日刊アメーバニュース

どんなに嫌でも、いつかはある「親の死」に備えておくべきこと

2017年02月09日 17時00分
提供:フムフム

2月3日の早朝、夫の父が亡くなった。91歳だった。
最期は苦しむことなく、眠るように逝ったので、大往生というべきだろうが、優しい義父で、慕ってもいたので、悲しくてたまらない。
まだ元気だったとき、義父は「たとえ自分に何かあっても、孫を呼び寄せるようなことをしては駄目だよ。若い世代はやることがいっぱいあるんだから」と、言っていたが、肺炎で入院してからずっと大好きな孫に会いたいと思っているのがわかった。
そこで、言いつけを破って、今、英国で暮らしている息子夫婦に連絡すると、すぐに帰ってきてくれた。
何もしてあげられなかったけれど、彼らが臨終に間に合ったことだけが、せめてもの救いだ。


お見舞いのはずが臨終に立ち会ったことがある

だいぶ前のことになるが、知り合いのお見舞いに行き、臨終に立ち会ってしまったことがある。
具合が悪いと聞いてはいたが、深刻な気持ちはなく、文庫本を持ってお見舞いに行ったら、あろうことか、亡くなった直後だったのだ。
まだ体は暖かく、お顔に白い布もかかっていなかった。
なんだかきょとんとした顔で眠っているその人を見て、呆然としたが、そばにいてはいけないと思った。
ご家族だけでお別れをすべき場所に、私のような他人がいることは許されない。
あわてて病室を離れようとすると、お兄さまがこうおっしゃった。
「行かないで。ここにいて。どうすればいい?ね、どうすればいい?聞いてないもの。今日、死ぬなんて聞いてないもの」
確かにそうだ。
自分の両親の時もそうだったが、肉親の死は、突然だ。
悲しいとか、涙が出るとかそんな余裕はなく、ただただ驚くというのが、私の実感である。

容赦なく訪れる現実

けれども、現実は容赦ない。
病室はすぐに明け渡さなければいけないし、霊安室にいられる時間も限られている。
どんなに「聞いてないもの」と訴えても、急いでしなければならないことが次々と押し寄せる。
誰に知らせたらよいのか?
遺体をどこへどうやって、運んだらいいのか?
通夜はどうするのか?葬儀は?火葬場は?
たくさんのクエスチョンマークが、遺族になったばかりの家族に襲いかかるのだ。

まずやるべきことは故人に寄り添うこと

『親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと』(三村麻子、内田麻由子・著/永岡書店・刊)には、葬儀の流れから相続の手続きまで、私たちが直面する数々のことが、わかりやすく、はっきりと、書かれている。
高齢でいつ最期の日が来てもおかしくはない義父がいるのに、「葬儀のための準備本」をダウンロードするのは、抵抗があった。縁起でもないと思いはした。
しかし、いくら拒否しても、その日は来るのだ。そこで、家族に隠れてこっそり読んでおいた。
そうでないとパニックに陥るのは間違いがないからだ。
そして、今、やはり読んでおいてよかったと思っている。
親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと――。
それは故人に寄り添うことです。
(『親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと』より抜粋)
この言葉を思い出し、私は焦ることなく、ただ、静かにお別れを言うことができた。

その日に備えておくことはいけないことではない

実家の両親が亡くなる前、私は葬儀のことなど考えてはいけないと思っていた。
そんな風に考えるのがこわかったのだ。
やがて最期の日は来るとわかっていながら、「そんなの嫌だ。認めない。嫌だと言ったら嫌だ」と、勝手に駄々をこねていた。
しかし、その日は来る。必ず来る。
だからこそ、なるべくたくさんの情報を得て、備えておくべきだ。
備えたからと言って、その日が早く来るわけではない。遅くなりもしないだろうが・・・。

チャート式、臨終・葬儀・納骨の流れ

『親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと』には、危篤から臨終、搬送、安置に始まり、葬儀日程の決定や葬儀の準備の手順がわかりやすく書かれている。
ここまで冷静にことが運べば、あとは当日を迎え、心をこめてお見送りをしたらよいのだ。
この後も、納骨や様々な名義の変更など、まだまだすべきことが控えているが、とりあえずは粛々と事が進んでよかったと思っているし、思いたいし、思わないではいられない。

順番通りの幸福

私はこれまで実家の母、父、そして、今回、夫の父を見送った。
肉親の死は悲しく、まだ立ち直っていないけれど、それでも、順番通りに事が進んでよかったと思っている。
義父は少なくとも、妻や息子や孫の葬式を出すことはしないですんだのだ。
それはやはり幸福なことだ。
彼は長生きをし、最期も苦しまなかった。
命日となった節分の日、空は晴れ渡り、翌日から、暦の上では春が始まった。
来年の節分には、義父を思いながら、豆まきをしようと思う。
 
(文・三浦暁子)

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