年末に「第九」が演奏されるのはなぜ?
年末の風物詩といえば大掃除や紅白歌合戦、そして“第九”。“第九”とは通称で、『交響曲第9番ニ短調作品125』が本当の作品名。ベートーベンの最後の交響曲として、世界中で愛されている楽曲だ。そんな第九が、年末になると日本各地で演奏されるのには何か意味があるの? 社団法人日本オーケストラ連盟の事務局、加納民夫さんに聞いてみた。
「戦後、貧しかったオーケストラが、いわゆる“もち代稼ぎ”で始めたといわれています。第九には、オーケストラのほかにコーラスも参加するので、出演者の総人数がとても多い。その出演者たちの知人が客として来れば、ふだんより多くの来場者が期待できます。コーラスもプロを雇ってしまうとコストはかさみますが、学生などのアマチュアに頼めば出演料もあまりかからず、オーケストラの収益はアップするのです」
選曲の理由がお金って、なんだか現実的……。とはいえ、マーラーの『交響曲第2番』やホルストの『惑星』などコーラスが入る楽曲は他にもあるのに、なぜ第九が選ばれたのでしょう?
「年末に演奏され始めた1940年代後半、第九はとても人気のある曲でした。当時、第二次世界大戦直後だったために日本はとても貧しく、多くの人が苦労をしていた。そんななかだったので、『歓喜の歌』の名前でも親しまれる前向きなイメージの第九のメロディが、日本人の心をとらえたのでしょう」
実際、年末に第九を演奏するのが定番になっているのは日本だけとのこと。ヨーロッパでは、通称「ハレルヤコーラス」で有名なヘンデル作曲の『メサイア』がよく演奏されるらしい。加納さんによると、ベートーベンの故郷ドイツ出身の指揮者も、日本の年末の風物詩として第九が定着していることに驚いていたとか。
日本人にとって困難の多い1年となった、2011年。『歓喜の歌』第九は、例年にも増して日本人の心をとらえることになるかもしれませんね。
(河島 まりあ/GRINGO&Co.)
(R25編集部)
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