日刊アメーバニュース

元警官から「これを公開して大丈夫なのか?」の声…映画『日本で一番悪い奴ら』が描く警察の違法捜査の実態

2016年06月24日 09時02分
提供:日刊SPA!



 北海道警察では、捜査情報の漏えいに関する不祥事が相次いでいる。22日には、証拠偽造や地方公務員法(守秘義務)違反容疑などで道警の早坂洋平容疑者が逮捕された。過去にも、覚醒剤密売の仲介者の男と協力して証拠を偽造し捜査情報を漏らしたとして、薬物銃器対策課の警部補が逮捕された事件がある。

 この「日本警察史上、最大の不祥事」を描いた映画『日本で一番悪い奴ら』が、綾野剛主演、『凶悪』の白石和彌監督タッグで6月25日に全国公開される。そして、試写会に来場したその筋の元警官からは映画のリアルすぎる内容に、公開を心配する声が寄せられている。

 本作は、“日本警察史上、最大の不祥事”といわれる驚愕の事件「稲葉事件」を題材に、一人の刑事の歪んだ正義が暴走するエンターテインメント映画。原作のノンフィクション作品が映画化されることになり、一番ざわついているのは不祥事を丹念に描かれた「警察」であることは間違いない。

 しかし、白石和彌監督は「警察組織を糾弾するつもりで作ったわけではない。この作品で描かれる出来事は、警察だけでなくどの組織にも起こりうる普遍的なもので、それが映画化へ舵を切った理由のひとつ」と語る。

 いったい本作で描かれる不祥事の内容とは、どれだけリアルなものなのだろうか? SPA!では、かつて大阪府警巡査部長を務めた経験のある元警官に、独占取材することができた。

 まず、物語の舞台となった「稲葉事件」は2002年7月、北海道で現職警察官が逮捕された事件だ。階級は警部で、逮捕容疑は覚醒剤使用というもの。その後、覚醒剤密売とヤクザとの癒着、そして拳銃の不法所持まで発覚した「警察」による事件であり、これこそ“日本警察史上、最大の不祥事”といわれる所以である。

 本作はフィクションと謳っていながらも、なぜ「黒い警部」が醜い欲望に溺れたのか、そのスキャンダラスな事件の真相と核心、道警の闇を暴く「ノンフィクション」として成立していると話題になっている。その実態はいかほどか?

 元大阪府警巡査部長を務め、銃器対策課で潜入捜査を担当した高橋功一氏は「見事に裏切られました。よくここまで映像化できたものだと感心します。当時の警察内部を知る生き証人として言えるのは、これは北海道警だけの特異な事例ではなく、全国の県警本部で繰り広げられていた実話であること」と語る。

 綾野剛演じる北海道警察の新米刑事は署内の敏腕刑事から、刑事として認められる唯一の方法として「点数」を稼ぐことを教えられる。あらゆる罪状が点数別に分類され、熾烈な点数稼ぎに勝利した者だけが組織に生き残る世界だ。

 続けて、高橋氏は「北海道警が異常な捜査をしていたのではなく、これは僕が所属した大阪府警も同じでした。玄人から見ると、描写がリアル過ぎる。この映画を観て、ずっと喉の奥に刺さったままの小骨がとれたような思いがしました。にわかには信じがたいことかも知れませんが、私たち現場の捜査員は、潜入捜査は違法捜査であり、絵空事だと、上層部の構想を相手にしていなかったんです。

 しかし、銃刀法を改正することで、警察官による密売人からの拳銃の買い取りを合法化する法案が、国会で通過しました。銃器対策課の専従捜査員は、密売人から拳銃を買い取り捜査せよという指示命令が出され、現場担当はこれを真面目にやっていた。このことが明るみに出てくると、現場担当の個人責任として担当のみを切り離し、警察組織を守るための『組織防衛』として、幕引きを計りました。どの県警本部でも同じことが行われていました」と当時の状況を伝える。

「点数稼ぎ」のためには裏社会に飛び込み、捜査に協力するスパイ=S(エス)を仲間にし、有利な情報を手に入れる――。こうして、その教えに従った刑事と、彼のもとに集まった3人のSたちとの狂喜と波乱に満ちた生活が幕を開ける。自身は「正義の味方であり、悪を絶つ」との信念を持ちながらも、でっちあげ・やらせ逮捕・おとり捜査・拳銃購入・覚せい剤密輸など、北海道警察の刑事はありとあらゆる悪事に手を汚していく。

 そして、高橋氏は「まさか、あの当時の銃器捜査の実態が実写映像化されるなんて思わなかった。冒頭に流れた『これはフィクションです』のテロップを信じてしまったが、これは見事なまでにノンフィクション。ラストの綾野剛の危機に迫る好演には息を呑むが、はたしてこれを公開して大丈夫なのか」と舌を巻きつつも、封切りを心配する。

 元警官への取材を進めるに従って、リアル過ぎる描写は確かなものだとわかる。「何故、警察史上最悪の不祥事が発生したのかが如実に描かれている。組織が腐敗しない体質となるには何が必要で何が不要かを訴えており、組織人必見の作品である」と組織論で語るのは、元千葉県警の刑事課長・田野重徳だ。

 そして、“ミスターぶっちゃけ”としてテレビ番組でも活躍する元兵庫県警の刑事・飛松五男氏も「拳銃摘発が社会正義の実現と命を懸ける諸星刑事の手段を選ばずの想像を絶するおとり捜査。それを、見事に演じきった綾野剛! リアリティのあるエンターテイメント映画であり、警察捜査のバイブルとなる作品」と太鼓判を押す。また、ジャーナリストで銃器評論家の津田哲也氏は「警察組織の“悪”をこれほど鋭く抉った映画は過去にない。日本中が“正義”と欺かれていた『平成の刀狩り』の“巨悪”を取材した私は、ラストシーンのカタルシスに震えた」と話す。

 綾野剛と白石和彌監督タッグは金字塔を打ち建てるのか、心待ちにしたい。

『日本で一番悪い奴ら』

2016年6月25日[土]全国ロードショー/配給:日活

©2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会 <取材・文/北村篤裕>



【関連記事】
元刑事が「警察とヤクザの癒着」を告白するとき
山口組の肥大化・分裂を招いた責任は警察にもある――元マル暴刑事が吐露
麻薬取締官や警察はどうやって捜査情報を集めているのか?職質の基準は?
現役ヤクザたちの嘆き「家も駐車場も借りられない。クルマはコンビニに停めている」
元ヤクザは足を洗った後、どんな生活をしているのか?

※フィーチャーフォン向けサービスの停止とコメント機能廃止のお知らせ

ログインしてコメントする

アメーバ会員登録(無料でカンタン)

Facebookのコメント

コラムアクセスランキング

  1. 1専業主婦に向いている人の特徴って?正直すぎる回答に驚きも写真20 5月20日09時00分
  2. 2ふんわり香り美人に変身!香りが長続きする柔軟剤の正しい使い方写真15 5月20日10時00分
  3. 3ちょっと引くわ…「おしゃべりクソババアかよ!」と思われる女性の話し方写真17 5月20日07時19分
  4. 45位でもチーズバーガー級!「スタバのフラペチーノ」カロリーTOP5写真7 5月20日20時00分
  5. 5実録…!オトコが彼女に「間違えて送っちゃった」恥ずかしいLINE写真 5月20日12時15分

ランキング

記事配信のポリシーについて

TOPへ戻る