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若者の時代劇離れ。その原因は時代劇が「つまらなくなったから」

2014年10月17日 18時00分
提供:マイナビスチューデント

車、テレビ、CDなど「若者の◯◯離れ」が深刻化しているとよく言われますが、「若者の時代劇離れ」もその1つ。実際、テレビで時代劇が見られるのはNHKの大河ドラマか木曜時代劇くらいなものです。では、なぜ若者は時代劇から離れてしまっているのでしょうか。『時代劇は死なず!』『天才 勝新太郎』など、時代劇愛に満ちた著作を意欲的に発表されている時代劇・映画史研究家・春日太一さんにお話を伺いました。

春日さんは、9月に『なぜ時代劇は滅びるのか』という、そのものずばりのタイトルの本を刊行されています。

■「時代劇」に親しめる状況がない!

――「若者の時代劇離れ」といわれたりしますが。

春日さん 「時代劇離れ」という言葉はふさわしくないですね。「離れ」というのは、もともと好きだった人が離れていくことをいうので。今の若い人にとっては元からあまり時代劇と接点がないでしょう。「離れ」といえば、それはもう15年以上前から言っている話です。むしろどうやってこれから接点を持ってもらうかという作業をしているところです。

――そもそもテレビの地上波で時代劇があまり放送されていないですね。

春日さん これが問題ですよね。どんなものでも若いうちに、そして日常の中で慣れ親しんでいないと、自分の中に入ってこないものです。学校に読書の時間があって、強制的に読まされたとしても子どもは喜ばないと思うんですよ。親の本を読んだりしている中で読書を好きになるでしょう。
「時代劇」もそれと同じだと思います。テレビでふとつけた番組が時代劇で、それを見て好きになる。学校から帰って見る再放送かもしれない。大人になって勉強しなさいと言ったって見られるものじゃないでしょうね。日常の中で自然に親しめる状況でないといけないです。

――時代劇の再放送も少なくなっているのでしょうか。

春日さん 以前よりは少なくなっていますね。前は例えば、夕方の『水戸黄門』やテレビ東京の時代劇アワーで再放送時代劇をやっていました。私なんかは『江戸を斬る』を見たり、『影の軍団』を見たりとか、そういうのに親しんで役者の名前を覚えたりしました。

――時代劇は難しいなんて声もあります。

春日さん 「時代劇は決まりごとが多いので難しい」という人もいますが、実は、見ているうちになんとなく分かってしまうものです。というより、そういうのが分からなくても面白い作りになっている。無理に勉強しよう、とかではなくて、気軽に見てほしいんです。
勉強なんかしなくても面白いのがエンターテインメントだし、それで面白くなければ切ればいい。それだけのことです。

■時代劇の置かれている状況はひどい

――『なぜ時代劇は滅びるのか』の中に、春日さんが書かれていますが、時代劇がなぜ滅びるのかというと、それは「つまらなくなったからだ」と。作り手の皆さんもとても難しい状況の中で作ってこられたということですが。

春日さん ひどい状況です。

――たしかに、時代劇のひどい状況が、春日さんの本の中に書かれています。

・本来そうではなかったはずなのにパターン化してしまった作劇。
・そのために高齢者向けのようなイメージが時代劇についてしまったこと。
・時代劇にはお金がかかるのでテレビ局が製作したがらないこと。
・テレビ放送の時代劇にスポンサーがつきにくいこと。
・コンスタントに作品が作れる状況でないため時代劇制作の技術継承が難しいこと。
・時代劇を演じられる役者さんがいなくなっていること。
・時代劇を演出できる監督さんがいなくなっていること。
・素晴らしい時代劇を製作できるプロデューサーがいないこと。
・NHKの大河ドラマですら「?」と思うような作品作りになっていること。

――東京で時代劇を撮る人たちがいるといったことも書かれていますが、何か時代劇にとっての新しい光はないのでしょうか。

春日さん 難しいですね。例えば、一作品当たったとしてもそれで全体の状況が良くなるわけではないです。「時代劇が一作、二作当たってブームです」みたいな話をたまに聞きますが、そういう問題じゃねえだろ、と。コンスタントに作品を作れる状況が来ないことには産業としては続かない。

全体の流れとしてひどい状況になっているので、1個の作品だけ良かったりとか、1人いい人がいたとしても、テレビ局、映画界、芸能界がどうしようもない。1人2人が頑張ったところで全体がどうこうなるものじゃないですよ。

■どんな時代劇が面白いの!?

