日刊アメーバニュース

ダ・ヴィンチニュースの中の人と話す 電子書籍界隈の現状と今後について

2014年05月03日 09時20分
提供:ダ・ヴィンチ

 KindleやKoboがまだ日本に存在していなかった頃に比べると、随分と身近なものになった電子書籍。タイトル数も増えている一方で、まだその使い方や制約などに戸惑いを覚える人も少なくありません。今回は、ダ・ヴィンチニュース(旧・電子ナビ)を編集長として支え続けてきた中の人と、読者アンケートも振り返りながら、電子書籍のこれまでと今後を考えました。

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ま…まつもとあつし
ご…後藤久志(株式会社KADOKAWA メディアファクトリーBC デジタルマーケティング部部長、前ダ・ヴィンチニュース編集長)
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【アンケートの概要】
「電子書籍に関するアンケート」
対象:286名(電子書籍を利用経験あり、20代以上、日本在住の男女)
調査方法:インターネット調査


■普及が進む電子書籍、「文字モノ」が存在感

ま:電子書籍を読む人が増えているはずなのに、読んでいる冊数に大きな変化がないのはちょっと意外な印象も受けますね。

ご:そうですね。あくまで僕の仮説なんですけど、以前は電子書籍と言えば、マンガを読む人が中心でした。でもそこに、ビジネス書や実用書も読む人たちが加わってきた。ビジネス書は、全体における比率は小さいものの、そのシェアは2倍になっています。

ま:なるほど。

ご:ただマンガに比べて、読む速度は落ちますし、マンガの全巻一気読みみたいなことも難しいですから、冊数を抑える働きをしたのかな、と考えています。小説などは紙の本における比率に近づいてますし、大きな地位を占めるに至っています。電子書籍でよく読むジャンルでは、やはりコミックよりも小説が上回っていますし、いわゆる「文字モノ」がよく読まれていることが分かります。意外だったのは辞書や辞典が9%近くもあったことですね。

ま:本を読んでいる最中にも辞書が引けるのは便利ですし、「電子辞書」が電子書籍より以前から普及していたことが背景にありそうです。紙の本に対してメリットを感じやすい場面でもあり…。


■意外とパソコンで読まれている

ご:パソコンで読んでいる人が意外に多かったのも驚きでした(※4割程度の人がPCでの電子書籍利用経験ありと回答)。

ま:PCユーザーが多いネットアンケートだからという面はあるでしょうが、スマホよりも多いというのは予想外でしたね。いわゆるWebコミックなどはパソコンで読んだ方が、読みやすいし、見開きなどもそのままの楽しめる、という面はあります。出版社によっては、雑誌形式のマンガ誌は、パソコンでしか提供していないこともありますし。

ご:あとは、「小説家になろう」みたいな投稿サイトもパソコンユーザーが多い可能性はありますね。

ま:スマホシフトが進んでいますので、つい忘れがちなのですが、個人的にはPCでの読書というのはこれからのホットトピックスだと考えていますので、面白い結果です。先日KoboもPC版を公開しましたし、日本ではまだ始まっていませんが、Kindleも早くからパソコンに対応しています。わたしも原稿を書きながら、本やそこに入れたコメント、アンダーラインを引いた箇所が参照できれば効率がすごく上がりますから。

ご:Webコミックも無料のものが多いですし、もともとパソコンでは本をそこで買って読む、という習慣は根付いているとは言えません。しかし、ブログやSNSなどの利用も含めると文字を読む機会は相当あるはずなんですよね。それが、この数字に表れてきていると思いますね。


■電子書籍のデメリットをどう克服するか?

ご:今回、自由回答という形式で電子書籍のメリット、デメリットを聞いています。その中で、デメリットとして「所有できない」という点を挙げた方が多いなという印象を受けました。

ま:ダ・ヴィンチニュースでも取り上げましたが、よく読まれたトピックスでしたね。電子書店が閉店してしまったら、そこで買った本は読めなくなってしまう懸念があることに大きな注目が集まりました。
 現状、電子書籍にはDRM(デジタル著作権管理)と呼ばれる、コピーを防ぐ仕組みが施されていることがほとんどです。しかし、そろそろその是非が問われても良いのではないかと思います。

ご:たしかにDRMがかかっていない、EPUB3のような共通フォーマットであれば、書店が閉店しても、他の端末に取り込んで本を読むことができますからね。

ま:自社のサービスに読者を囲い込む(ロックインする)ためにDRMが効果的なのかも疑問です。音楽でiTunesが行ったようにDRMフリーへ、ということが本気で検討されるべきではないかと。

ご:紀伊國屋書店さんへの取材でも、個人的にと前置きしながらDRMを解除しても良いのではという発言がありましたね。

ま:国内の電子書店が、アマゾンに対してどのように存在感を出せるかということを考える際に、実はDRMをかけないことが大きな意味を持つと思います。とりあえず、サービス継続の可能性が高い「大きな書店」で買う、ということではなく、いろいろな特色を持つ、品揃えやサービス内容での差別化を図った書店でも、ある程度安心して電子書籍を買えるようになるわけですから。

ご:iTunesの場合は、あれだけのシェアを持ったからこそ、レコード会社に対してDRMを外しますよと交渉することができたわけですが、そうではない電子書店がそうするのは難しいのでは?

ま:仰るとおりですね。もしDRMが外せないというのであれば、複数の書店で購入した本が一元的に管理できる「共通本棚」のような仕組みであっても良いと思います。
 いずれにしても業界全体の機運が高まって欲しいと思います。先ほどの図でも、アマゾン以外の書店も、足し上げればアマゾンよりも大きなシェアをまだ持っているわけですから。


■紙か電子か?フローな読書・ストックな読書

ご:紙派がまだまだ圧倒的に多いという結果でした。相変わらず目が疲れるので紙で読みたいという意見も。
 このアンケートを見ていても気になったのが、そんなに皆さん一度読んだ本を読み返すことがあるのか、読み返さなさそうな実態と「所有できない」という感覚がしっくりこなかったのも正直なところですね。

ま:コアな読者――たとえば私のような職業や、研究をしているような人――であれば、昔読んだ本や、取り敢えず持っておいて後から参照するというのはとても大事ですね。たとえるなら、自分のデータベースを充実させていくような感覚で、電子だとその検索が容易なのが大きなメリットです。

ご:なるほど。とはいえ全体を見ると雑誌や話題の本などの「フロー」型の読書が中心なのかなとも思いますが。

ま:まだ電子書籍を利用しはじめて間もない方が多いこともあり、そういう傾向にあるのは間違いないでしょう。けれども、かつて自宅に百科事典を揃えておくのがステータスであったように、いずれ電子書籍のメリットが周知されていけば「ストック」型であることにも魅力を感じる読者は増えていくはずです。

ご:バッテリーが減ってしまう、文字が小さいというコメントも目立ちました。

ま:専用端末であればバッテリーの減りはそんなに気にしなくても良いし、目も疲れにくいですよね。文字サイズを変えられるのも電子書籍の大きなメリットですから。こうやって見ていくと、電子書籍の楽しみ方が、まだまだ十分に知られていないのだろうなと感じました。私の記事でも、そういった基本も紹介していきたいですね。

ご:今年1月に「ダ・ヴィンチ電子ナビ」から「ダ・ヴィンチニュース」にリニューアルをしました。「ニュース」という言葉が入ったことからも分かるように、「本と読者の距離をニュースを通じて縮める」ようなサービスになるよう頑張っています。発売前の本の情報や、本の周辺情報など含めてより幅広い読者の方にお届けしていくことを目指していますので、よろしくお願いします!

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