コラム

寝タバコ、目覚めの一服…睡眠の質を落とす喫煙

1月25日10時30分

提供:All about Japan


■「寝タバコ」「目覚めの一服」が止められない!

 平成21年全国たばこ喫煙者率調査によると、男性の喫煙率は38.9%、女性の喫煙率は11.9%でした。男性の喫煙率はこの18年間減少し続けていますが、欧米諸国と比べるとまだ高め。一方、女性の喫煙率は横ばいのままで推移しています。

 タバコを吸う人で多いのが「頭がスッキリする」というものと、「気持ちが落ち着く」というものです。目覚めの一服を吸う人は、頭がスッキリして目覚めに役立つように感じ、就寝前に一服する人は、気持ちが落ち着いて寝つきが良くなると信じているようです。どちらが正しいのでしょうか?

■ニコチンの覚醒作用と鎮静作用

 タバコに含まれるニコチンには、覚醒作用と鎮静作用の両方があります。これらの作用により、快眠や目覚めにタバコが役立つと思ってしまう人が多いのです。

 この2つでより強く表れるのは、覚醒作用です。そのため、寝タバコは完全に逆効果と言えます。ニコチンの体内での半減期は約2時間なので、何となく気持ちが落ち着いて眠りやすいような気分になっても、喫煙者も就寝前の2時間はタバコを吸わない方が実際はよく眠れるということになります。

 また、目覚めたときにすぐタバコを吸いたくなる人も、寝タバコと違ってニコチンの覚醒作用をうまく利用できているなどとは思わない方がよいでしょう。目覚めの効果よりもよほど有害な「ニコチン依存症」になっている可能性が高いためです。睡眠中は血液中のニコチン濃度が低下しますが、ニコチン依存症だとこの状態に耐えられなくなっているため、起きてすぐにニコチンを補給せずにはいられなくなってしまいます。朝の一服が止められない人は、早めに禁煙外来を受診するようにしましょう。

■快眠効果は思い込み! 結果的には眠りの質を落とすタバコ

 上記の作用があるにも関わらず、タバコを吸う人は吸わない人に比べて睡眠時間が短くなり、睡眠の質も悪化します。

 タバコを吸う人と、タバコを止めた人、タバコを全く吸わない人を調べた研究では、非喫煙者に比べて喫煙者は、床に就いてから寝つくまでの時間が平均5分長く、総睡眠時間が14分短いことが分かっています。また、喫煙者の場合は、浅い睡眠が24%多く、深い睡眠が14%減ということが分かりました。さらに喫煙者は非喫煙者に比べ、睡眠時無呼吸症候群になる確率が2.5倍も高いのです。

 一方、非喫煙者とタバコを止めた断煙者では、睡眠の量や質に明らかな違いがありませんでした。タバコを吸っている人には、睡眠を良くするという観点からも、禁煙することをお勧めします。

■快眠のための禁煙法
 
 質のよい睡眠を手に入れるために、いざ禁煙しようと思っても、禁断症状がつらくて禁煙に失敗してしまう人は多いようです。タバコを止めてから数日間は、禁断症状のため夜中に目が覚めることが増え、日中の眠気も強くなることが多いです。自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来を受診したり、薬局で相談したりして、効率のよい禁煙をしましょう。

 ニコチンパッチを貼ると、夜中に目を覚ます回数が減り、深い睡眠が増えることが確かめられています。禁煙治療にはニコチンパッチのほか、ニコチンガムやニコチンを含まない錠剤が使われます。主治医や薬剤師とよく相談して、タバコと縁を切り、質の高い睡眠を手に入れましょう。

【不眠・睡眠障害:坪田 聡】

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