――先ほど、若い人たちに時代劇に接点を持ってもらう作業をしているとおっしゃっていましたが。

春日さん 10月15日に『時代劇ベスト100』(光文社新書)という本を出しました。先ほど、時代劇に接する機会が少ないといいましたが、作品を見ようと思ったら現在は恵まれた状況なんですよ。
DVDも出ていますし、BS、CS、時代劇チャンネルなど毎日のように時代劇が放送されています。つまり「能動的」には見る機会が多いんですね。そこで問題になってくるのは、どれを見るかということです。

かつては地上波ですから「受動的に見る」だったので、「とりあえず見る」ことができたのですが、「能動的に見る」になると、選択しないといけないでしょう。私も若い人たちに聞かれるんです。
「何から見ればいいのか分からない」
「どういう作品はオススメですか」
って。

――なるほど。

春日さん そこで、はたと思うわけです。例えば、若い女の子がいて、その子の職業や趣味が私には分からないわけです。私が面白いと思ってすすめても、その子の趣味に合わなかったら「面白くなかった。時代劇はつまらない」ってなって離れていっちゃう。
必要なのは「ガイドブック」ではないかと思ったわけです。時代劇って実は表現の幅が広い。こんなものもある、あんなものもあるって出して、趣味に合ったものを見てもらう。そのための「ガイドブック」、......「時代劇カタログ」を作ろうと。
今までそういう本は全くなかったんです。個々の作品のファンブックであるとか、評論家が思い出を語るとかそういうものばっかりで。バランスよくジャンル全体を紹介したものってなかったと思うんですよ。

私は、「時代劇はバラエティーに富んでいる、だから面白い」ということを言い続けてきました。そのバラエティーに富んだものの中から、

・「これだけは押さえておきたい40本」
・「隠れた名作40本」
・「個人的な趣味の20本」

の計100本の時代劇を紹介しています。
受動的に見られない時代に、若い人、ビギナーのための入り口を私なりに作ってみました。「若い人の時代劇離れ」といわれる中で、まさにそのテーマに即した本になっていると思います。

――春日セレクションですね。

春日さん この本の刊行に併せて、東京都の「池袋・新文芸坐」でイベントを行います。普通の名画座では掛からないような作品もありますし、昔の名画座っぽいといった作品もあって、いろんな名画座の匂いのするラインアップになっています。

⇒『新文芸坐』の上映プログラム参照
http://www.shin-bungeiza.com/program.html

春日さん 若い人では名画座になじみのない方も多いと思いますが、「春日」というフィルターを使って、名画座を楽しんでもらいたい。私は、マニアな人たちの間で時代劇が消費されていくという状況は良くないと思っています。もっと若い人たちに見てほしいですし、そのために本を書いたり、このような試みをしたりといったことをしています。
若い人が、私の著作を読んで時代劇に興味を持って、いろんな作品を見て面白かったと言ってくれる、それがうれしいんですよ。そのためにやっているんです。

――ありがとうございました。

時代劇から若者が離れたといわれるのは「つまらなくなったからだ」と春日さんは書かれています。かつてはそうではなかったと。「時代劇は現在進行形のエンターテインメントだ」とも。時代劇がかつての力を再び取り戻すことはやはり難しいのでしょうか。


⇒春日太一さんのblog『春日太一の「雪中行軍な人生」』
http://jidaigeki.no-mania.com/
⇒『なぜ時代劇は滅びるのか』
http://urx.nu/cMNx

(高橋モータース@dcp)


2位『にこにこ、ぷん』3位『ひとりでできるもん!』......子供の頃大好きだったNHK教育テレビの番組は?

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