋められるだけの芝居力を持っている人ばかり。つまり、全員が100の力を出してしまうと、一切ゆとりや余白がない緊張感のあるドラマになってしまう。どこにも隙がないキャラクターばかりだったら、観ていても疲れませんか?


ーー確かに。少し体力を奪われるというか。

綾野:そういった意味で、僕の役は隙を作らなきゃいけないと思ったんです。感情を全部埋めないで彼を生きる。そして我々のつくった余白に視聴者の方が入り込んでこの作品を体感してもらうことによって、最後の共演者となっていただきたいんです。


ーー自転車のシーンなんて、まさに隙だらけですよね。

綾野:台本には「電動自転車で勝手に坂を下っていく」としか書かれていないんですが、ここで爆発させるって決めていたんです。そこまではぐっと我慢して緊張感をつくって、「自転車に乗ってみればいいじゃないですか?」って言われたときについつい出てしまった好奇心でチャーミングさを爆発させようと。


ーー好奇心からチャーミングさが発動して。

綾野:子供がやることもすべてが好奇心の塊ですよね。「それを咥えちゃうの?」という子供の行動や、「風邪はうつるのに、なんで元気はうつらないの?」という子供の発想が人を豊かにする。怪物も同じで。それをはじめに発動させるのは、まちがいなく自転車に乗るシーンです。


ーー口を大きく開けて自転車に乗る怪物は本当に可愛らしかったです。

綾野:ただ、それはチャーミングにみせたいというのが前提ではありません。僕は、怪物が魅力的にみえることしか考えていないんです。チャーミングにみえる人もいれば、面白くみえる人もいるだろうし。それを決めないってことが余白を作るということだと思うから。


ーーそこから一変、津軽(二階堂ふみ)と稲庭(柳楽優弥)がハグをしているのを見ているときの切ない表情も非常に印象的でした。

綾野:あれは、心で説明できない感情が初めて生まれた瞬間なんです。ああいうものは一番人を狂わせる感情です。手当ができない、処方箋がないことが起こるんです。愛は愛でしか処方できないということを、怪物は知らない。


ーーあそこから怪物は「好き」という感情を認識していくのでしょうか?

綾野:まだ「好き」という感情も湧いてないんです、きっと。自分に新しい世界をみせてくれたきっかけの津軽さんが、違う男性と肌を触れ合わせているのを見てしまって、自分でもなにが起こっているのかわからない。でも、そういう感情って説明できないからいいんです。彼がこれから恋という感情を手に入れていくために、得るものと失っていくものが同時にそこで生まれるわけですから。


ーー深いですね。怪物の切ない表情は、どのようなことを考えながら演じられたのですか?

綾野:まっさらな状態で、津軽さんが笑っている顔や、頭の中でちょんちょんって触ってみたりなどを想像したり。


ーー怪物の気持ちに入り込んで。

綾野:そこで変化してしまうんです。120年ぶりに”人を死なせてしまう可能性がある手”に。そのあとドラマは急に動いていくので、楽しみにしていてください。


■柳楽優弥は20代でNO.1

ーー恋敵でもあり、親友でもある稲庭を演じる柳楽優弥さんとは話し合いながら撮影に臨んだのですか?

綾野:安心しているので任せっぱなしです。「どうでした?」って聞かれることはありますが、何をやっても成立する芝居力をもっているので、「優弥が一番気持ちいいと思えるストレートプレイでいいと思うよ」と。


ーー信頼しているんですね。柳楽さんのお芝居に驚いたことはありますか?

綾野:セリフを真実にしてしまうんです。本当に稲庭さんはこういうふうに喋っているんだろうなって、当たり前のように届いてくる。『ディストラクションベイビーズ』を観ても、彼の役作りは勉強になるし、あの目はいま、柳楽優弥にしかできません。自然とやってのけているのが恐ろしい。芝居力がずば抜けてます、素晴らしい役者が集まる世代の中で相対的なバランスをみても20代でNO.1だと思います。


ーーヒロインを演じている二階堂ふみさんはいかがですか?

