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「ろうそく1本ちょうだいな!」 和風ハロウィーン、北海道の七夕

2017年06月19日 14時57分
提供:OVO

 もうすぐ七夕。子どものいる家庭では、飾り付けをして願いごとを書いた短冊を飾ったりするかもしれない。ところで、北海道の函館市では、7月7日は子どもたちが1年間心待ちにしている楽しみな日。「ロウソクもらい」という一大イベントがあるからだ。2012年から2015年まで3年間函館で過ごした筆者が、「和風ハロウィーン」と呼びたくなるこの習わしを紹介したい。

 北海道では旧暦の七夕が一般的で、8月7日にこの習わしが行われるところが多いそうだ。しかし、全域でというわけでもないらしく、道南地区の函館では7月7日に行う。この日、子どもたちは、夕方から町に繰り出す。目的は「ロウソクやお菓子をもらいにいくこと」。住宅や店舗などの玄関先で「竹に短冊 七夕祭り 大いに祝おう! ろうそく1本ちょうだいな」と歌うと、ロウソクやお菓子がもらえるのだ。この歌は道内の地域によっても異なるそうで、「お菓子を出さないと承知しないぞ!」という荒っぽい調子のところもあるという。

 後からできたルールのようであるが、回る家は「玄関先に七夕の飾りがつけられている家」という暗黙のルールがある。この日、学校から子どもたちには、「飾りの出ていない家は回らないこと」「低学年の子は大人同伴で回ること」「高学年でも単独で回らずグループで」「19時半ぐらいまでには帰宅すること」などの注意事項が通達される。我が家の子どもたちの武道の稽古が七夕とぶつかることが分かったとき、普段は厳しい先生が「子どもたちが1年間楽しみにしてきているのだから、休みにしよう」と言うのを聞いたときには、この習わしの存在の大きさをあらためて感じたものだ。


飲み屋さんでもお菓子を用意してくれている

 女の子たちは浴衣を着て町中に繰り出す。町がにぎやかに、華やかになる日でもある。一般住宅や地元の小さなお店だけではなく、コンビニやホテル、デパート、お寿司屋さん、居酒屋さん、ドラッグストアなど、さまざまな場所でバラエティーに富んだお菓子が用意されている。歩いている途中で会った他のグループの子たちと「あそこではこれがもらえたよ!」「行ってみようかな!」などと情報交換するのも、よくある光景。子どもたちは2時間以上、足が棒のようになるのも気づかないほど一生懸命に歩き回る。

 筆者は子どもたちと一緒に町を回るのが楽しくて、函館滞在中の3回の七夕とも、町に繰り出した。でも、お菓子をもらいにきてほしいという気持ちもあったので、玄関先に七夕飾りを施して箱に色々なお菓子を入れ、 「1種類ずつ持っていってください」のメモを貼り付け、子どもたちと出発した。このように、その家の人が不在でお菓子だけ置かれている場合にも、子どもたちは歌を歌ってからお菓子を取っていく。

 町中を行き交う子どもたちの顔は皆生き生きとしていて、夕刻から夜の3時間ほど、街が普段以上に活気付き、子どもたちの存在の大きさを感じる日でもあった。東京に戻った今も、この時期が来ると懐かしく思い出している。

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