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手練れ「猫俳優」と仏頂面「西島秀俊」の絵ヅラにハマったNHKドラマ(TVふうーん録)

2017年07月16日 08時00分
提供:デイリー新潮

 NHKは猫に頼りすぎではないか、という話をしよう。大河「おんな城主 直虎」でも小林薫に茶トラを必ず抱かせるし、「ごごナマ」もあざとく猫編集長を据えているし。「ネコメンタリー」やBSの「岩合光昭の世界ネコ歩き」は上質な猫馬鹿番組だからよいとして、全体的にあまりに猫猫しすぎやしないか? 犬派の人に怒られない? そんなときにこれまた猫ブームに乗じたドラマが。「ブランケット・キャッツ」である。

 主演はここ数年、眉間の深いシワが取れなくなって、仏頂面が固定してしまった西島秀俊。もともと表情と感情表現に乏しい彼が、アクション&ノワール系の役ばかりで、さらに無表情に。表現力があるとは決して思っていないが、彼の優しい顔が観たい。憤怒や慟哭よりも、日常のささやかな笑顔が観たい。もしかしたら、この作品で観られるかもしれない、と淡い期待を抱いたのだが、うぬぬぅ。

 西島は妻(酒井美紀)を交通事故で亡くした家具職人の役だ。亡き妻が飼っていた7匹の猫を人に譲りたいと、張り紙を出している。そこに猫が欲しい人々が登場し、それぞれの事情や人生の岐路が描かれるという物語らしい。西島は猫を譲りたい割に、引き取り手に対して横柄かつ居丈高。亡くした妻への思いや不器用な性格ってのはわかるけれど、描き方がちょっと浅い。幼馴染の独身獣医・吉瀬美智子の立ち位置も、なんだか古臭い。昭和の少女漫画のようなキャラクター。そのうち、パン咥(くわ)えて走って出てきそうな勢いである。

 吉瀬と西島を心配するお節介キャラ(島崎遥香や美保純)も出てきたりして。なんだろう、このダサさは。

 冒頭、西島が猫らに快適な睡眠を奪われ、起こされて、トイレを掃除した途端に放尿され、仕事の邪魔をされるなどの微笑ましいシーンがあった。そこはいい。いいんだけど、7匹も飼っていて、独り暮らしで仕事をしながら、あんなキレイな家をキープできるはずがない、と思ってしまった。

 私の姉は元野良猫4匹を室内飼いにしたが、家の中はマジ汚い。手術は済ませたので、次々と子を産むような多頭飼育崩壊はない。が、トイレは1日数回掃除しないと糞尿だらけだし、猫砂は肉球に挟まれてあちこちへ運ばれるし、猫毛は宙に舞うわ、服につくわで相当の汚部屋(おべや)にならざるをえない。そもそも高いところに割れ物をごっちゃり置かねーし、と「猫飼いリアリティの欠如」ばかりが気になってしまう。7匹もいて、ふわふわモフモフだけ楽しめっつっても無理だわ。

 が、猫はなかなかの手練(てだ)れを集めておる。ドラマ「猫忍」で父上を演じた金時(有名な猫俳優)は、劇中で西島に爪を切らせたりしてね。西島の肩に乗る茶トラは、うにという名の猫俳優。ZOO動物プロダクションのスターが勢ぞろいなのだ。

 猫馬鹿としては、つい相好を崩して甘くなりがちな作品なのだが、人物設定や内容には厳しい目を向けていきたい。いや、本音を吐く。ハマってるの、猫らと西島の絵ヅラに。NHKの思うツボ。なんかくやしい。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビ番組はほぼすべて視聴している。

「週刊新潮」2017年7月13日号 掲載


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