綾野:瞬間的にでてくる表情の弾け方に驚かされました。その弾かれる瞬間を絶対見落とさないようにしなきゃいけないので、こっちも集中力を保って芝居が出来るんです。彼女には今回の作品で、連ドラでのヒロインを新しい形で確立させてほしいと思っています。


■『MOCO’Sキッチン』の淀みない感じが好き

ーー物語の中で怪物は、恋に限らず様々な感情を知っていくと思うのですが、綾野さんがこれから味わってみたい感情ってありますか?

綾野:世の中の美味しいと言われるものはひたすら食べたい。食で戦争も始められるし、食で戦争も止められるくらい、口の中に入れるものっていうのはものすごく影響を及ぼすと思うんです。なので、食でいろいろな感情を経験したいなと思います。


ーーちなみにいま、食べたいものは?

綾野:そこの職人の味を感じれるものでしたら全てです。僕はそんなにグルメではないので、どんなものでも美味しく感じます。


ーーご自身でも作られたり?

綾野:しますね。手羽先のコーラ煮とか。


ーー手羽先のコーラ煮!すごいですね!

綾野:圧力鍋に手羽先入れて、手羽元入れて、塩こしょうブラックペッパー、みりん、日本酒いれて、最後にコカ・コーラを入れて20分煮るだけ。生姜をいれてもいいし。鷹の爪一個くらい入れておけば、いい感じになるんです。


ーーお料理は得意なんですか?

綾野:本格的なものは出来ませんが、分かりやすい男メシはつくります。あと個人的に、『MOCO’Sキッチン』が大好きなんで現場にいく前に必ずみています。


ーー自分でつくるときの参考にするのですか?

綾野:技術がないから参考にはできませんが、あの淀みない感じが好きなんです。流れるように作るじゃないですか?なめらかに。音楽のように作ってるから心地いいんです。


ーー流れるように…ですね(笑)。綾野さんが、流れるように当たり前にやる習慣ってありますか?

綾野:当たり前の習慣はないです。呼吸すらも意識してるかもしれませんね。


ーー深呼吸ですか?

綾野:意識しながら深呼吸はしますね。朝カーテンを開けて、「ふぅ」ってやるだけで、エンジンの稼働が早くなる。


ーーお酒もお好きなんですよね。朝まで飲むことも?

綾野:次の日休みの日限定ですけど。二日酔いで現場にはいることは100パーセントありえません。


ーーそれは仕事に対する姿勢ですか?

綾野:やっぱりポテンシャルもアイデアのスピードも下がりますから。そんなことやっている場合じゃないって思って。


■「君が役者でよかった」に支えられている

ーー最後に、人生が変わるほど影響を受けた人の言葉があれば教えてください。

綾野:……(しばらく悩んで)「君が役者でよかった」です。


ーーそれは、誰に言われた言葉ですか?

綾野:デビュー作の『仮面ライダー555』の石田秀範監督がおっしゃってくれた言葉です。去年の6月に、今日まで獲得した主演男優賞のトロフィーを全部持って十何年ぶりに会いに行ったんです。そしたら、それをご覧になって「仮面ライダーで23テイク撮った時に、これでまた1人の役者をつぶしちゃうかもしれない。それでもいまは彼のために向き合わなきゃならないと思いながらも、その方法が正解かわからなかった。でも今、こうして僕があのときやったことが正解だったんだと証明してくれた。君が役者でよかった」と言ってくださって。言葉になりませんでした。


ーー素敵なお話ですね。

綾野:その言葉には、いまでも静かに支えられてます。これからもずっと、影で支えてくれてる言葉です。


綾野剛主演ドラマ『フランケンシュタインの恋』は、日本テレビ系にて4月23日(日)よる10時スタート。

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